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(連載82)夏の伊豆大島で作品制作:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2015年

今回は、2015年の伊豆大島の夏。

「アートアイランズ東京2015国際現代美術展」に、招待していただいたお話をしようと思います。

以前ロサンゼルスに住んでおられた堅川可奈さんという、ご本人もアーティストでいらっしゃるのですが、私の埼玉近代美術館の展覧会に来てくださり、このアートフェスのキュレーター、高田芳樹さんに推薦していただいて、実現しました。

伊豆大島にアーティストを招いて、約一ヶ月間滞在、作品制作をして発表するという、レジデンス形式です。

この回で5回目だという事でしたが、この時に参加したアーティストは全部で二十二人。そのうち、外国からのアーティストは四人でした。

私もアメリカから、、、ってことで、一応、外タレ(外人タレント)扱いでした〜。笑


このお話をいただいた事を、夫のトッシュに伝えたら、

「伊豆大島といえば、ゴジラ!!!! 僕も絶対行きたい!」

となり、もちろん自費ですが、同伴する事になりました。笑

夫はライターなので、何かインスパイアされるモノがあれば、

断然、燃える!!

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目標は、シュルレアリストに多大な影響を及ぼしたレーモン・ルーセル 「アフリカの印象」だと言い出して、、、、苦笑

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ま、普通の人には、ちんかんぶんのストーリーなのですが、出版された当時は演劇までやって、そのあまりにもの唐突ぶりに、

「逆にスゴくね?」

Youtube美術教育系の山田五郎さんの名台詞!

と、その頃の超絶とんがってるアーティストらに、えらく感動をあたえたらしい。

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これが演劇のチラシ

なんか、だいぶ実際の伊豆大島と、ちょっとズレてる気もするが。。。

あえて、何も申すまい!!


ま、夫婦とはそんなもんです。


一方。昭和時代に育ったアタクシ的には、ですよ。

伊豆大島といえば、もう自分の人生のエンタメ原点ともいえる、これしかないです。


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コロムビア

この頃、まだ生まれてない方のために、ウィキにはこうありました。

この歌は伊豆大島を舞台にした楽曲で、波浮港も登場する。表題中の「アンコ」とは、あんこのことではなく、伊豆大島のことばで元来は目上の女性を指し、「お姉さん」の訛った語とされている。

1964年に発売されて、ものすごい大ヒットしたんですよ。
子供の頃は全く知りませんでしたが、このハブのみなととは、伊豆大島にあったんです。

映画にもなっていたとは、知りませんでした。

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松竹映画

実はコレ以前にも1923年に、野口雨情作詞・中山晋平作曲の歌『波浮の港』が流行したこともあって、その頃(つまり大正時代)から観光客が増加したそうです。

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こちらも映画になってます。

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それだけでなく、、、

波浮港は川端康成の小説「伊豆の踊り子」の舞台となった場所でも あり、そのモデルとなった旅芸人一座は大島で生活している間、港 屋旅館で演芸を見せたり、踊り子坂(地元ではこのように呼んでい る)を上がった ...

その旅館は、まだありました。そして観光客のために開放してたので、行ってみたら、摩訶不思議なマネキンがおいてありました、、、。

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これが、音楽に合わせて チン・トン・シャン て、カクカク動くんです。

あまりに唐突で、レーモン・ルーセルを見た当時のアーティストのように感動しました!!

しかし、、、

そういうロマンチックなストーリーの裏で!

こんな謎の写真が!!

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コレすごくないですか??

頭に、男二人乗ってますよ。

もう「アンコ椿は恋の花」なんて、歌ってられないくらい、当時の女性は肉代労働を強いられていた!!! 涙

そして、どさくさに紛れて、ここに、あの!ナチもきてる!!ひえ〜

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ドイツと日本は、戦前は同盟国でしたからね、、、。

ディープな歴史を感じさせますね。

これらは波浮港に関する資料館「金子勇博古館」というところで、見せて頂いた写真なのですが、こういうのもちゃんと残しておいてくださる姿勢はありがたいですね。

話が急ぎすぎました。 ちょっと戻しますと。

ともかく、現地について、まず、

大自然が自然すぎてて、そのオーラがすごくって、もう押しつぶされそう。。。。(三原山火口付近にて)

ぎょえ〜〜!! 何?この圧!!!

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そして、気候にもびっくりしました。

我々、ロサンゼルスから、もともと乾燥してるところからいきなり
蒸し暑ぅーーーーーい島へ、、、なので空気が重いのなんのって。。。。

その上、雨がいきなり降りだすんですよ。。。。

ポツポツきたか〜?って思って傘を出して、開いている間のその間5秒くらい?全身シャワーを浴びたように、ずぶ濡れ。

雨が降る前から傘をさしてないと、もう手遅れでした。

そして、至る所に猫がいて、我々を覗いている。

どの猫も 頭が小さい。

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滞在先の周りの住宅街を、歩いてみると、なんかふしぎな島独特の雰囲気。

もうこれだけで、アート作品か?

