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人の裏表を知った日

小学4年、昭和57年。

教卓の上には、当たり前のように灰皿が置かれ、休み時間になると煙草をふかしながら教師がテストの採点している姿がみられたころ。

ある日、授業中にアンケートが配られた。

なかにはこんな項目が。

「クラスであなたの好きな男子はだれですか?」
「クラスであなたの好きな女子はだれですか?」
「クラスであなたのきらいな男子はだれですか?」
「クラスであなたのきらいな男子はだれですか?」

それぞれ3人ずつ名前を書き込む欄が設けられていた。

なかなかハードな設問だ。

異性の好き、は異性としてなのか人間性重視なのか?

そんな疑問を抱きながら回答した。

さらに次の日の休み時間、教卓の上にアンケートの束が無造作に放置されていた。

わたしと友人の二人がそれに気づき、こっそりアンケートを見た。

すると、好きな男子のところに自分の名前が書かれているかよりも気になることがあった。

それは、普段仲良しグループで行動している女子たちが、きらいな女子の欄に同じグループの人の名前を書いていたこと。

以降、女子たちの笑顔がすこし怖くなった。

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いま、あらためて思うことが二つある。

小学校の担任が単に把握したかったのだろうけれど、アンケートを取らなければ毎日接している児童の人間関係のことすらわからないのなら、教師としての適性を疑問視する。

もうひとつ、デジタル社会の小学生ではなくてよかったなということ。それはそれでみんなうまく切り抜けていくのかとも。


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