【みじかい小説No.7】おばあちゃんの押入れ
居間で本を読んでいると、どこかから声がする。
「美代、美代――。」
美代は息を呑む。
美代、美代――。
声はまだ続いている。
読みかけの本を閉じ、美代は居間を出る。
声の主は、か細い声でまだ続けている。
廊下を抜け両親の寝室を抜けると、仏間のあるおばあちゃんの寝室にたどり着く。
「美代――。」
美代は戸と開けると、勝手知ったる風に押入れの戸に手をやった。
からり、とかわいた音をさせて襖を開く。
二段に別れたその下半分に、ちょこんと正座をした祖母が鎮座している。
「見つかっちゃ