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(連載74)日本で初めての展覧会:レジデンスでの制作:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2012年

今回は、埼玉でアーティスト・イン・レジデンスをやることになったというお話の続きです。

つまりっ

これは何を意味するかといいますと、その延長で、日本ではじめての展覧会ができることになりました〜!


わーい!!

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実は、

1990年代に、まだ自分がハンドバッグの作品などを作っている頃、日本で展覧会をやらないか?というお話があったのです。(東京です)


しかし、その時は、

自分の年齢を言ったら、、、、

話がいきなり、、、なくなったんですよ!


理由は「若い、これからのアーティストを探しているので」と。


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。。。。。ああ、なんという不条理!!

作品どうの? じゃなくて、年齢?



が、しかし、こればっかりは。。。。仕方がない。

年をごまかすアーティストって聞いた事ないしなー。汗

まあ、相手が求める人材に自分が見合ってなかったって事かー。


日本に行った時に、80歳でDJをやってるおば(あ)さんが、新聞に写真付きで取り上げられてて、妹が、「お姉さんはこちらのタイプだね〜、まだまだ、大丈夫!」と、励まされ、なーんだか、嬉しいような悲しいような不思議な気持ちになりました。


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そんな大昔のことはどうでもいいので、前回からの続きに、はりましょう。(今回のこの話も2012年のことなので、かなり昔ですが、、、。苦笑)

アーティスト ・イン・レジデンス、、、とは、つまり、現地で制作をして、その作品をその場所で見せるという、展覧会までが、セットになっているので、この時はスムーズでしたよ。年齢制限枠(が、あったとしたら)以前の時よりも、さらに大幅にはみ出てましたのでねー。ぷぷ〜〜。笑


さて、このレジデンス・プロジェクトのキーマンはこの方です。

プロの格闘家でもあり、自らもアーティストである飯島浩二くん。

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彼にいろいろと奔走していただき、大変感謝しております。彼なしでは、このプロジェクトは実現できませんでした。


展覧会をやる場所は、はじめは決まってなかったのですが、候補にあがっていた場所が、いくつかのギャラリーの他に、埼玉県立近代美術館というのがあったんです。なので、

「是非、そちらにしてほしい!!」と、お願いしました。

もちろん、美術館の企画展ではないですが、「初めての展覧会が美術館」というのが、オフィシャルで、誰からも認められたアーティストになったような気がして、テンションが上がりました。

いつもは「お役所など大嫌い」なのに、こんな時だけ、好きになるご都合主義な自分でありました。

なぜ、自分はいつも「お役所がきらいなのか?」というのは、つまり「お役所から好かれた事がないから」だったんだ、と、この時、気がつきましたねー。苦笑


フライヤーも、作っていただきました。

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左が今回のレジデンスのパートナー、前回も申しました、デトロイトのアダルトというバンドのアダムです。

二人で一つのスペースでシェアしますので、個展ではなく、二人展ですね。


さてさて、レジデンスのレポートを開始いたします。今回は写真のテンコ盛りでまいりましょう!

まず、私が埼玉入りして、その2日後にアダムと妻のニコラがアメリカから、乗り込んできました。

これが、ステイさせていただいた家の前です。 日本家屋の一軒家でした。

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到着したばかりの二人。

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この、レジデンスの家の前に空き地があるなー、畑かな〜?と思ってたら、は、実は、墓地の候補地だったのでした。

アダルトにしたら、パーフェクトなウエルカムなイメージ!!だったと思われます。こういう物議醸し出す系が、アメリカ人のアーティストは好きですからね。笑



初めての日本で、嬉しそう。最初のディナー。

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それにしても、このお品書き、今見たら、全て、安い!

カルビ定食が八百八十円??

一口カツ、4切れで五百八十円ですと〜????

さすが、日本!!



家の裏に、制作スタジオがありました。

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スタジオの入り口。 アダムは背が高すぎて、、、、、

さすが、日本!!


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このお家のオーナーの矢崎さんが、偶然にもリサイクル工場をやっていたので、そこにも表敬訪問。。。。

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そして、スタジオには、あらかじめ、工場に集まってくる、古着の白シャツの襟を確保してもらっておいた。

これを見て、驚いたのは、、、、、

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なんと、シミが少ない!!!


さっすが、日本っ!!!!!!



このレジデンスのお家は、大宮駅からバスで15分くらいのところにある住宅地で、ご近所は、一軒家がズラズラっとならぶ、静かな環境でした。

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店はバス通りに、回転寿司と、セブンイレブンしかなかったのですが、通りに出るまでの道すがらのヘイに

「動物がいます。のぞいてください」

って書いてある家があって、

除くと、小さな庭に亀と犬とロバがいた。笑

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家の庭で動物園っ!

