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モノとサービスであふれかえる日本、モノとサービスが最低限以下のヨーロッパ。

日本はなぜあんなにモノにあふれて、サービスが過剰と言われるほどに提供されるのか。

一方、ヨーロッパはなぜこんなにモノがなくて、サービスが最低限以下なのか。

ここで言う「サービス」とは、店員さんの愛想が良いと悪いとかの態度のことではなくて、客が支払った金額によって利用できる(享受する)、使用できるコト・モノのことです。

そしてそのサービスには大きく2種類あって、
一つは民間の企業や個人事業者から受けるサービス(マイホームからアパレル、牛丼屋さん、コンビニ等々まで。)
もう一つは、学校、街、道路、警察などの公共サービスです。

ヨーロッパで生活していると、日本との違いを日々感じますが、子どもは柔軟なので、次第にこちらの感覚がデフォルトになっていくでしょうし、「日本だったら・・」といちいち比較することも無くなっていくでしょう。

しかし、50年以上も日本で暮らしていた自分にとってはデフォルトになっていくこともなく、良くも悪くも事あるごとに比較して考えてしまいます。

<サービスの違いから何が言いたいのか?>

僕はこれを書き始めて何がいいたいんだろう・・と自問すると、
「大切な家族や友人が幸せに過ごせる日本」
「いつか自分たち夫婦も帰りたくなる日本」
「子どもたちが住んで幸せを感じられる日本」
そんな日本になってもらえたらなぁ・・・
と感じていることに気づきました。

いや、モノがある、選択肢が死ぬほどあるのは一見良い。「日本ってなんでもあるよねぇ」ってしょっちゅう家族の会話にも出てくるし。
必要なモノはもちろん、必要さに気づいていない「こんな便利になりますよ」なモノまである。

コンビニにあるグミからクルマまで、とにかく選択肢が多い、競合が多い。クルマのメーカーがこんなにある国って日本ぐらいでは?

とにかくどの業界も競合がたくさんいてしのぎを削っている。そのせいで種類も増えるし低価格競争もおきる。

日本はどうしてこんなに競合する会社があるんだろう?

ヨーロッパだと例えばスーパーに行くと、お店は大きいけど置いている商品は選択肢がめちゃくちゃ少なくて、PBか有名な企業1,2社しかない商品が多い。

どうやらこれには日本の産業構造が深くかかわっているようです。

ネット上でこんなブログのコラムを見つけました。

" 海外企業は、成熟産業になると、必ずと言っていいほど、企業合併が起こる。最近は日本でもその傾向がみられるが、海外ではこうした傾向が顕著だ。主たる狙いは、競争の緩和にある。

サプライ側の企業は、なるべく標準的な製品やサービスで、規模と収益性のバランスをとりにいく。

自動車会社もどんどん減ってきている。DowがDuPontを買収するという大掛かりなM&Aが化学産業で進む。銀行もそう。成熟産業においては、大規模な合併が繰り返され、サプライ側が効率性を守ろうとする。

顧客や消費者にとっては、より便利なるのは確かに日本なのだろうが、企業の継続性から考えた場合、どちらが正しいのか、非常に興味深い問題である。" (参照:http://bizauth.com/blog/2017/0015/)

これはとても納得する。

日本はとにかくモノも多いし、サービスの充実度もすごい。それはイコール時間もコストもかかる。この部分が圧倒的にヨーロッパと違う。

公共サービスにおいてもその違いは顕著。
子供の送り迎えで毎日かなり車に乗るので、道路事情での日本との違いが目に付きます。日本との違いを箇条書きにしてみましょう。

・信号がほぼないのでメンテナンス不要
・歩行者用信号も無いが横断歩道で機能する
・アスファルトは質は悪いが長持ちする
・マンホールはたいがいへこんでいてドライブレコーダーが反応するレベル。けっこうみんなマンホールをよけながら走ってる。多少の穴もみんなよけて走る。(ちょっとやそっとでは修復工事しないということ)
・一般道の電灯は少なくて暗い。高速は料金所とIC周辺以外は電灯が無い
・標識の数が圧倒的に少ない
・ガードレールが無い

上記のことから何が分かるかというと、
日本にくらべ圧倒的にコストがかからないだろうな、ということ。

信号機1基あたりの設置費用が300~500万円程度(全国で20万基以上で世界一)で、年間維持費と電気代、そして約19年という耐用年数なので、老朽化による交換費用・・・

道路の街灯一本約100万円、そして維持費、電気代・・

道路標識一つが40〜50万円程度。アスファルトの舗装費用1平方メートルあたり約5000円。都心なんてほぼ駐車禁止なんだから、逆に駐停車していい所だけ標識設置したら10分の1以下で済む気がする。

ガードレール1m/4,500〜10,000円

それぞれ、そんなに高いの!?と思いますが、
道路設備の会社は天下り先になってるそうで・・・
あー、そうか、日本の税金ってそうやって使われてるんだった。

あ、あと日本で大問題の社会保障にも関わってくるので、病院事情(ポルトガル)も分かる範囲で書いておきます。

お金に余裕がない人はパブリックの病院を選びます。
しかしパブリックの病院はとても混んでいて、緊急を要する患者と、子供以外は優先されないので、風邪やヒザ、腰が痛い、ぐらいだと何時間も待たされます。よって、ちょっとやそっとでは病院に行きません。

お金に余裕のある人はプライベートの病院に行けばわりとスムーズに診てもらえます。

ここでも日本と比べ、随分とコストが抑えられていると想像できます。

そして日本ではけっこう優先度が高いと思われる " トイレ事情 " (僕だけか??)
先日こんな投稿をしました。

ヨーロッパのトイレ事情って本当に貧相なんです。
フランスの人気YoutuberのRyoko Paris Guideさんのこの動画でもパリの中学校の驚きのトイレ事情が語られています。笑
https://www.youtube.com/watch?v=vpcMXNK6dCg

「800人の生徒に対して使えるトイレが一つか二つ・・・・。」
「ハサミを使わないとドアが開かない・・」

800人に対してトイレが一箇所か二箇所、ではなく、一つか二つ、ですよ。
水漏れがあっても修理に何年もかかる・・とか。

上記の道路、病院、学校は一例で、他の様々な公共サービスがそんなレベルなんです。お金かからないよなぁ、そして職員が必死に働かなくてもそこそこ給料もらえるよね、って思います。

そんなにモノを取り揃えなくても、サービスを提供しなくてもそこそこの給料を手にできるということ。(対日本比較)

その代わり我慢したり、あきらめなければならないモノやコトもある。結局トレードオフなんですよね。

きめ細かいサービスで、欲しい物がなんでもあって、全てが快適に整備されていて、ってなると、そこに時間もお金もかけなくてはいけなくなる。それが回り回って自分にも影響を与えているってことなんだよな。

不便で我慢しなくてはならないことも多いけど、時間に余裕があって、お金もそこそこ稼げる、のんびりコーヒーも飲むし、終業したらすぐ帰るし、警察官もタバコ吸いながら道路工事見守るし、イケアの店員さんも朝ドーナツ食べながら仕事するし、間違えるし、時間かかるし、店も客も対等に話するしetc…..

こんな感じのほうが人間的でギスギスしなくて、幸せ度はあがるんじゃないかなぁ、と僕は思う。


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