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仕事始めと「おばさん」問題

1月6日(火)


今日から本格的に仕事。憂鬱すぎてなかなか布団から出られず。それでもコーヒーを淹れて、サブリナの薫るバターを食べると満たされる。『コーヒーがないと生きていけない!』のレシピ通りにコーヒーを淹れるのにも慣れてきた。


スーツで出勤。ゆるかったはずのパンツが太腿にぴったり張りついていてかなしい。

職場で久々に顧客と会う。昨日用意した手紙等々を渡した。

午後は対外的なお仕事あり。主に立ち番。寒くてしんどい。立ったまま身体のあちこちを動かして耐える。


帰りに駅ビルで、本と寒中見舞いはがきを買って帰った。「高齢のため筆を執るのが難しく年賀状は今年までとさせていただきます」的な文言が印字された「終活年賀状」とやらが売られていた。ネーミングがひどい。高齢でなくとも職場年賀状文化を本当に終わらせたい人間がここにいるので、ぜひニーズに応えてほしい。

帰ってすぐ筋トレや家事にとりかかればいいのに、疲れてしまってぜんぜん動けない。

三浦しをん『マナーはいらない 小説の書き方講座』を一気に読んだ。人称の使い分けや、描写と説明の違い、構成の立て方、タイトルの付け方など、豊富な具体例を交えつついつものエッセイの三浦しをん節で軽快に説明されていて、とても参考になったし小説が書きたくなった。小説が書きたくなった。(二回言う)

5月に出すしゃんぶる新刊に、私の小説も載る……かもしれない。この本を参考にして、プロットを考えてみよう。

実家でもらってきたお節の肉巻きを食べきった。




1月7日(木)


日中はリモートワーク部屋でマイペースに仕事を進めた。合間に寒中見舞いを書いたり、明日締め切りの詩の教室の課題作品を完成させるなどする(小声)。職場同僚宛の寒中見舞いを職場で書くことの無意味さ。切手代払ってポストに投函しなくても、該当者のデスクの上に置いておけばいいのでは、と思いつつちゃんと切手を貼った。


夕方、そろそろ退勤しようかと思ったところで文書作成の仕事が舞い込んだので、即座に片づけて颯爽と帰る。
今日も駅ナカの本屋に寄る。『あのこは貴族』『おばちゃんたちのいるところ』、そして「ポスト」という色名の朱色の大学ノートを購入。最近、詩作用のノートに気になった詩を書き写すことが増えたので、それ専用のノートを作ろうと思ったのだ。職場で本や詩集と出会うことも多いので、職場にも持っていけるように薄くて軽いノートにした。


駅の改札を出たところでT氏と合流し、いつもの蕎麦屋へ。去年の店での飲み納めも今年の飲み始めもこの店。日本酒を注文すると、振る舞い酒サービスで十四代が出てくる。振る舞っちゃっていいのか十四代。

久々に金目鯛の煮付けを頼んだけれど、新年めでたいかんじでちょうどいい。

T氏が、日本酒を持った私の写真を何枚か撮る。久々にポートレート機能を使って真剣に写真を撮ってくれていたので少しうれしかった。


緊急事態宣言が出て、また飲食店が夜8時までの営業になるらしい。会食自粛や夜8時以降の外出自粛は言われているけれど、「会食がだめなら一人で飲めばいいじゃない」「夜8時以降がだめなら早い時間から飲めばいいじゃない」と私の中のアントワネット先輩がささやいている。ただ、店をはしごして二軒目に入った店で餃子食べる、とかはできなくなるね、とT氏と言い合う。一軒目からがっつり餃子を食べるしかない。

帰って、うっかりクルミッ子の切り落としを開封したら、一切れだけのつもりが止まらなくなってしまった。




1月8日(金)