石の標本崖

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謎の切り株

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謎の斑点

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謎の排水管

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謎のタイヤ跡

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そして、これが、アーティストの作業場とメインの展覧会場になった旧波浮小学校です。この他にも展覧会場は島の中にいくつかあり、それぞれのアーティストが選べるようになっていました。

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この小学校は、134年も続いたらしいのですが、2009年に閉校になったそうです。

計算してみたら開校は1875年!! 明治8年からですよ!!

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私は、ここで、この部屋を作業場として与えられたのだった。

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これが、初代の校長先生でしょうかね? チョンマゲ!

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歴代の校長先生のお写真が、ずら〜と。

右上の方はお公家様? その割にはエキゾチックなお顔、、、。

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まだ、閉校になってから6年しか経ってないので、トロフィーや学生達の写真もそのまま置いてありました。

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こんな部屋を私のようなものが、作業部屋として、遠慮なく使わせていただいていいの?

とも、思いましたが、荷物を持ち込んで、気がつけば、すぐに、こんな状況であります。

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こちらは食堂で、ボランティアで食事を作ってくださる方たちがいて、アーティストが交代で、お手伝いします。お掃除なども、みんなで、順番、交代制です。なんか、学生に戻ったみたいで、楽しい!

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ついて、すぐ仲良くなった、ニュージーランドからのバル・スミス (ジェンダーレス人)

国際アーティストだけで大島支庁に表敬訪問する事になり、彼女から服の相談をされて、これでいいかな?って。

髭?はさておき。。。服はバッチリでしょ?とおすすめした。笑

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これが到着してからの記念撮影

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左がキュレーターの高田さん。

中央が町長様。

な、なんか、笑ってない!!!笑

彼以外はもう満遍の笑顔ですが。。。。爆笑


この伊豆大島体験、丸一ヶ月の滞在、結論を申しますと、本当に楽しかったです。アーティストだらけに囲まれて、朝から晩まで自分の作品を作る事ができる状況は、本当に幸せだなあと思いました。

迷った時にいろいろ相談できる人もいて、頼もしかったし、何よりも刺激になりました。

本当だったら、全員の作品をご紹介したいのですが、すみません。何人かだけ、ご紹介します。

堅川可奈さん 「雫・心・椿」展示は、学校内

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尾形勝吉さん 「空へ U氏にささぐ」展示は鉄砲場

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勝田徳郎さんの作品 「タマゴから生える。。。」展示は旧甚の丸亭

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石村まなみさん 「アンタイトルド」展示は学校内

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そして、肝心の私、、、、といえば、こんなのを作りました。


島の地図のメガネ

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島のシャツ

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襟の汚れが島の輪郭になってる


それから。

材料は主に、島にあるものを使うというので、私はチキンワイヤーをリクエストして、学校の校庭にあった、松ぼっくりを拾ってきて、こういうのを作り、

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松の木にお返しした。笑

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松ぼっくりのドレスを着せられた松の図


この他にも、 私は勝田さんと同じ、波浮港の網元が住んでいたお屋敷、旧甚の丸亭での展示もしました。

外観はこんな立派なお屋敷です。

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事前にメンズのシャツは用意していたので(自分の長年のテーマだし、これしかできないので)

木にシャツを着せてみた、、、、の図

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そして、これが口上です。(パンフレットより)

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もうひとつの展示作品は、シャツの残り布でスリッパを作ってみた。

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で、甚の丸亭の中のこれを御座敷にならべて、いろいろやってみたのだが、、、。

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なんか、エレノア・アンティンというアーティストの「100のブーツ」みたいかなあと思って。(アーミーのブーツをいろんな場所に並べて写真にしていた)

キュレーターの高田さんに相談してみたら、「それよりも畳をスリッパで歩きまわっているようなイメージが、空間をリスペクトしてないように見える」と。。。。苦笑

日本人はスリッパで畳の上は歩かない。そうだ、私は外タレだったのだった。笑 

それで、結局。これに落ち着きました。

ただ、向き合っているだけ。部屋の中では、初対面で人と人が向き合うだろうし、二つのグループが「はじめまして」とお辞儀してるような、イメージ。履き物をその境界線のマークとして。

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以上が展示した作品です。

このほかに、同時期にパフォーマンス・アート(イベント)も開催されて、私は、その中の一つとして、地域密着型のファッションショーもやりました。

題して、

伊豆大島コレクション2015!!

次回は、そのレポートをしようと思います。

でわでわ、、、。

あ、、、、、追伸がありました。

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よろしくお願いしま〜す!!

L*






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