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音楽ソムリエⅡ

幽霊を見た
23時15分の帰り路で
朝のカチッとしたスーツ
やる気も全て萎えてた
そんな時に 
蒼白い顔で勘弁して

霊感なんて
ありはしない平々凡々
寒気で身体が止まる
目の前にはハットを
取りお辞儀してる幽霊

「貴方落ち込んでるでしょ?」
上手くいかない日々を
見透かしてる紳士風幽霊
「音楽でも聴きませんか?」

あの日ふと心が軽くなった
確かに胸を貫いた音があった
夕暮れ黄昏時かっこつけて
己と飛び込んだ音に走った

Do you know people who insist they like all kinds of music? 
That actually means they like no kinds of music
あらゆる種類の音楽が好きだと言い張る人を知っているか?
それは実際には音楽が好きではないということを意味する

紳士風幽霊は捲し立てた
少し怒りを感じた
蒼白い顔はよく見えない
いつの時代の人なんだろう?

「貴方を、救いたい」
目をカッと見開き
こちらを見つめる
怖い怖い 怖すぎる
怖いから消えてくれ
それが救いだよ

あの日ふと胸が熱くなった
確かに魂を貫いた音があった
就寝前の涙を拭ってくれた
己と飛び込んだ音が存在した

Every life has a soundtrack
全ての人生にはサウンドトラックがある

「怖がってますね」
そりゃ初幽霊やからね
落ち込んでる気持ちを
更にブルーにしてるよ

「早く帰って休んでください」
あんたが邪魔なんだよね
「そして寝る前にこの曲を」
俺に告げる曲名 消える幽霊
素敵なタイトル

あの日ふと心が軽くなった
確かに胸を貫いた音があった
どうしようもない岐路の中
己と飛び込んだ音に走った

あの日ふと胸が熱くなった
確かに魂を貫いた音があった
就寝前の涙を拭ってくれた
己と飛び込んだ音が存在した

「言い忘れました」
私は紳士風幽霊ではありません
音楽ソムリエと申します

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