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『キネマの神様』山田洋次監督と描く物語(デザイン秘話)

松竹映画100周年記念作品
山田洋次監督作品
「キネマの神様」(2021公開予定)

映画の中を生きる人たちのビジュアルが公開されました! 

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(ゴウ/沢田研二)

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(若き頃のゴウ/菅田将暉)

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(淑子/宮本信子)

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(若き頃の淑子/永野芽郁)

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(若き頃のテラシン/野田洋次郎)

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(晩年のテラシン/小林稔侍)

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(娘・歩/寺島しのぶ)

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(銀幕スター・桂園子/北川景子)

これを全て繋げると

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時代を超えて、繋がっています。
今後、更に繋がっている人々が現れる予感のするポスターです。

神様が寄り添ってくださってるかのような
鮮やかで光溢れるポスターに至るまでのデザイン秘話と映画の魅力をお伝えします。

あなたがいたから
私でいられた
人と人がつながれない
そんな今だから
あなたのことを 思います

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(2020年5月16日読売新聞朝刊)

主演を予定していた志村けんさんの四十九日に放たれたメッセージ。
この時から今回発表されたビジュアルは繋がっているのでお話致します。

2020年4月、クランクイン予定の主演志村けんさんは、コロナ感染から容態を悪化され3月29日天に召されました。日本中が涙を流したあの日を今でも我々ははっきりと覚えています。
goen°は、年明けから撮影を開始していた若き頃のゴウの時代(菅田将暉さん、永野芽郁さんなど)の撮影が順調に行われている最中、宣伝ビジュアルを企画し始めていました。
映画館に浮く椅子に志村けんさんを先頭にキャストの皆さんが描かれているビジュアルなど、数多く検証を始めていました。そのどれもに志村けんさんの姿はあったのです。

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(当時の新聞の切り抜き)

映画が大好きな志村けんさんは、松竹映画100周年記念の映画撮影所を舞台に描かれる本作の主演にふさわしい素晴らしい方です。映画が好きすぎることから、俳優業を拒んでこられた志村けんさんは、脚本と山田洋次監督との出会いによってこの「キネマの神様」が初の主演映画となり、準備も気合いが入っていたようです。

しかし、私たちがスクリーンで志村けんさんのゴウを観ることは叶いませんでした。映画制作チームはコロナ禍の中、悲しみに暮れましたが、映画を完成させ天国にいる志村けんさんに必ず届ける気持ちで再開されました。
そして、この想いを受け止めて覚悟を決めてくださったのが、長年志村けんさんと交友を深めあった沢田研二さんです。

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(公式HPより引用)

志村けんさんの想いを、沢田研二さんにバトンを渡す時に、広告、デザイン、言葉が何か力になれないかという熱い想いからコピーライターの佐倉康彦さんと松竹宣伝部の皆さんと動き出しました。
松竹宣伝部のご尽力の末、この新聞広告ビジュアルで全国発表されることになったのです。

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映画を楽しみにしてきた方をはじめ、多くの方がこのビジュアルにメッセージをみて応援してくださいました。観客のみんなも覚悟を決めた日となったのです。
私も朝、新聞を開きスクリーンに映る志村けんさんの笑顔をみて涙を流しました。そして、この映画が公開されるまで全力で頑張ろうと覚悟を決めました。
まるで、目に見えない力に導かれたかのようです。

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振り返ると今年の正月、台本やタイトルロゴデザインを検証していました。(正月の書き初めと並んでデザインが壁に貼られてました)
神様が宿るような映画のデザインを目指しました。

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(年明けにロゴや、台本など企画からデザインを検証している時のgoen°の壁の様子)

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(goen°がデザインさせていただいた台本)

この夏、これらのデザインが繋がって、原作「キネマの神様」著者・原田マハさんがgoen°に来てくださいました!
原田マハさんにお会いできるなんて思ってもいなかったのでびっくりしました。この作品に込めた親娘の想いや、コロナ禍による今の世界のことまで沢山のお話を伺うことができました。
マハさんと話したことで、その後思い描く世界が色鮮やかに染まっていきました。

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その後、沢田研二さんを迎えた撮影も順調に進行し、今回このような4人のビジュアルを発表できる運びとなりました。
ビジュアルは、映画に宿る神様を感じたいのでフィルムの感光を活かして色鮮やかに重ね合わせて制作しました。
それぞれの間に大切な関係性のものが重なっています。
山田洋次監督の作品とは思えない派手さだと思いますが、実は監督がこのファンタジーとリアルを行き来する方向へ向かってるのです!
この映画の企画は、長年監督が手塚治虫先生と昔お話した会話を胸に抱いていたことがきっかけだそうです。(詳しくはきっといつか語られると思います)
そこに原田マハさんの原作と出会いによって化学反応が起こり山田洋次監督の「キネマの神様」が生まれたのです。

