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2024読書ノート(その3)

タイトル:増補版 教養としてのテクノロジー AI,仮想通貨,ブロックチェーン
著者:伊藤穣一

平面に印刷された絵や写真を立体的に見る立体視というのをご存知でしょうか。
一昔前に流行り、我が家にも数冊立体視に関する本がありました。
立体視には、左右の目の視点を交差させる交差法と、平行視する平行法というのがあり、私は平行法が得意でした。

なぜ、このような話をしたかというと、スイカゲームで読書がはかどらない中、前回の読書ノートで紹介した「科学は無謬か」という本とこの本を並行(平行)して読んでいたからです。
人の中には、一つの本を読んでいる間は他の本を読まない、読めないという人もあるそうなのですが、私は何冊かの本を並行(平行)して読むのが苦ではなく、むしろ並行(平行)読書を楽しんでいます。

さて、MITメディアラボ所長辞任の件でけちの付いた感のある著者ですが、この本は2018年に発行された新書を2023年に文庫化されたもので、各章の末部には5年間のアップデートされた内容が追記されています。
この本に記載されているように、いま私たちが暮らしている日常は新しいテクノロジーの上に成り立っており、新しいテクノロジーなしでは過ごせないと言っても過言ではありません。
その一方で、「科学は無謬か」にも書かれていたように、科学技術を全面的に信奉することは危うく、各々がちゃんと技術の内容やその開発背景などを理解しなければならないのですが、技術の進歩は目覚ましく大多数の人がすべてを把握し理解することは困難です。
この本の著者は、そのような状況において今を生きる我々「市井の人」がおさえるべき科学技術に関する情報を提供し、我々がこの科学技術に対してどのような思想や考え方を持って立ち向かい、社会変革につなげていくのかという道筋を示してくれています。
新しい科学技術は、非中央集権的、脱中心なものであることから、ますます我々がそれらに対して今まで以上に関与し、ルールや倫理づくりの課程に参画していく必要があります。
そのためにも、新しい科学技術に関する教養を身に付けることは、今を生きる我々に求められる必須科目なのかもしれません。


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