てぬぐい「カブトガニ」誕生秘話④

「カブトガニをデザインした手ぬぐいを作る」
そこから今のデザインになるまでには、
もう一つ山を越えなければならなかったのです。

笠岡だから「カブトガニ」なのか…
そこがオモテじゃないだろ!
(もちろん心のなかにはありますが)

ここから改めて、カブトガニの生態を勉強しました。図鑑をみたり、カブトガニ博物館でジッと見つめ合ったり、小さいのはかわいいなぁとかボンヤリ眺めたり…といっても製作までにはそんなに時間がありません。

モデルはニホンカブトガニ。
カブトガニは数種類います。
アメリカカブトガニ、マルオカブトガニ、ミナミカブトガニ…ニホンカブトガニが圧倒的にカッコいいのです。(ホントです。岡山県笠岡市のカブトガニ博物館に行ってみてください。)

妻がカブトガニのスケッチを描きました。(そうなのです、原図を描いたのは妻なのです)
それをいろんな風に並べたり、
ポップでカラフルな色の組み合わせにしてみたり…
カワイイ!手ぬぐいがいいでしょ!てな感じ。イヤイヤイヤ…
またまた迷走の数日を過ごしました。
最終案を提案する時間は迫っています。
ホント「カブトガニ」そのままではなかなか可愛くなりません。

デザインのイロハも知らないシロウト。無茶苦茶やってた感じでなのです。でもね、熱量だけはあったのです。

そんなこんなでカブトガニに関するいろんな情報集めていました。(資料集めも基本的なことなんですけどね。シロウトなんです、今思い返してみたら。)改めて読んだ記述のなかに衝撃的なことが書いてあったのです。→『カブトガニは一夫一婦制で、いったん抱合の体勢をとると長期間この姿勢を維持しつづけます。(webカブトガニ博物館教養講座2より)』

ここから「カブトガニはつがいになるとずっといっしょにいる」のです。思い込み。
カブトガニの夫婦は仲が良いのです。断言。
話さないから、人には伝わらないだけなのかも。
カブトガニは、「夫婦愛」溢れる生きものなのです。恐竜が生きてた太古の昔から。

夫婦ずっと一緒に生きる。生きもの。愛なのか。
夫婦愛だよね。
愛だろ!愛。アイ。藍。
愛の色は藍。もうこの辺は語呂合わせ。
一気にデザイン化が進みます。
もうポップでカワイイとか、どこかへいってしまいました。
デザインは「カブトガニ夫婦」のみ。
ドーンと大きく。色はカブトガニの色ではなく、藍の色に近い色で。地色はそれを引き立たせる配色で。

進む。進む。止まっていたことが嘘のよう。
1日でほぼ最終形に。
カブトガニはメスの方が大きく
オスの方が少し小さいのです。
つがいになっている時はメスが前にいます。

このあたりに少しの嘘を取り混ぜて。
パンフレットのこの部分→
オスが「黙ってオレについてこい!」と言っているのか、
メスが「しっかり歩きなさいよ!」と言っているのか、
ここの「絵」がアタマに閃きました。
で、販売しているデザインになりました。

最終的には、(かなりディフォルメしていますが)カブトガニのトゲの数。オスとメスの大きさの比率。オスの特徴、メスの特徴等を非公式にチェックしていただきました。

こうしてデザインが完成。
型紙作成、染めへと。

製品が到着した時は、とても嬉しかったのを覚えています。
売れるとか、売れないとか、商業的な不安は一切ありませんでした。 もうこれはホントに。

こうして、てぬぐい「カブトガニ」は完成。
現在も可愛いデザインのてぬぐい達に囲まれながら、地道に1枚、1枚とご購入いただいております。実はお客様、「カブトガニ」をご存知の方が多いのです。一時期の国語の教科書にカブトガニのお話が出ていたそうです。

前述のように、「夫婦愛」がテーマですので、時々、ブライダル関係でもご購入いただいています。有り難いことです。

「夫婦愛」がテーマですが、お客様から受ける「なんで「カブトガニ」?」のご質問には、
笠岡のことも交えながら、その頃の当店「互茶」のスタンスを話すことができるようになりました。店の営業がスムーズになったのは言うまでもありません。

ここには記載しておりませんが、アイデアのヒントをいただいた方々は数多くいます。
笠岡のみなさま、倉敷のみなさま、また染め元のみなさまに感謝しております。
改めて、ありがとうございました。

原図を描いた妻にも仲良くしていただき(笑)、販売促進のためにも「カブトガニ夫婦は仲が良い」と呼ばれるようしていきたいと思います。

拙い長文をお読みいただき、ありがとうございました。
→他のてぬぐい開発ストーリーに続きますよ。

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