見出し画像

ペーパーレスが叫ばれて随分久しくなりました。

企業の会議シーンでも、PCやタブレット端末を会議室に持ち込んで、タイピングやフリック入力でメモを取ったりすることは最早珍しいことではありません。あとで情報を検索するのが楽だとか、紙の束を持ち歩く必要がないとか、様々なメリットがあります。

特に、Evernoteなどのクラウドサービスなどにメモを集約しておくと、どの端末からでもアクセスできて、「あれなんだったかな」と思った時に適当なフレーズで検索すると過去メモ群から拾ってこれるのは非常に便利。

しかし、先日、米国サンフランシスコを訪ね、Advisorとして参画しているスタートアップの本国スタッフや、提携先のスタートアップメンバーと打ち合わせの機会がいくつかあり、その中で「あえて、紙に書く」という選択を振り返ることになりました。

ペーパーレスが資源保護の点でもデータ保持の点でも優れていることは今さら言うまでもありませんが、その結果としての「PCやタブレット端末を会議室に持ち込んで」という手法にデメリットはなかったのでしょうか?

PCやタブレット端末は非常に便利で、ノート機能のみならず、様々なアプリ・サービスへのゲートウェイ機能があるので、会議中であってもついつい内職(会議や打合せの主旨と異なる作業)をしてしまったり、SNSやウェブサーフィンをしてしまった経験のある人は多いはず。また、特にPCの場合は、タイピングの音を響かせることになります。そうなれば、必然的に、コミュニケーションが阻害され、会議や打合せが無用に延びたりといった事になりかねません。

私がAdvisorを務めるサンフランシスコ拠点のスタートアップでは、先ず会議冒頭に全員のスマホ・タブレット端末を没収(笑)し、机の中央に山積みにします。また、PCは机の上に出さず、議論に集中する環境を作っていました。むしろフリップボードやポストイットなどを使って書いて議論するアナログといえばアナログなスタイル。そして、事前に決めた時間でしっかり会議は終える。日本のビジネスシーンにおける会議や打合せが、議論というより報告/共有の場となっている傾向を考えると、スタイルの違いが顕著に思えました。

ちなみに、私はiPadにApple Pencilで電子ペーパー的にノートテイキングする派なのですが、会議冒頭にタブレットを没収されてしまい、最初こそ「困った」と感じましたが、いざやってみると、実際は大した不便は感じず。

今回訪問した殆どのスタートアップでも、PCでメモを取っている姿は見られず、昔ながらのノートテイキングをしていたことに驚きました。むしろ、大企業の方がPCやタブレットを使っていることが多い印象です。やはりスタートアップというスピード感・一体感が求められる組織では、コミュニケーションを損ないうるような手法は自ずと排除されるのかもしれません。