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(連載28)車社会でバス利用!天下無敵のバス・ライダー達:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1990年半ば

前に、シルバーレイクという場所にに引っ越したというお話しました。

このシルバーレイクってところ、マジ、今ではヒップな人たちの住む代名詞みたいになってしまったんですよー。涙。映画にもなったんです。

なので、近くのマーケットには、モデルとかショービジネスに出てるような人ばかりになり、私みたいなアジア人の中年のおばさんが、ノーメイクで、ボリボリ頭なんか書きながら、マーケットにはいると、もうセキュリティの人がくるんじゃないかと思って、ヒヤヒヤです。

今だと、東京でいうと、代官山みたいなかんじでしょうかね??

でも我々が引っ越した90年代の中頃は、まったくの、アンダーグラウンド。。。。。で、家賃も安かったし。そういうアングラでエッジなところがが居心地のいい自分です。

だから引っ越したっていうのもあったんですよ〜。

ちなみに、引っ越した直後にその辺の小さいカフェみたいなとこ(日本だと定食屋みたいな)で、朝飯をカウンターで食べてたら、そこのオーナーっぽいおばさんと、そこに毎日くるであろう男性が会話してて。。。

「僕さ〜。雑誌に取材されちゃって、今でてるマガジンに載ってるんだよ」

おばさん「へえーなんていう雑誌?」

男性「レザーマガジン!」

おばさん「わ〜〜すごいね。おめでとう!」て。

レザーマガジンて、要するに皮フェチの人たちの雑誌で、なんていうか、三島由紀夫の薔薇族みたいな感じの。。。(苦笑)

なんか、そういう会話が、昼間に定食屋のおばさんとそこの常連客で買わされているのを聞いて、すごく、嬉しかった〜〜!!私はレザーフェチではないですが。。。汗

でも、そういうサブカルを包括するようなご近所さんというのが、すごく居心地外いい〜〜!!

その当時はそんなかんじでしたが、しかし今では。。。。。

もう、これ以上。。言うまい!

で、まあ、当時の話にもどります。

そういうシルバーレイクに引っ越しの直後に、夫のトッシュはベニス・ビーチの前にもお話した、アートセンター「ビヨンド・バロック」に、フルタイムで就職することになったんです。

で、これも前にお話しましたけど、トッシュは車の運転はしない、つまりバス・ライダーなのです。(バス利用者)

バス・ライダーって、つまりバスに乗る人って事ですが、つまりロサンゼルスで車を運転しない。もしくは、車を持ってない。。。。というのは、かなり、アウトサイダー(変人)です。(きっぱり!)

で、夫も変わってるッチャー変わってるんです。(でもナイスな人)

その仕事場は、つまりシルバーレイクからベニスビーチまで、片道、たっぷり1時間半かかるのですよ。つまり毎日、通勤だけで、3時間から3時感半。それもバス次第。。。。みたいな。

しかし、夫のトッシュはそういうのは平気みたいで、

「そんなの、まったく、問題題な〜い!」と言い切りました!

バス・ライダーは、強いっス!

(我慢強い!って意味です。体が強いっていうよりも。笑)

ちなみに、まだその頃はバスのアプリはないですんで〜。バス停で待ってても、マジで、バスがいつ来るかわからないんです。

まだサンセットは大きい通りだからまだバスは頻繁にくる方ですけどっ。

バス停でいつ来るかわからないバスを、じっと待ってる夫。いじらしくもある。。。かわいくもある。。。

でも、なんかせつなくもなる。。。。

ぴゅ〜!

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これは彼から聞いた話ですが、(なので、私の脳内の再現で書いています)

ある日、彼はいつものように、ただバス停に立って、じっとバスを待っていた。。。

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そしたら、いきなりパトカーがピーポーピーポーとすごい音で数台かやってきた。そして、バス停の、トッシュが待ってるまん前にキー、キー。キーいーとまるで、映画のように次々に、止まった。

そしてバタン、バタンとドアを締める音。中から、おまわりさんたちがおりてきた。

で、彼らは、トッシュがバス停に立ってるのをまったく無視。

まるで彼が透明人間のように、黄色い侵入禁止のテープをそのあたりに、張り出した。

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そしてバス停の、トッシュが待っているすぐ隣にテントをはって、テーブルと椅子をおいて、そこはまるで警察の臨時の事務所みたいになった。

トッシュは、いきなり何が起きたかもわからず、唖然としてたら、あっというまにどんどん、おまわりさんが増えていき、自分が取り囲まれてて、、、それでも彼になんの説明もなく、彼の方が先にそこにいたんだから、おまわりさんが「あんた、邪魔だよ、どいて!」っていう筋合いもないし、、、って事なのか?

