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「石の上にも三年」は長すぎる

「石の上にも三年だよ」ーー。

新聞記者1年目の夏、当時担当していたある企業の広報担当の方にそう励まされた。僕は10年間、新聞記者の仕事にかじりついた。

でも、特にITを取り巻く世界では、3年間も石にかじりついていたらダメかもしれない。

ダメというよりも、それ以上に時代が変化するスピードの方が早くて、いつのまにか周回遅れになっているのだ。

塩谷舞さんは有料マガジン「記憶に残る、Webメディアの作り方(塩谷舞)」で、以下のように述べている。(有料なので詳しい中身の説明は控える。めちゃめちゃ面白いのでぜひ購読してほしい)

私はまだ20代ですが、ネット暦は20年なのでもはや古参。他の業界でいう若手が、インターネット業界だと古参……だからネット業界では「石の上にも3年」は「実際は1.5年」くらいの解釈で良いのかもしれません!
(引用:Webメディア界隈の、重要な出来事9年分を10分でお届けします!【2万文字】)

この感覚は個人的にかなりしっくりくる。

実際に周りを見ていると、IT業界、特にスタートアップで働く人の転職サイクルは、他業界に比べて圧倒的に早い。1年すぎると「割と長い方だね」という感覚になる。これはネガティブな意味ではなくて、業界全体の様々な進行スピードが少なくとも2倍は早いということだと思う。

変化の激しい今の時代は、3年も経つと新しいサービスや製品ができていて、いつの間にか周回遅れになっている。名前は同じでもサービスがまるで変わってしまうものはいくらでもある。プラットフォーム自体がなくなることだってある。

株式会社マネネ代表取締役社長CEOの森永康平さんは、ダイヤモンドオンラインに寄稿した記事の中で以下のように指摘している。

まず、転職を思い立った際に、周囲から「石の上にも3年」などと言われ、今の職場で頑張れと説得されることは多いはずだ。しかし、筆者はそのような意見には否定的である。十数年前ならその意見も正しかったが、これだけ時代の流れの早くなった現代において、「3年」というのは非常に長い期間だ。3年もあれば、産業によってはプレイヤーの顔ぶれが一気に変わっていたり、はたまたマーケットが誕生・消失したりする可能性も十分にあるだろう。
(引用:ダイヤモンドオンライン・石の上にも3年」は危険!日本の転職文化、激変の現実)

森永さんの記事では、背景となるデータや社会状況を丁寧にまとめて紹介している。とても良い記事なのでぜひ読んでみてほしい。

それにしても、塩谷さんと森永さんという異なる分野のお二人が、偶然にもほぼ同時期に「石の上にも三年」について言及していたのが興味深い。時代の潮目なのかもしれない。

3回転させると技術は飛躍的に定着する

変化のスピードが早い世界で、僕は小さくてもいいから、試行と振り返りをなるべく早く「3回転させること」が大事だと思っている。

例えばライティングの場合、特に特殊な設備やお金をかけなくても、無料のツールやアプリでスモールスタートで試すことができる。このnoteのように。

記事は何らかの形で計測してすぐに振り返ることができる。自分たちがやっていることがうまくいっているのか、正しいのどうかを確かめることができる。

この試行と振り返りのサイクルを3回、なるべく早く回すことによって、コンテンツの質や魅力を飛躍的に高めることができる。

なぜ3回転なのか。それは「石の上にも三年」を実践した経験に由来する。

新聞記者時代、1年目は何をやっているのかわからないままにただがむしゃらに時間が過ぎた。

2年目になって仕事のサイクルが見えてきて、記事の書き方も覚えて仕事に再現性が生まれてきた。

3年目でさまざまな課題や改善点をクリアして、目に見えて取材や記事を書くことが面白くなっていった。

新聞記者の仕事という大きなサイクルを3回転させることで、新聞記者の仕事のフレームワークが僕の中で血肉となった。もちろん、3回回した後も不断の努力とブラッシュアップは必要だ。

すべてを3年間で回す必要はない。好きな速度で3回、回せばいい。別に5年でも10年でも自由だ。でも回すなら早いほうがいい。

「石の上にも三年」は今の時代、「石の上で3回転」だ。

とりあえず何でも3回、やってみよう。

最後までお読みくださいましてありがとうございます。いただいたご支援につきましては、どんなことに使ったのかnoteで随時紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします♪