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「習慣形成力」は超重要ビジネススキルだった

ダイエット、禁煙、節約、勉強…。こういった習慣は意思の力で成功するのだろうか?

こんな問いではじまる、「超 習慣力」という本をよみました。

行動を習慣化させるための軽めの最新Tips系かなと思いましたが、習慣という行動を科学的見地で原理の部分までふみこんだ骨太で硬派はビジネス書でした。

ちなみに、習慣系の本でいうと、「習慣超大全」の方がおすすめ。ライトに読めるし、ストレートにノウハウがみにつきます。

今日はそんな「超 習慣力」から。


いきなり少し脱線しますが、僕はこれまで「習慣」にまつわる本を買ったことはありませんでした。

習慣ってタバコやめるとか、ダイエットをするとか、プライベートのときの話だと思ってたのですが、僕はそっち系に大きな悩みがなく必要性を感じなかったからです。

そんな中、たまたま帯の推薦者が僕の好きなビジネス書作家だったから、つい買ってみたのです。

したらば、実はなんと。

習慣形成力って、プライベートはもちろんビジネスにも大いに活かせるスキルでした。

僕は今、他社の営業組織を動かす仕事をしています。自社の営業組織を動かすのも難しいですが、他社です。人を動かす難易度は最高ランク。

営業組織を動かすとは大きく2つのフェーズにわかれます。まずは①変化を受けいれて行動を変えてもらうこと、次に②その変化を定着させることです。最終的には自走してほしいんですね。

であるならば、お気づきでしょうか。変化を定着させる。これはまさに習慣形成と同義といっても過言ではありません。

組織を動かすにあたって、ヒントがつまりまくってました。


では、本書の内容に戻ります。

結論からいうと、習慣を形成するに「意思の力」も「知識」も関係ないとのことです。

習慣化に失敗しても、自分の弱さを嘆く必要はありません。失敗の要因は自分自身にあるのではなく、アプローチ方法にあるみたいです。なんとも優しい。罪を憎んで人を憎まず、みたいなことですね。

実感はありますよね。

「コレステロール値をさげるためにはお魚中心の食生活がいいですね。ブロッコリーとかほうれん草もおすすめです」なんて知識をお医者さんから伝授してもらい、「よーし頑張るぞ!」と決意したとして。

一週間後には、ばくばくとポテトチップスを食べますもんね、僕。

では、習慣形成のキーファクターはなんなのか?

それは、「行動」です。意思とか知識ではなく、行動に注目しないといけないのです。

具体的には「状況(環境)」「繰り返し」「報酬」。これが、習慣形成の3大要素です。

「状況」が習慣形成のスタートを円滑にする
「繰り返し」が習慣形成のエンジンを活性化する。
但し、1回目の行動(=挑戦)にわずかでも「報酬」がなければ、習慣形成が始まることはない

そんなことらしいです。それぞれの要素を詳しく見ていきましょう。


  • 状況について

やりたい・やらねばという内発的な動機に加えて、人の行動は環境にも大きく左右されてしまいます。なので、摩擦になる環境を減らして動きやすくすればいいのです。

わかりやすいのは「距離」。お菓子を置いてある場所までの距離が遠ければ、食べにくいから食べなくなる。ジムまでの距離が遠ければ。行きにくいから行かなくなる。そんな単純な話。でもこんな単純なことが、実は大きく影響するのです。

本書内にあった好きな事例は、ネットフリックスの自動再生。連続ドラマとかみているときに一話終わったら、次の話が何秒後かに自動再生されますよね。これも摩擦を極限まで減らした設計なのです。自分で次の話を再生するという一手間をかけなくていいから、延々と見続けてしまう。

人間にとって、面倒くさいかどうかは、とても重要なことなのです。

  • 繰り返しについて

ある行動は、いつを境にして、習慣へと変わるのでしょうか?

習慣化させたい行動にもよるので一概には言えないらしいですが、2-3か月らしいです。ってことは、行動開始から3ヶ月が天王山です。

繰り返すほどに、その行動はその人にとって簡単になります。また人は繰り返すもの自体を無意識に好きになります。3ヶ月も繰り返しているとそのうち、「やりたいかどうか」「やるべきかどうか」「意味があるのかどうか」そんなことを考えることすらなく、その行動を起こしていることでしょう。それが習慣です。

  • 報酬について

ある行動に対して報酬が発生すると、ドーパミンが分泌されて、そのドーパミンがまた行動しようと思わせる効果をもっているらしい。こういっちゃなんですが、しつけと一緒ですね。

但し、報酬は行動の「直後」でないと意味がないとのこと。本書では効果が弱くなるとかではなく、意味がないと言い切ってました。これは注意すべきポイントですね。

ある行動を習慣化させるために、褒めるならば、行動の直後にしようねってことです。1ヶ月後とか3ヶ月後に褒めたって、意味がないのです。

ただ朗報もあります。一度習慣が形成されると、報酬がなくとも習慣は崩れないと。これは嬉しいですね。ずっと報酬が必要なら大変すぎますからね。


さあ、どうでしょう。自分自身はもちろん。組織を動かすにあたっても、「状況」「繰り返し」「報酬」による習慣化。大いに活かせそうじゃないですか?