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ただ彼の周りで、忙しそうに、あたふたと動き回り、無線のやりとりをし、それでも、トッシュはトッシュでどうしたらいいのかわからずに、じっとただ、バス停で、あっという間に警察の仮設本部になってしまった、ど真ん中で、

すっと、だまって、何事もないようにバスを待っていた。。。と。 

その後、バスに乗れたのか? おそらくトッシュはおまわりさんだけでなく、バスの運転手にも、無視されたにちがいないです。。。。

ああ、夫は、なんという市民でありましょうか!この不条理!


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また、こんな話もありました。

バスの中で、ちょっと頭のおかしい「ぶつくさ親父」がいたそうです。そして、大声でまわりに座っている乗客の悪口を、片っ端から言っていた。

「おめえーはなんだよ、そんな変な服きやがって〜〜」とか、「ケッ!なんて顔してやがるんだ〜〜」みたいなかんじで。

周りに人たちはみんな、彼と目を合わせないように無視していて、本を読んだり、音楽をイヤフォンで聞いたりしてたが、車内はその親父のせいで、かなり緊張した空気になっていた。

そこに若い美しい青年が涼しい顔して、乗ってきた。

しかも、手には花束を持って。

じゃ〜〜ん。

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まさに、飛んで火にいる夏の虫、、じゃない、美少年!

乗客もみんな心の中で「やっべ〜〜!!!」と、思ったにちがいないです。

何も知らないで乗ってきたその青年は、こともあろうに、そのぶつくさ親父のとなりの席に座ったんです!!だって誰も座ってませんからね。

当然の事、その親父は、そのまずその花束にケチを付け出した。

「なんだってんだよー。この花はよーー」

「け。そんなん、持ちやがって〜〜こんちくしょう〜〜!!」

「なんとか言ったらどうなんだ〜?」

「え〜?弱虫野郎が!!」

片っ端からいろいろ言い出した。。。

しばらくはだまって、そのタワゴトを聞いてたその青年ですが、

急に

ものすごく大きい声で、

あんね〜〜!

おっさんヨぉー〜〜!!


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俺はね。

うちのマザーがね、ガミガミガミガミ、ああしろこうしろって

うっせー事、毎日言うからうよぉ!!

今、頭のね、眉間ね、ぶち抜いて

ぶっ殺してきたとこなんだよ!!

この花はそのマザーの為に買ったんだよぉ!!


周りは驚いて、しーーーーーーん。

もともとシーンしてたのに、

違うレベルでのしーーーん。

で、タイミングよく、次のバス停でバスは止まって、その青年はさっさと降りていった。

そうです。

そのあとの乗客の顔。。。私はみてないけど、想像するに、

あ〜〜!びっくりした〜〜〜!!てなもんでありましょうね。

それから、そのぶつくさ親父は、シーーーーーンとなったそうです。

クレイジーな人がもっとクレイジーな人が怖いんですねー。笑

まあ、ともかくバスライダーはネタの宝庫であります。

あ。

ついでにもう一つ、ダークな話もありました。これは別のバスライダーから聞いた話。

ギャング同士が、バスの中で鉢合わせになり、お互いが声をはりあげて、口論がはじまったらしいのです。それで、乗客は恐れおののき、次のバス停で、全員が降りちゃったのですが、

バスの運転手は降りれませんから。苦笑 また、発車して。

そのままバスはそのまま、ボコボコに殴り合っているギャングがを乗せたまま真っ暗な通りの中に消えていった。。。。と。

すごいイメージですね?

あ、またこんなのもありました。

いきなりバスの中で、乗客が倒れたらしく?

トッシュがバスに乗ると、通路に人が倒れてて、

バスの運転手の方も大変ですね。携帯もない時代ですし。なんかどこかの救急の人と待ち合わせしてたらしいですけども、そこまでは亡くなった方をそのままにして、運んでる最中だったみたいです。かといって、バス停を通過する事もできないので、バス停にはいちいち停止して、人が乗り降りする。

なので、みんな、その人をまたがって移動してそうです。

ひえ〜。

バス・ライダー!強し!!(精神的に)

でも、トッシュはバスが好きだといって、バスがストライキになって、5日間くらい乗れなかった時は、早くバスにのりたいな〜って、遠足を待ってる小学生のようでした。

さっそくストライキが終わったら、乗ってくる!!と目的地も告げずに、自由の旅に出たりしたのでした。。。。

ロサンゼルスのバスライダーは無敵です!!

すばらしい!!

L*

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