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女という不服

「なんで報われねえんだ!男どもめ!」

夢のなかで
そう叫ぶ姉の声で目が覚めた

そして、それは長年の謎が解けた瞬間だった。

****************

以前
母が宗教に走って成仏
(自称クリスチャンだったけどまあいいや)
し損ねかけたという話を書きましたが

そんな母は
娘(長女)、私、息子(次男)の
3人を成しました

そんな母は
子育て真っ盛りの時期に
夫が長期の単身赴任で不在だったこと

そして自身に確たる子育ての
ポリシーもなかったこと

頭が良い人ゆえに
自分に問うて答えを見出すより
外から答えを与えて欲しいと
思っていたということもあり

「これが世の中の悩みや疑問に対して
theの付く答えだ」という
新興宗教にのめり込んでしまいました

なにしろユダヤ教の流れを汲んでいる
ように見えて

かつ旧約聖書の価値観を独自に解釈し
現代に持ち込んでいる

強烈に家父長制の団体なので

今思うとその「強い男性的なもの」に
母が惹かれていたのではないかと。

父は典型的な昭和のサラリーマンで
会社に帰属して生活のすべてが
回っていましたし

出張や単身赴任、旅行以外では
生まれ育った土地を離れたこともなく

友人知人に囲まれて落ち着いていました

一方母は
家、親戚、地域付き合い、子供の学校関連
全てを父から無言で委託されており

相談できる親しい友人もおらず

そんな状態のところに

子宮筋腫を患って入院した際に同室だった
宗教関係者に救われたではなくして
掬われてしまったのです。

そして2年後に
地方公務員というキャリアを投げ捨てて
宗教活動にのめりこんでいくのですが

冒頭姉が叫んだ言葉というのは

もともと母から来ているものではなのかと
そう思えてならないのです

「私はこんなに家の男どもと親戚と
地域諸々に尽くしているのに、なぜ
報いがないのか。」

そして、その『自分に報いてくれる男』
という幻想を家父長制の新興宗教に
見たつもりになってしまったのでは
ないかと

しかし心情的には結局満たされて
いなかったのではなかろうかと

物理的には
多少の贅沢が許されるくらい稼いでくれて
その稼ぎの使い方を一任してくれている
夫のおかげで

長年に渡って宗教に多大な献金という
使途不明金を発生させても
誰にも追及されることがなかったのですが

各方面に気を遣いお金を使って
宗教関係者含めていろいろな人の足がわりに
なって(田舎暮らしかつ車運転が得意だったので)

でも結局本当の友人もできなくて

そういう不満を子供たちにぶつけてくる
しかも「神の名のもとに」心身の懲罰に
及ぶことも多々ありました

そして見事にと申しましょうか

長女そして同性ということもあって
その矢面に立っていた姉
母の心のうちが誰よりも一番見えていた姉
そんな母を最も嫌っていた姉が

母の思いを今更ながらに代弁しているのです。

二代続く女の不服・・・

思えばそんな女たちの
不服の嵐に日々巻き込まれてきた
私ですが

母も往き
姉とも距離を置いて過ごすなかで
ようやく彼女たちの本音が見えてきたとも
言えそうです

男に不服を持ちながら
男に報われたいと願う

それは

とりもなおさず
女であること
ひいては自分自身を
不服としているわけですが

そんな我が身を見つめるよりも
外を責めることに終始してしまう。

姉が子宮筋腫を患っているということを
最近知ったのですが

母娘がそろって
女性性の最たるところが
病気だということは
あまりにも明らかなメッセージなのです。

半世紀生きている姉が果たして
これから自分をみつめなおすのかどうか

それはわかりませんが

外に原因と責めを負わせている限り
何かが変わることはなさそうです。

それを私はいま
こうして見ているのです。

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