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筍の下処理!完全解説

YouTubeで詳しく解説しています!

https://youtu.be/sPPYRa2s4rQ
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春の食材の代名詞ともいえる
『筍』


この時期に料理屋では間違いなく筍が使われますし、
筍料理を目の前にすると、みんな心がウキウキするのではないでしょうか。

美味しい筍料理を作るために
筍の下処理方法を説明していきます。

そして、
やり方はわかっていても、なぜそうするのか!?
を論理的に説明できるでしょうか。

今回は、この調理科学の観点も付け加えながら説明していきます。

筍の下処理(茹で方)


まず筍は鮮度が良いものを選ぶことが大切です。

掘りたての筍というのは、えぐみがなく柔らかいのです。

しかし時間が経つと、
アミノ酸の一種であるチロシンが酸化されて
えぐみのもとになるホモゲンチジン酸や、シュウ酸が増えることになるのです。

ですので、掘り立ての筍であれば、
真水で茹でたり、そのまま焼くだけでもえぐみがなく美味しいのです。

しかし、掘り立ての筍を入手するのはなかなか難しいものです。
市場等で購入したものでも、流通の過程である程度の時間が経ってしまっています。

穂先が緑色のものは、アクが回っている証拠ですので避けましょう。
ツヤと湿り気(瑞々しさ)があり、
根元の斑点は少なく、赤く変色していないものが良いです。

極力鮮度の良いものを使うようにしましょう。

①土を洗い落とす。
土や汚れがついていますので、たわしでこすって洗ってやります。


②アクが抜けやすいように包丁を入れる
皮付きのまま、穂先を斜めに切り落とし、皮に縦に切り込みを入れます。
筍の鎧にダメージを与えて、アクを抜けやすくしてやるイメージです。

皮はつけたまま茹でるのがポイントです。

●柔らかく茹で上がる
皮には亜硫酸塩が含まれていて、
これが筍の繊維を柔らかくすると言われています。

●皮が筍を覆っているので、風味が逃げづらい。
空気に触れないため白く茹で上がります。

●アクやえぐみを抜けすぎないようにする!
一見、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、間違いではありません!
筍の多すぎるアクやえぐみは抜きたいのですが、
程よく残ったアクやえぐ味は、
筍の味わいのひとつです。
100%抜いたものは、
何を食べているのかわからないような特徴のない味わいになってしまいます。

③茹でる
鍋に筍、水、米糠、鷹の爪を入れて茹でます。


●米糠の効果
えぐ味のシュウ酸が、米糠に含まれるカルシウムと作用して、
シュウ酸カルシウムに変わりえぐみをえぐ味を感じにくくする。
米糠はでんぷん質であり、茹で湯に濃度がつきく。
その中に存在する粒子がアクが吸着し、アクが抜ける。
米糠の量は、体積の10%ほど。
水2L(2,000cc)に対して米糠200cc(1カップ)

●鷹の爪の効果
わずかな辛味と香りで、えぐ味を打ち消す(マスキングする)
殺菌効果
鷹の爪の量は、筍10本で3本程度。

水から茹で始めます。
強火から始め、沸騰したら火を弱めます。
ポコポコしている状態はキープします。
米糠が入っているため、吹きこぼれやすいので気をつけて下さい。
アク成分のホモゲンチジン酸は、100°c以上になることによって分解されるからです。

落とし蓋をして
このまま90分程度、加熱を続けます。

ちなみに
ホモゲンチジン酸は、
先端部分が最も多く、次いで中央部、最も少ないのは根元の部分です。
シュウ酸は、
中央部が一番多く、次いで根元、先端部分が一番少ないのです。

根元部分に金串等を刺して柔らかくなっていればOKです。
根元にはリグニンという成分が多く含まれていて、
筍の中で一番硬い箇所だからここをチェックします。
柔らかくなっていれば火を止めます。

ちなみに
筍は長時間炊いても、ある一定の硬さをキープし、
軟化しにくいという特徴があります。
師管壁という部分で繊維が変化する以外は、
他の組織の変化はほとんどないという実験結果があります。
大根のように炊きすぎて、
柔らかくて煮崩れするなどという心配は要らないということです。

④一晩放置
糠水に浸かった状態でそのまま放置します。
加熱をやめて、糠水に浸っている状態でも少しづつアクは抜けていくからです。
温度が下がったら、冷蔵庫に入れておきましょう。


⑤筍掃除
糠水を洗い流し、筍の掃除をします。

皮をむき、
穂先の固い部分落とします。
段々になっている部分は、
箸等で穂先から、根元に向かって擦ってきれいにしてやります。
根元の固い部分は落とし、斑点のついた固そうなところはむいてやります。
水に晒して終了です!

ここからはお好みの調理で、春の味をお召し上がり下さい!
市販されている水煮では決して味わえない、
香りと程よいえぐみというご褒美を存分に楽しんで下さい!!

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