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詩作講座と「無限の朝」/詩と朗読 poetry night 第77夜

 3月17日は、岡山県赤磐市の永瀬清子生家にて「そろそろ詩が書きたくなってきた人のための詩作講座」が開かれ、その講師を務めさせていただきました。詩作講座の講師は2年ぶりで、前日までめっちゃ緊張してましたが、当日の朝になったら落ち着いてなんとかなりました。講師に来てくださった方々には、私が緊張症だということはわからなかったと思います。
 永瀬清子さんは明治39年生まれ、岡山県赤磐市出身の詩人で「現代詩の母」と評されており、農家の仕事など生活の中から立ち上がってくる言葉、女としての生き方などを詩に書き、今でも多くのファンを生み出しています。もちろん私もファンです。
 現在「永瀬清子生家保存会」というNPO法人の皆さんが、彼女の生家を詩の聖地にしようと、生家の改修、保存、永瀬清子の文芸活動の研究と普及、詩を通しての県民の文化の向上などの活動をされています。また「永瀬清子現代詩賞」を創設し、全国からたくさんの詩人が応募、受賞されています。
 その文芸活動の一環として、この詩作講座を開いており、私は今回で2回めの講師を務めさせていただきました。この講座、名前が面白いですよね。「そろそろ詩が書きたくなってきた人のための詩作講座」なんて。永瀬清子現代詩賞の募集期間の真っ只中なので、この講座を詩を書くきっかけにして、現代詩賞に応募してくださいね〜という主催者の思いもあるようです。

さて、
「なぜ詩を書きたいか。」
「どんなときに詩を書きたくなるか。」 

 そんな問いかけから始め、書くための気づきなどを話し合ったあと、実際に詩作タイムへ。
筆が進む人、じっと考え込む人、いろいろですが、皆さんそれぞれご自分が書いたものを説明する、その話の中に「おお!」とうなるような発想や、光る言葉が入っていることもありました。そのことを言いますと、その方の瞳がキラリン✨となり、詩に反映されると、詩がとても生き生きしてくるんです。
 光る言葉はいつも自分の中にある。それを発見することが詩を書く喜びでもあるなあ、と改めて思いました。
 自分自身を写していている皆さんの詩が、もっと良くなるように、私も原稿を全集中して読み、思いつく最善のアドバイスを精一杯いたしました。
参加した皆様にも何かしら得るものがあったり、楽しんでいただけたなら幸いです。
 また、永瀬清子生家保存会の皆さまには、いろいろとお世話になりました。心より感謝申し上げます。
 この日は最後に、何気ない生活の中からこんな詩ができたよ、という例として、私の「無限の朝」という詩を朗読して終わりました。

「無限の朝」

冬はまだほの暗い
空に傾く
三日月を見上げながら
夏ならば
鳴き始めた蝉の声に
背中を押されつつ

ガサガサする袋を下げ
こことあそこを行き来する

私は
タシハワ
シハワタ
ハワタシ…
ビデオの早送りのように
飛び飛びの記憶のまま
身体は忠実に
プログラムを遂行する
シャットダウンできない
無限ループで

疫禍が世界中を跋扈しようとも
たとえば
ここで文明が滅びようとも

ゴミ出しの朝

数えながら
この惑星(ほし)と共に
往く

 週に2回、毎朝ゴミ出ししていると、私の生活はゴミ出しを基調として成り立っているのか?生きるってゴミ出しすることは?ゴミ出しがプログラムされているゴミ出しロボット?なんて思えてくるんです。それがこんな詩になりました。


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