見出し画像

魔法など、ない。:ファネル篇

まずは林田記事の更新が遅れていることのお詫びを。
愛機のMacBookの充電がイカレ、新しく購入したMacBookがテザリングするとnoteへのアクセスを拒絶するという現象につき、物理的に更新ができないままとなっておりますが、本人も焦っているのでご容赦くださいませ。

ということで、毎週更新なのであっという間にフライデーなチノアソビ大全後藤ターン。
「え、この一週間何したっけ」
「何か新しいこと考えたっけ」
もうこれだけで認知予防訓練になっていると思う今日この頃。

そんな認知予防訓練の結果出てきた後藤GPTによると、後藤はこの1週間で、新しい扉を開いていただくご案件を2ルートいただいた。
その一つがこの週末の山場であったりするわけだが、その内容に社会保障費のひっ迫を懸念せざるを得ない事案が含まれており、ここ数日、
「うちの国は社会保障費でつぶれるばい」
と口を開けば言い続けている。

こちら、厚労省のデータ。

PDFデータはこちら

そして、ニュースにもなったのが、2022年度の国の税収が最高額だったという71兆円。

出典:昨年度税収、71兆円超え=3年連続で過去最高―法人、消費、所得税が軒並み増(時事通信ニュース)

シンプルに考えて、国のお財布事情としては
年収:71兆円
支出(社会保障費のみ):36兆円

ということ。

国税庁サイトより

それぞれのデータに若干の年度ズレはあるが、もう少し長い目で見ると、
とにかく社会保障費が増え続けてYABAI
ということは確実なのだ。

国税庁サイトより

グラフの一番右にある令和7年というのは2025年であり、新卒が採用試験によく出るキーワードとして「2025年問題」を暗記していたのが懐かしいやらあっという間やらという感じである。

すぐそこにある危機。

ちなみに2025年問題とは、団塊世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となることで起こる、社会保険費の負担増や働き手不足などの問題のこと。

韓国より出生率が高いからいいや、ではなく、高齢化と少子化のバランスが異常に悪い国なのだ。

こうした懸念は市井に様々な形で痛みとなって出現しており、どこも人材不足、採用困難と言いながら、一方で「AIにとって代わられる、こわい」と言う。
everything、everywhere、矛盾である。

昨今、後藤の専門としている「広報」の分野において、もはや枕に「採用」がビターっと張り付いているレベルで、世の中、口を開けば「採用広報」祭り。

今日は、そんな「採用広報」についてのモヤをもとに、マーケティングのひとつの手法「ファネル」について書いてみたい。


「スポットで結果が出たら継続を」を分解

今も昔も、相談案件の多くで冒頭に語られる「まずはスポットで試したい」というフレーズ。
気持ちはわかる。お試しで飲んだヤクルト1000がよかったから「続けてもいいよね」の感覚だし、年間契約したけど見なかったからサブスク解約しよっか、というお話。

これは採用広報に限らず、集客施策でもPR施策でもブランディングでもほかの無形サービスはだいたい同じで、こういう企業様は美味しそうな話やサービスに食いついては痛い目に遭ってぼろぼろになり、上記フレーズを口にしてしまう事態に陥っていることが多いように思う。

もし仮に、あなたがNETFLIXを年間契約していたが、この1年で数回しか見なかったので解約しようと考えたとする。
この場合、単純にあなたの好みのタイトルがNETFLIXにはなかったからかもしれないし、あなたが忙しくてそもそも映像系コンテンツを消費する時間をとれなくなったからかもしれない。これらは顧客由来の解約理由。

一方、サービスには「使ってもらうためのコミュニケーション」という企業努力が必要だ。ゆえに、NETFLIXはアプリDLを促進するために登録されたメールにオススメのタイトル情報とDLの案内を入れ(DL案内だけだとスキップされるため)、DLしてもらったらプッシュ通知でその顧客が好きそうなタイトルをお知らせしたり、TVCMを打ってみたり、ネット広告で思い出してもらうように画策したりするのである。日常生活の様々なところにNETFLIXのコミュニケーションが襲ってきている。それを「選んだ」と思わされている可能性もある。という視点でものを見るので、後藤はひねくれていると言われるのだ。

その双方の行為にあぐりーがあるからこそ、いまあなたはNETFLIXを継続しているのである。
(または、サブスク沼で把握できておらず、毎月垂れ流しているだけの場合もあるけれども)

と考えると、広報に限らず、何かの施策をスポットで試したいと考えている企業のその意思決定の背景にあるものが、先のNETFLIXのどのズレで生まれた「年間契約はちょっと…」なのかによって話は全然変わってくる。

もし、サービスを提供するサイドに営業努力やそもそもニーズに応える実力がなかったのであれば、それは致し方ない。
企業サイドにそのサービスのニーズそのものがなくなった場合や、もっといいサービスが見つかった場合も、致し方ない。しかしこちらは「継続はちょっと」という判断の前に、「そもそもがPDCAをまわす努力をすべきであると自覚する=自分はNETFLIXを通してどのような価値を得たいのかをたまに考えて、合わなくなったらやめる可能性もあると捉える」覚悟がなかったことでこういう判断になるのではないか、と後藤は思っている。

魔法はない:ファネルで考える思考の流れ

さて。こうした「継続はちょっと…」という企業からの相談の場合でも、後藤はいったんお話を聞いてみて、どこに欠損があるのかを考えるようにしているのだが、その多くが、社内で検証できないまま、定性的に「これまで使っていたあのサービスはダメだ」とジャッジされていることが大半だったりする。

採用広報であれ、PR施策であれ、人事コンサルであれ、このようにおおむね結局よくわからない状態であることが多い。
これは、赤本を買ったけどろくに勉強せず第一志望に合格できなかった人が、「赤本はダメだ、青本にしておけばよかった」と言っているようなものである。使う側にも責任と覚悟があるし、目的がはっきりしていれば先輩からもらった1年前の赤本だったとしても受験対策の本質はつかめるはずなのに、手段と目的が明確になっていない状態では最新の青本を買ってもたぶん不合格である。

では、なぜそうなるのか。
その原因究明を、マーケティングでよく使われる「ファネル」に絞って見てみたい。
(やっと本題かよ)

出典:日経BPコンサルティング

ここから先は

1,290字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?