しかも、マルセル・デュシャンさながらの覗き穴仕立て!!!

大宮、ヤバい!!


そこをとおるたびに毎回、覗いて、ロバに挨拶した。


そして、ラーメンカラオケ屋があったが、そこは、いつも閉まっていた。。。。


早速、スタジオにて、縫い子活動開始であります。


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ちょうど、アシスタントの一瀬拓也くんも日本に帰国していたので、お手伝いしてもらう事になりました。

はい、目線こっち〜〜 

ニコっ。

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アダムもとなりで、作業開始。

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上の絵でもわかるように、アダムの絵は建築をテーマにしたものでした。

なので、私のテーマは、「白シャツの襟で作ったのインテリア」にしようと思いました。

つまり、

((( 汚れの首輪のお部屋)))です。

白襟は、自分がアメリカから持ってきた「汚れの付着強め」のと日本で集めた「汚れ薄め」のを整理して、

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日本のシャツは、調べると学生の制服が多く、小さめで、あまり汚れてなかったので、それには自分のネームタグをはっていった。

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シミのあるものとないものを混ぜて。。。。。

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また、妹夫婦が目黒でインテリア・ショップをやっていたので、それをあてにして、リメイク可能なソファや照明を現地に運んでもらった。また、その家具屋仲間の上田くんも茨城からかけつけて、ベッドを寄付してくれた。

ふたりとも、強力な助っ人でした!感涙!!

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完成した、汚れの首輪のクッション。

ともかく、毎日毎日、ただ、襟をつなげる日々。。。。。


一方、いっしょに来たアダムの妻のニコラですが、彼女もアーティストで、写真やビデオも作っています。

ただ、今回のレジデンスはアダムだけになりましたが、彼女の作品も素敵なので、ご紹介します。

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不思議な世界観がありますね。


彼女は、我々がスタジオで制作している間、昼間はひとりで、近所を探索したり、買い物にいったり、

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ある日など、帯をどこからか、買ってきて、

いきなり、こんな、帯仮面?で スタジオに現れたり。。。爆笑!!

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怖いような、おかしいような。。。。。

こちらは 帯仮面=和風 からにインスパイアされた、洋物バージョン。笑

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こんなのを、作っては、もくもくと、一人でビデオを撮影したりしてるらしかった。笑

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彼女独特の世界観ですねー。笑


レジデンスって、、、なんか、楽しい〜!


朝おきてから寝るまで、クリエイティブな環境!!

アート制作のことだけしか、考えなくていい!!

私はもともとグルメでもないから、食事などは、セブンイレブンで十分だし。こんなの、一生やりたいな〜〜!

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家の一角でミーティングがすぐできるし。

昼間のミーティング + ビール

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夜のミーティング + ウイスキー

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こうやって、なんだかんだ、そういうしてるうちに、アダムと私の共通点である、美術以外にやってること、たとえば、音楽活動などを紹介するようなビデオを作って、流したらどうか?ということになった。

この時点では、展覧会開催までもう1週間をきっていたが、ニコラがフォトグラファーであり、ビデオアーティストでもあったので、彼女が全部セッティングして、ふたりのインタビューを撮影した。

私も今までのファッションショーのビデオなどをアメリカから送ってもらって、(当時はまだ、DVDで。)そのビデオに組み入れてもらった。

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あっという間に会場で流すプロモーション用のビデオができた。

こういう突然のアイデアにも、みんなでスキルを出し合って、スピーディーに対応できるのが、レジデンスのいいところでもありますねー。

大スキで〜す!!



そして、あっという間に一ヶ月が経ちました。

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いよいよ搬入!!

埼玉県立現代美術館!!

ニックネームは、MOMAS!!


立派ですね〜〜!!さすが、黒川紀章先生!!

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美術館の庭の彫刻。。。。。

まったくもって、お茶目なニコラと飯島くん!

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美術館の案内板が眼にはいった。

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なんと、同じ時にウルトラマン・アートもやっている!!

それに、少し前にはじまった草間彌生と1日も!重なっているではないかっ!!

さすが美術館!!


あ、ちなみに、自分らはここでーす。笑

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会場の壁はこんなふうにペグボードでしたので、

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それを利用した、アダムの作品

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彼の他の作品です。

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彼の作品は、建築の見取り図や、設計図、また、記号のように現実にうまっている形や色が、突然に目の前にいきなり現れてきて、突きつけられ、絶句してしまうような、、、、時が止まったような緊張感を感じます。

長いドライブのはてに、遭遇したデッドエンドの標識みたいな。。。。




彼が三面を使って、私は一面に首輪の絵をならべて、その一角を部屋のようにしました。

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こうして、無事にオープニングを迎えることができました。

今回はここまでで、続きは次回にお話しします。

読んでくださって有難うございました!

L*

























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