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街の中心地への出店。リブランディング、改革の一手に~沖縄酒場 島ぎょうざ心心~

【店舗開発事業インタビュー】
ぐるなびが、“食”による賑わいの場を創出することを目的に、商業施設の飲食エリアにおいて、コンセプト設計から飲食店誘致、フロア運営まで総合的にプロデュースする「店舗開発事業」のご紹介をいたします。
第3弾は、名古屋発祥の餃子専門店のエピソードをご紹介します。

ひつまぶしに味噌カツ、手羽先に味噌煮込みうどん……挙げきれないほど多くのご当地グルメで知られ、華々しく食文化の発展を遂げた名古屋。昼夜問わず賑わう中心地・中区栄の商業施設「Maruei Galleria(マルエイ ガレリア)」の3階にはぐるなびが手掛けるフードホール「GURUNAVI FOODHALL WYE(ぐるなびフードホール ワイ)」があります。

その一角に2023年12月、新たにオープンしたのが「沖縄酒場 島ぎょうざ 心心」。沖縄・石垣島の餃子専門店「ぎょうざ家 心心」の名古屋店として、県産食材をふんだんに使った“島ぎょうざ”やゴーヤチャンプルーなどの沖縄料理を提供しています。

オーナーである水谷哲也さんは、実は名古屋出身。約50年にわたって地元で愛された老舗中華料理店「中華菜館 白揚」で修業し、餃子づくりに目覚めました。2000年に独立し、名古屋・八事に「ぎょうざ家 心心」を開業。その後2010年に石垣島へ移転しました。

名古屋から石垣への移転は「本当にご縁としか言いようがないんです」(水谷さん)とのこと。「第二の故郷が欲しいなと全国津々浦々、居ぬき物件を探して1か月後に訪れたのが石垣。なんとなく気になった人気物件を問い合わせてみたら幸運が重なり、半年後には店をオープンしていました」(水谷さん)。

当時、石垣に餃子専門店はゼロ。台湾が近いことがあってか、日常的に餃子を好んで食べる習慣はあったものの、中華料理屋や家庭で楽しまれていたそう。調味料や餃子の皮などメインの食材は名古屋から取り寄せるなど、“名古屋の餃子”を大々的にアピール。島で暮らす名古屋や中部地区出身者が訪れるようになり、地元で愛される店へと成長していきました。

経営するなかで、水谷さんが目指したのは石垣食材を使った餃子“島ぎょうざ”のブランディング。あぐー豚やA5ランクの石垣牛など、石垣名産の肉を使った餃子を開発しました。「素材そのものがおいしい高級肉を加工することに最初は悩んでいました。ある人から『おいしいお肉を餃子にして食べたい人は必ずいる』と背中を押され、やっと思い切ることができたんですよ」。ブランディングは成功し、今では石垣市のふるさと納税返礼品としても扱われています。

現在も石垣に暮らす水谷さん。「いつか、もう一度名古屋でお店をやってみたい」と考え始めた頃、名古屋の知人から空き店舗の紹介が。石垣で作り上げた餃子と沖縄料理を引っ提げ、2018年に名古屋・新栄駅近くに「ぎょうざ家 心心 名古屋店」をオープンしました。

しかしオープンから2年もたたないうちにコロナ禍に。数年が経った今も打撃を受けており「よくてまだ8割程度しか売り上げは回復していない」(水谷さん)とのこと。「何か手を打たなければ」と試行錯誤していたところに、GURUNAVI FOODHALL WYEへの出店の打診があったそう。

店のコンセプトは、「まるでおうちのような、帰る場所」。そのため意識的に繁華街から離れた場所に店舗を構え、お客さんのほうから出向いてもらう仕組みづくりを目指していました。街の中心地、商業施設への出店は従来のコンセプトと相反するもの。「悩みました。家賃や人件費、お店を任せられる人をどう見つけるかなど、正直言うとリスクは大きかったです」(水谷さん)。このタイミングでの新しい一手について熟考を重ね、新栄の店舗を閉店。GURUNAVI FOODHALL WYEへの出店を決意しました。

名古屋でも、石垣で作り上げた餃子を広めたい。その思いから新たに“島ぎょうざ”を冠した店舗名をつけ、2023年12月に「沖縄酒場 島ぎょうざ心心 マルエイガレリア店」としてスタートしました。南国リゾート気分を味わえる雰囲気のなか、開業当初から作り続けた看板メニュー「心心ぎょうざ」をはじめ、「あぐーの塩ぎょうざ」「石垣牛ぎょうざ」「しゃにしゃにぎょうざ」の3種の島ぎょうざに加え、各種沖縄料理も堪能できます。

また出店にあたり、これまで大々的に公表してこなかった原点・白揚の味を継承することを決意。20年以上店を訪れる常連や親子三代にわたって訪れるファンもいた白楊。「白揚の店主が亡くなる前、味を継いでほしいと頼まれていましたが、別の店として独立していたので明言はしてきませんでした。レシピは色んな人に教えていたみたいですが、工程も技術もなかなか再現が難しい。とはいえやっぱり地元の人たちはあの味が恋しいのだと思います」(水谷さん)。

商業施設という立地から新規客は多い。「ターゲット層自体が若い世代なので、若者の感覚を知らなくてはいけない。これまでとは異なる客層ですし、今も苦労しています。接客や販促の方針だけでなく、スタッフの働き方もそう。もっと変わっていかなくてはいけないですね」(水谷さん)。

今後の課題としては、一本柱を作ること。餃子も沖縄料理も一度に味わえることは一見、お得感があるが「お客さんにとっては、どっちつかずという状況でもある。僕も勘違いしていたところでしたね。一本、大きな柱を作ることを模索しています」(水谷さん)。フードホールという業態を生かした取り組みにも意欲的で「(別店舗の)皆さんとも話していることなのですが、スタンプラリーなど短時間で食べ歩きのような企画をしてみたい。お店同士でお客さんを共有できるといいですよね」(水谷さん)。

GURUNAVI FOODHALL WYEの出店は、大きな経験に。「スピード感のある環境なので、おそらく結果がわかるのも早いはず。この1、2年のあいだはとにかく地固めをして、いろんなことを試させてもらいたい」(水谷さん)。最初に名古屋で店を構えてから24年。「初“心”者でも、“心”を込めて接客し料理を作れば、誰にでも楽しくておいしいお店は作ることができる」の思いを込めた“心心”は変わらず、これからもおいしい餃子づくりは続いていきます。

(編集後記)
餃子にかけた水谷さんの情熱は、八事からはじまり石垣、名古屋への出店を果たし、GURUNAVI FOODHALL WYEでの新たな挑戦につながっています。
当社の「店舗開発事業」は、事業規模の大小を問わず飲食店の挑戦を応援し、飲食店の皆様とともに食による賑わいの場を創出することを目指しています。
今後もぐるなびは、「食でつなぐ。人を満たす。」というパーパス(存在意義)を経営の基軸に、意欲と魅力に溢れる飲食店の挑戦と、食を通じた商業施設の賑わい創出を応援いたします。

【店舗情報】
沖縄酒場 島ぎょうざ 心心
住所:〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3-3-1 マルエイガレリア3F
電話番号:050-5488-4616

【「GURUNAVI FOODHALL WYE」について】

【過去の店舗開発事業インタビューもぜひご覧ください!】


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