仕事。今日は立ち番が、朝と昼過ぎの二回も割り振られていた。寒い中ひたすら突っ立って、はりついた笑顔で通りかかる人に挨拶していると、自分の存在意義がわからなくなる。ペッパーくんにお願いしたい。

朝の立ち番でパワハラ気質の同僚と一緒になったのだが、向こうがあまりにふつうに話しかけてきたのでびっくりした。たぶん一年以上ぶりに、彼と数分間ふつうに会話をした。睨まれない怒鳴られない舌打ちされないで会話しただけでこんなにも感動できるなんて。普段がやばすぎだろう。


朝の立番を終えた後、某仕事中、遠くで「おばさんが〇〇してるぞ」と言って笑いあう声が聞こえた。その場に女性は私しかいなかったので、私の陰口を私に聞こえるように言うのにその呼称を選んだのだと思うけれど、ううむこの場合どう対応したものか、と悩んでしまった。これが「ババア」だったら暴言として取り上げて上層部に報告して然るべき対応をするところだが、「おばさん」はどうなんだろう。「おばさんじゃなくてお姉さんでしょ」とか返すのは絶対に違う。おばさんに見られたくないわけじゃない。というかむしろ若い女扱いされるほうがめんどくさい。ただ、その呼称の是非はともかく、その言動自体に、女を揶揄することで互いの連帯を確かめ合うという意図が透けているので、彼らは公共の場でそういうことをすべきではなく、私もそれをスルーすべきではないような気がする。その場で私ができる対処としては「名前を知っている相手を呼ぶのに、その名前以外の呼称を用いるのは失礼」と伝えるか、とりあえずキレ倒すか、だろうか。
しかし、普段から同僚たちが「食堂のおばちゃん」「掃除のおばさん」などと平気で口に出すことに違和感を覚えていたけれど、思えば私だって、何年も勤めていて食堂勤務の方や清掃に来てくれている方と親しく挨拶したり服を誉め合ったりしているのに、その方たちの名前を知らないのだった。名前を知っているのに私を「おばさん」扱いした男性と、同じ職場で働く方々の名前を知ろうともしなかった私と、なにがちがうのだろう。なんてことも考えた。

帰りにまた本屋に寄る。Twitterで見て気になった大橋崇行『遥かに届くきみの聲』を購入し、帰って読了。朗読部のお話。詩の教室で発表会をやってから、朗読をちゃんとやりたい気持ちが強くなっている。アラサー健康チャンネルの宅トレ動画を見て身体を動かす。11時前に寝る。




1月9日(土)


早寝してたっぷりぐっすり眠ったのに、寒すぎて動き出せず。ぎりぎりまで布団の中で過ごし、昨晩届いた大高酵素の酵素ドリンクを一気飲みして、慌てて出かける。


職場では、私物化してリモートワークに使っている部屋の大掃除を決行する。本棚まわりや壁面の掲示物がすっきりして満足。部屋の掃除はできないけれど、仕事と割り切ればやれるのだ。


昼過ぎに部署全員での作業があったので、それを終えてから退勤。5月刊行予定の『東京一人酒日記2』の取材と称して、曙橋のチベット料理屋「タシデレ」で遅い昼食。

いいお店だったので、ちゃんと店の応援になるようなレポ日記を書きたい。

外食続きで、便通が悪すぎて悩んでいたけれど、大高酵素のおかげかチベット料理のおかげか、なんとかなったのでよかった。

夜は『AV女優ちゃん①』を読んだ。Twitterでも話題になっていた、サイン会に来た身体障害者のくだりはきつかった。中学時代に痴漢に遭って女として認められたと感じるエピソード、前にも何かで見たけれど、これはやっぱり完全に身に覚えがあって刺さりすぎた。そのエピソードについて田嶋陽子さんと作者が語っている巻末対談がとてもよかった。かつての自分に読ませたい。

明日は休みだけれど、ちゃんと11時前にベッドに入る。


#日記 #エッセイ #仕事 #読書 #東京一人酒日記

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