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【ものづくり現場でドラッガー編3:マーケティング】

*前回までの投稿は上のマガジンに入れています。

ドラッガーの言葉を紹介しながら、対話形式で製造現場での活用法を解説していきます。
 これまで勉強してきた紫耀(ショウ)の同期、雄大が現場マネジメントについて悩みを抱えタケルに相談します。ドラッガーを勉強しながら実践し、マネジメント改善を目指します。前回、主な顧客を現場メンバーと定義し、その欲求を認識するためのマーケティングを挑戦していきます。

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マーケティング対象

👱🏼‍:おはよう。工場の朝は早いね。

🧒:おはようございます。(今日は6:30だ。早いな・・)

👱🏼‍;どうかな?その後は?

🧒;はい。今回は

対象者:

各三交代のリーダー3人
 Aチーム:大杉さん
 Bチーム:古谷さん
 Cチーム:長野さん

 設備担当のリーダー1人:茨城さん

 統括リーダ1人(川野さん)

 として、計5人にインタビューを行いました。うちの現場は土日は休止する工程なので、朝、中、夜と1週間ずつ三交代はローテーションしていきます。設備リーダーと全体統括リーダーは昼勤として働いています。

👱🏼‍;土日を休止する工程ならばそうなるよね。でも交代勤務ということは、全員が同時に顔を合わすということは、ほぼないわけだ。

潜む問題

🧒:はい。インタビューの説明の前にちょっと説明しておきたいのですが、今あまりいい状態ではないのです。実は先日大きなクレームがBチームから出て、その対策でほかのチームの仕事負荷がだいぶ上がっているんですよ。そして、そのBチームは、先月、すべての工程の中で生産性が一番高いもんで、品質無視しているとか、やりやすいものやってるだなんだって噂が出ているんですよ。そういう状況に一部のリーダー不満があると聞いています。その辺も詳しく確認したいと思ってヒアリングしています。

👱🏼‍;そうか、製造現場っていうのはどうしても減点法の発想が働くんだよな。すごく狭い社会ができて、そこで誰が悪いだ、良いだが始まりやすいんだよね。でも統括リーダーはどうしているんだ。

🧒:また、統括リーダーの川野さんとBチームのリーダー古谷さんとの関係性もあまりよくないように見えるんですよ。先日、川野さんが私のところにきて、古谷さんを外したいっていうんですよ。理由は、なんだかもごもごしていて、きちんと言わないんです。ただ、私が転勤してきた時、Bチームリーダーの古谷さんは、次期統括リーダー候補でかなり優秀だと聞いていたんです。ただ、私も実情を詳しく知っていたわけでないので、判断できないのでインタビューでそこも確認するつもりでした。

👱🏼‍;そうだね。いずれにしろ、君は主任だが少し前に転勤してきたということで、フラットにモノが見れるし、若さもあり、現場リーダーたちも話をしやすかっただろう。で、実際インタビューはどうだったの?

🧒;業務時間内のみで実施する人もいれば、それでは足りなくて飲みに行って話を聞いた人もいます。今話した統括リーダーの川野さんとBチームリーダーの古谷さんはサシ飲みに誘われました。ま、俺飲めないんですけど。。ちょっとお酒飲んだ後、飲んでジュースです。(笑)

👱🏼‍:そうなんだ。飲みに行くって方法は、今どきではないけど、職種関係なく人によってはそのほうが本音を話しやすい場合があるよね。

ヒアリング結果

🧒;それで、各人にヒアリングした結果は下記です。

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大杉さんは年長者ということもあって、結構固い感じの人です。上の指示でしっかり動く人です。現場技能は抜群な方です。クレーム関して不満を持っています。

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古谷さんは意思が強く、全体を見ようとする意識を感じました。話を聞くと決して偏って生産性重視しているわけではないし、簡単なものを造るなんてことは全くなく、たまたま生産計画通り生産していただけでした。

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長野さんは若くしてリーダーになった方で、何事にも前向きです。クレームの話も一切不満はでず、改善の時間が欲しいと言っていました。

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茨城さんは不満云々というよりも、日々が忙しくそれ以外は考えられないという感じでした。設備知識が豊かで、問題に対してもニュートラルに対応される方です。

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川野さんは現場に出てメンバーと会話する時間が少ないようです。Bチームの古谷さんのことは、きちんと考えた上でリーダーを外すという意見を持っているようです。なお、先ほど話した通り、生産性向上とQCに関して、知識・経験ともに十分な方です。それで統括リーダーになったといっても過言ではないとのことです。

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専門家たちの難しさ

👱🏼‍;そうか。なるほど。この情報から何となく、どんな人で何を望んでいるかがこれから見えてきそうだね。てか、統括リーダーの川野さんはきちんとわかって意見を持っているじゃないか、なんで古谷さんに自分の考えを明確に話さないんだ?ストレスたまる一方じゃないか。お互い。