いまならどんなことだって習慣にできちゃう気がしてきたぞ。



ここから先は、自分用の備忘録です。

■お膳立てしないと動かない

面倒でない。とにかく楽。でないと、動くものも動かない。ここまでしないといけないのかと自分が思う2倍くらいはお膳立てしてちょうどいいくらい。例えば、代理店の営業に動いてほしければ、商材のパンフレットをクリアファイルにいれて、営業の鞄に入れてあげるまでしないと、動き始めない。

困った時の質問先が明確で、アクセスしやすい(最近チャット問い合わせ増えてるが、電話問い合わせの方が楽だったりする)といったことも行動を推進する環境設計だ。

お膳立てがし尽くせているか、常に問い続けなければいけない。

■立ち上げ期は短期集中で工数を投下する

習慣化までの期間は2-3か月。ならば立ち上げから3ヶ月に短期集中。

キャンペーン投入。あらゆる会帯議での発信。社内広報の通達頻度を増やす。短期集中でも推進環境を整える。

出し惜しみはやめよう。最初の3か月は二度と訪れないのだから。

■報酬がなければ習慣形成はなされない

経済的インセンティブを付与することで人が動いたとしても、その付与が終わるとパタッと行動が止まることがある。最初の動く動機として経済的インセンティブを使うことは手段の一つとして正しい。ただ、その行動を持続させるためには、初動に対する報酬をしっかり設定しないといけないのだ。

経済的インセンティブ設計時にここまでセットで設計できているか?

■初動の体験が悪いと、習慣形成どころではない。

行動した結果、たとえば、誰からも感謝されなかったとか、冷たい反応が続いたとか、クレームになったとかが発生したとする。初動でつまずくと終わる。その行動をしなくなる。習慣化どころではない。こういったことをケアする仕立てなきまま経済的インセンティブだけ付与して初動を生むことは、習慣化に対して逆効果となる恐れがある。

■動機も報酬も、習慣形成がなされると必要なくなる

初動には動機が必要。習慣化には行動に対する報酬が必要です。しかし、一度習慣化されると、動機も報酬も必要なくなります。これは生産性観点で朗報。

■報酬は行動の直後×あったかい感情でないと意味がない

報酬は直後でないとだめ。これは大きな学び。たとえ報酬が大きくても、行動とのタイムラグがあると意味がない。例えば、この行動をやりきったあかつきにはご褒美ってのは習慣形成に対しては意味がない。やはりあくまでもインセンティブってのは初動のための施策であって、定常化のための施策ではない。インセンティブがある時だけ動く人達は、自走とはいえない。

そして、報酬は金とかモノでなく、行動に内在する感情がよい。感謝や賛辞、相手の良い反応、成果という、成功体験の繰り返しが大切。行動直後に賛辞の言葉を贈る。泥臭いけど科学的にも正しいことなのです。

■初動のための施策と習慣化のための施策はわけて考える

初動をうむためのKPIは、例えば勉強会参加人数かもしれないが(知らないことに対する行動ハードルをさげる)、定常化を目的す時のKPIは、例えば同行商談数の方が正しい。なぜなら行動に直結するからだ。

知識、意思、やる気に訴えかける施策は立ち上げ時は必要不可欠だが、行動が続かない・伸びていかないからといって、それ系の施策を増やしても意味がない。習慣は行動からしか生まれないので、行動に直結するKPIを大事に、行動に直結する施策を投下すべきなのだ。

■単純接触効果を信じる

繰り返すものを、人は好きになる。習慣形成とは単純接触効果でもある。ずっと継続して接触したり認知をとることは工数的にも予算的にも難しいことがある。だからこそ短期集中が大切。やはり立ち上げ期に単純接触効果を最大化させるのだ。

知っているものは好き、知らないものは嫌い。親しみのあることはやるし、親しみがないものはやらない。慣れたものは簡単だから好き、慣れていないものは難しいから嫌い。シンプルだが大切な真理。

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