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ポスターを作る場でも監督は演出してくださいます。スチール写真をみながら
「これはいい演技をしている顔…これは演技してない目をしてる…」など判断していかれます。
コピーも監督が丁寧に向き合ってくださいます。
コピーライターの佐倉康彦さんに映画を作ろうと思った手塚治虫先生の言葉から、原田マハさんとの出会い、キャストへの想い、最近見た映画、夢で空を飛ぶ話までしてくださいます。
話が面白すぎて映画を観ているかのように笑い声に溢れた打ち合わせですが、知らずうちに核心に触れていきます。
そして佐倉康彦さんはその会話から、真理へ辿り着く言葉を書いてきてくださるのです。
このやりとりは、「男はつらいよ」のポスター制作から見ていて感動します。

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(「男はつらいよ50 お帰り寅さん」チラシ2019)

山田洋次監督の映画は、どんな時代に観ても響きます。笑います。泣けます。それは「映画」というものが人生にとってどれほどに大切なものかを、いろんな時代の中で生きて作り続けているから描けるんだと思います。我々よりも最近のヒット作や新しいものを沢山吸収しておられます。
監督の仕事を、ポスター制作通して見ることができるということは大変貴重なことです。
新作「キネマの神様」において山田洋次監督は新しい挑戦をしています。撮影がほぼ終わった今も、新たな結末への演出を考えておられました。
時代に揺れながら、ずっと作り続けてるのです。
監督が今1番観たい映画は「キネマの神様」だと思います。きっと皆様と映画館で観れる日を楽しみにしています。

この先、新たに発表される登場人物のポスターも現在準備中です。
私たちは、「デザインの神様」を信じて公開まで作り続けます。ぜひ、「キネマの神様」を楽しみに応援よろしくお願い申し上げます。

(goen°森本千絵)

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「キネマの神様」松竹映画100周年記念作品
山田洋次監督作品
沢田研二、菅田将暉、永野芽郁、宮本信子
脚本/山田洋次 朝原雄三
原作/原田マハ「キネマの神様」(文春文庫刊)
(2021公開予定)
https://movies.shochiku.co.jp/kinema-kamisama/

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goen°と映画ポスター】

鈴木一真監督『監督感染』
是枝裕和監督『空気人形』『海街diary』
河瀬直美監督『vision』
山田洋次監督『男はつらいよ50 お帰り寅さん』
大林宣彦監督『海辺の映画館〜キネマの玉手箱』

2021年公開予定 山田洋次監督「キネマの神様」のデザイン。


【森本千絵プロフィール】

1976年青森県三沢市で産まれ、東京で育つ。
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科を経て博報堂入社。
2007年、もっとイノチに近いデザインもしていきたいと考え
「出会いを発見する。夢をカタチにし、人をつなげる」を
モットーに株式会社goen°を設立。
現在、一児の母としてますます勢力的に活動の幅を広げている。

niko and...の菅田将暉・小松菜奈のビジュアル、
演出、SONYmake.believe」、組曲のCM企画演出、
サントリー東日本大震災復興支援CM「歌のリレー」の活動、
Canon「ミラーレスEOS M2」、
KIRIN「一番搾り 若葉香るホップ」のパッケージデザイン、
NHK大河ドラマ「江」、
朝の連続TVドラマ小説「てっぱん」のタイトルワーク、

広告の企画、演出、商品開発、ミュージシャンのアートワーク、
本の装丁、映画・舞台の美術や、
動物園や保育園の空間ディレクションを手がけるなど
活動は多岐に渡る。

現在、本年の二子玉川駅ライズ空間のクリスマスツリーや、
青森新空港のステンドグラス壁画を制作中。

【受賞歴】
N.Y.ADC賞、ONE SHOW、朝日広告賞、アジア太平洋広告祭、
東京ADC賞、JAGDA新人賞、SPACE SHOWER MVAADCグランプリ、日経ウーマンオブザイヤー2012、
50th ACC CM FESTIVALベストアートディレクション賞、
伊丹十三賞、日本建築学会賞、など。

【著書】
「GIONGO GITAIGO JISHO」
(ピエ・ブックス/2004年)
作品集「MORIMOTO CHIE Works 1999-2010 うたう作品集」
(誠文堂新光社/2010年)
ビジネス本「アイデアが生まれる、一歩手前の大事な話」
(サンマーク出版/2015年)
絵本「おはなし の は」(講談社/2015年)
絵本「母と暮せば」(講談社/2015年)













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