🧒;そうなのですが、今、近づいて、いきなり話をするのはBチームの古谷さんが怪しがるし、もし理解したようになると、周りの目が気になるというか、肩入れしたみたいになるのが、得策ではないといっていました。

👱🏼‍;うーむ。ちょっと逃げている感じがあるな。

🧒;はい。そうなんです。もっと細かく理由をお互いに話をして解決すべきなんです。でも、お互い独自の世界があるというか、40前後のプロ同士なんで難しいのかもしません。ドラッガーも、これらの人を専門家と呼び

 -専門家は専門用語を使いがちである。専門用語なしでは話せない。
 -ところが彼らは理解してもらってこそ、初めて有効な存在となる。
 -組織の目標を専門家の用語に翻訳し、逆に専門家のアウトプットをそ
  の顧客の言葉に翻訳するのもマネージャーの仕事である。

といっています」。リーダーたちは、これまで修羅場を乗り越え、経験を積んできた専門家なので独自の考え方や理論を持っているのは普通だと思います。なので、私が動いて統括リーダーやBチームリーダーの思いや考え方を翻訳・説明しようと思ったのですが。。

👱🏼‍;うん。いいじゃん。

ケガの功名

🧒;そんな矢先。。。ちょっとしたトラブルが起きたんです。

👱🏼‍:トラブル?

🧒;はい。実は、またクレームが起きたんです。それが、また古谷さんのBチームから出たんです。それで、AチームからBチームの引継ぎのタイミングで設備や関係者含めて全体会議を行ったんです。そしたら、Aチームリーダーの大杉さんが、年上ということもあって「古谷、お前、品質無視して生産性ばっかり上げたいんだろ、それと楽なものををやって数量こなしてるように見せたいんだろ。それで客に迷惑かけてりゃ、無理ないぞ。そんなチームのためにうちらも一緒に対策やらされて、またクレーム起きてる。申し訳ないがお前とはもう仕事がしたくないぞ。」って。

👱🏼‍;そりゃ、のっぴきならないね。それでどうなったのさ?

🧒;古谷さんは下を向いて黙っているんです。くやしそうな顔して。それで、古谷さんの思いを私が代弁しようとしたら、統括リーダーの川野さんが、「そんなやつはいない!生産性だけ考えればいいなんてリーダーはいない。顧客に迷惑かけていいなんて思っているやつもいない。品質だけでもだめなんだ。今の収益では両立しなければならないんだ!」といったんですよ。

👱🏼‍;そうなのか。Bチームリーダーの古谷さんとはなんて?

🧒;そうするとクレームを出した当人の古谷さんは顔色が変わり、しばらく皆沈黙した後、「みな、本当に申し訳なかった。皆のアイデアを貸してくれ」って言ったんですよ。そしたら、また沈黙が続いて、不満たらたらだった、Aチームリーダーの大杉さんが「そうか、どっちかではなく両方なのか、俺もかっとなってすまなかった。わかった。品質対策をしながら、生産性も上げる方法を皆で考えよう。」っていったんです。空が明るくなる感じでしたよ。

👱🏼‍:まじか。災い転じて、福と言おうか、けがの功名とで言おうか。でも、問題解決を進めていくときって、やっぱり、お互いの意見をぶつけることが大事だよ。やっぱり揉め事に見えることもあるけど、まさに真摯に向き合っていけばそれはいい方向にしかいかない

🧒;はい。一気に雰囲気が変わりました。これで、少しづつ協力しながら皆の欲求を満たす方向に持っていけそうな気がしてきました。正直、統括リーダーの川野さんに対して、言葉で表せない真摯さを感じました。

次回について

👱🏼‍;思わぬことから前に進んだね。今日は時間が来たし終わりだ。信頼関係のベースができ始めたなら、次回はいかに人の強みを活かすべきかという課題に入っていこうドラッガーは「人は最大の資産である」といっているのは読んだね。このあたりを実践していこう。

🧒;よろしくお願いします!!

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 今回は、マーケティングというタイトルで始めていきました。マーケティングと聞く市場調査を思い浮かべると思うので、違和感があったかもしれません。しかしながら、それは定義によって異なるのです。前回、顧客を現場メンバーと定めたので、そのメンバーの欲求を確認しました。この欲求確認は非常に重要で、人という資源を活かすという次回の話につながってきます。ただ、実際はそんな無機質に強みを発揮できるわけがなく、やはり人が力を発揮していくには、チーム内での信頼関係が必ず必要になります。ですので、強みを活かすという話をするまえに上記のものがたりを挿入させてもらいました。次の内容は下記です。

なお、今回は下記を参考に投稿をしております。

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