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日本経済新聞の「揺れる米利下げシナリオ」を読んで、図にしてみました。

 日本経済新聞の2024年4月7日の記事で「揺れる米利下げシナリオ」がありました。

 まあ、長く株をやっているので内容は分かるのですが、「やっぱり複雑で分かりにくいなー」と思ったので、図にしてみました。


記事の概要図です

「揺れる米利下げシナリオ」
出所:日本経済新聞2024年4月7日 ご隠居_むらたん作図

概要図の簡単な説明です

 記事の趣旨は、元記事を参照していただくのが確実です。
 一応、私の理解での簡単な説明を付記しておきます。

 通常、雇用統計は物価上昇に強い影響を与えると考えられています。
 「雇用が強い」→「賃金が上昇する」→「購買力が上がる」→「物価上昇する」
 これ、個人的には「風が吹けば桶屋が儲かる」に近いと思っています。この矢印のどこかの関係が弱くなると、途端に関係性が薄れます。
 ところが、通常は「あまりにも常識過ぎ」て「雇用が強いのは物価上昇!」と直結して考える人が多い気がしています。
 今回も、「実は雇用が強いのは、移民増加が原因かも?(一応、証拠の数値あり)」「その場合、物価はそれほど上昇しないかも?」となっているようです。
 ちなみに、FRBは物価上昇率(インフレ率)をコントロールすることが主眼なので、「雇用が強くても」「物価上昇が無い」場合には金利を上げる必要は無いと思います。

年寄りの愚痴なので飛ばしてOKです

 こうなると、「人によって考えが違う」ので、「FRB内部」「経済専門家」「ファンド」「個人」でまちまちの見解になって混乱することがあります。
 特に「経済専門家」は立ち位置によって言うことが180度違ったりするので、困ります。(外からは、結構仲悪く見えます・・・)
 さらに、「ファンド」は勝手に予想値を出して、それが外れたことで相場に影響を与えるので、さらに困ります。
 例えば、「雇用統計を10万人増を予想」しておいて「雇用統計が30万人増!」となると「利下げが遅れるから、株を売る!」みたいな感じです。
(単に、「あなたがたの予想でしょ」「それが外れただけなのに・・・」と「もともとFRBはそんなこと言っていないし」と強く言いたいです)

インフレと金利について(当たり前なので飛ばしてOK)

 日本は長らくデフレだったので、私でも「インフレってどんなだったか」を忘れていました。
 ましてや、バブル崩壊以降に生まれた方にとっては「言葉は知っているけど、実感が無い」のでは無いかと思いました。
 そこで、インフレと金利の簡単な図を作成しました。

インフレと金利の関係図です(とても簡単ですし、くどいので飛ばしてOKです)

インフレと金利の関係

 話を簡単にするために「インフレ率が10%」と極端にしました。
 これでも昭和40年代だと違和感なかったりします。(今日買えてたお菓子が、同じ値段では買えなくなるのが当たり前でした・・・)
 さすがに、10%も物の値段が上がる場合、「今買わないと!」と言う気持ちになります。これだけでも好景気になりますが、金利がインフレ率よりも低いと、「借金してでも、買う」方が有利になります。需要が膨らむことになります。
 さらに、この状態だと企業の生産能力も足りなくなるので、設備投資することになります。ここでも、金利がインフレ率よりも低いと積極的に投資します。
 今の熊本を見ればわかりますが、積極的な設備投資があると、さらに景気が過熱していきます。

 これを調整するのが金利です。
 まともな国ならばFRBや日銀のように、「インフレを目標値に調整する」ために「金利を調整」してくれます。
 例えば、先ほどの図で「金利を15%」に設定すると需要を減少させる効果があるので、結果的にインフレを調整することが可能になります。(こんな金利差は危険すぎて設定することはありませんが・・・)

 日本の場合、長らくマイナス成長だったのでプラス金利では歯が立たなく、マイナス金利(借金するほどお金が貰える!!)にしていました。
 やっと、通常に戻りつつあると思います。

 ただ、ほとんどの日本人は「明日は同じ物が安く買える」ことが当たり前になり過ぎて、どうもこの感覚を「理論的には分かっている」けど「実感としては分かっていない」感じがします。私でさえ、思い出すのに苦労するほどです。(そういえば、ワリコーとかあったなー。無記名で6%くらいの金利が確定している、今から考えるとトンデモな金融商品・・・)
 この図は極端ですが、高インフレでは「モーレツに働くほど儲けが大きい」ので、QOLとか言っている甘ちゃんは収入的には取り残されます。なのでQOLを求める場合、それでも良いと言う確固たる覚悟が必要です。周りの人が「タワーマンション」や「戸建て」や「外車」や「子供を私立」を手に入れているのを傍目に、「私の人生はこれが良い」と思える必要があります。
 ちなみに、バブルの時代は「24時間戦えますか?」が普通(本当に普通でした・・・)でした。残業代がちゃんと出る企業に勤めていた人は収入的には凄かったらしいです。私は残業上限があったのでそれほどでも無かったですが・・・。
 これは、決して昔が良かったと言っている訳ではありませんし、QOLが悪いと言っている訳ではありません。高インフレだと「世の中が、そうなるかもしれないなー」と昔を思い出して比較しているだけです。(私は、どちらかと言うとQOL派だったりします)
 実際、米国のエリートたちは「モーレツに働いて」「沢山稼ぎ」「溜まったお金を運用して」「早期に仕事を辞めて、好きなことをする」感じと聞いています。(ずーっと「モーレツに働く人」もいるようですが・・・)
 まあ、「モーレツ」と「高収入」がリンクしている必要はあります。それでも高インフレの方がデフレよりは「モーレツ」と「高収入」がリンクしやすいです。

金利をまともに調整してくれる国に居ることは有難いです

 あと、金利をまっとうに調整してくれる国はそんなに普通では無いです。
 インフレ率が100%を超えるような国はざらにありますし、そんな状態でも金利を下げる国さえもあります。こちらは為替とか政情の問題があるので、もっと複雑です。
 だから、金利でインフレを調整しようとする国で株式投資できる幸せを感謝する必要があると思っています。

まとめと感想

 日本経済新聞の2024年4月7日の記事「揺れる米利下げシナリオ」を簡単な図にしてみました。
 一応、文字だけよりは理解しやすくなった気がします。
 実は、自分で図を作った方が「あー、ここは違うな」とか「この方が正確な関係だな」とか試行錯誤するので、理解度が上がる効果があるのだと思います。
 追加で、インフレと金利の関係についても、簡単な図にしてみました。

 記事を書いていて、「日本も大きな転換期を迎えた」気がしています。
 それに、インフレを少しでも経験したことのある世代から、知らない世代にイメージをちょっとでも伝えるのは、必要かもしれないと感じました。

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