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ブロックチェーンは "Hype" を越えるか

世界経済フォーラム(World Economic Forum、以下「WEF」)が例年1月にスイス・ダボスで開催する年次総会(所謂、ダボス会議)。今年も1月21日〜24日に予定されています。

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画像:World Economic Forum

ダボス会議ではこれまでにもしばしばブロックチェーンの可能性が取り上げられ、過去にもWEFから様々なレポートが発行されています。特に近年は、「ブロックチェーンは "Hype(誇大宣伝・過大評価)" を越えるか」というフレーズを掲げています。

2018年4月には「Blockchain Beyond the Hype - A Practical Framework for Business Leaders」を発行し、「ブロックチェーンを使うべきか否か?」のDecision Treeを紹介していました。
さらにそれに続く形で、2019年6月には「Building Value with Blockchain Technology: How to Evaluate Blockchain’s Benefits」を発行し、「ブロックチェーンで(本当に)意味あるものを創る為にはどうすべきか?」のツールキットを提示しています。

さて、今年のダボス会議開催を前に、WEFのBlockchain and Distributed Ledger Technologyチームのヘッド、Sheila Warren氏がコラムを公開しました。

コラムの中で、Warren氏は

2019年、ブロックチェーンはその可能性について誇大宣伝された状態から、実際のクオリティに注目が集まる状態に移行した。2020年、ブロックチェーンはいよいよ社会的なインパクトを示す機会が訪れるだろう。一方で、適切なガバナンスや(既存世界に対する)強調的なアプローチが求められる。

と述べています。後段の記述は明らかにFacebookのLibraプロジェクトを念頭に置いたものでしょう。また、

2019年に多くみられたプロジェクトは、社内や限られたコンソーシアムの中だけでの取り組みが多く、競合他社に対して協働を呼びかけるものはまだ少なかった。

とも述べています。確かに、コラム中でも言及されている Food TrustやTradeLensプロジェクト(いずれもIBM主導)・Libraプロジェクトは競合他社のシステムとの接続には未対応のように見えます。

2020年はより協調的な取り組みが増え、一層の社会インフラ化が進むだろうと予測されています。
WEFでは昨年10月に鉱工業7社を束ねたトレーサビリティプロジェクトを立ち上げ、また、各国45の中央銀行とともに中央銀行発行デジタル通貨CBDC(Central Bank Digital Currency)について共同研究を進めているとのこと。後者については、今月のダボス会議でポリシーメーカー向けのツールキットを発表するようです。

"Hype" を越えていく為には、競合を含めた協調的で相互運用性のある取り組みが広がるべき、という点には共感します。"To go far, go together"となる2020年が拓かれることに期待しています。