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つながった縁を起点に可能性を切り拓く。ステーキ&カフェ「人生意気に感ず」店長・田中誠の物語【誰かの物語vol.3】

商品やサービスには、必ず物語がある。現在地に至る紆余曲折や叶えたい未来を知れば、もっと好きになったり、もっとおいしく感じたり、五感が刺激されて、ともすれば人生さえも変えてしまうかもしれない。そして、また新しい物語が巡り生まれ、世代を紡ぐ。『誰かの物語』は、誰かを救う力に満ちている。そんな、誰かの想いが詰まった素敵な物語の数々をご紹介します。

今回は、ステーキ&カフェ「人生意気に感ず」店長の田中誠さんの物語。


厳選赤身肉×特製ソースが病みつきに。ステーキをカジュアルに味わえる「人生意気に感ず」

香川県丸亀市にあるステーキ&カフェ「人生意気に感ず」。国産厳選赤身肉のステーキやステーキ丼、サーロインやミスジなどをカジュアルに味わえるお店です。

さまざまな料理に精通するオーナー・白井陽介さんが国産の玉ねぎとにんにくで作った特製オニオンソースを鉄板で焼いたお肉にかければ、食欲をそそる音と香りが一気に広がります。口に運べば、とろけるような食感。病みつきになる人が続出し、リピーターが後を絶ちません。

最近では、中四国最大級の野外ロックフェス「MONSTER baSH(モンスターバッシュ)」や、富山県で開催された「ワンミートフェス」といったイベントにも積極的に出店。「ワンミートフェス」では用意していた1,200食が完売し、全出店者の売上1位に輝きました。また、テイクアウトやオンライン販売にも力を入れるなど、香川を拠点に全国においしさを届けています。

そんな「人生意気に感ず」で、2021年11月から店長を務めているのが田中誠さんです。調理から接客まで店舗運営をすべて担い、さらには自店舗のみならず、焼肉店や蕎麦店などのグループ店のSNSマーケティングを統括しています。

「でも、飲食店で働くのはイヤだったんですよね」(田中さん)

そう笑いながら明かす田中さんですが、未経験の飲食業界に飛び込んだのはオーナーからの熱烈ともいえるオファーがきっかけでした。

失うものなんてない。仲間たちに背中を押されて店長に就任

大阪でバンド活動に夢中になっていた20代。しかし、残念ながら芽が出ず、30歳を機に一区切りつける決意をします。

「楽曲を作ることはできましたが、それを広く届けるのが難しかったです。『このままじゃ、売れないおじさんバンドになっちゃいそう』と思うようになって(笑)平たく言うと、挫折ですね」(田中さん)

実家のある愛媛県に戻り、パチンコ店でアルバイトする毎日。その中でも情熱を失わなかったのが、カメラでした。

「バンド時代も写真を撮ったり映像を作ったりしていましたが、改めて深く勉強したくなりました。カメラを新調して、瀬戸内国際芸術祭に行ったりしましたね」(田中さん)

それから数年、アルバイトの傍ら写真撮影や映像制作に精を出していると、ある日、白井陽介さんからYouTubeの編集作業を依頼されます。

「白井さんとはもともと知り合いで、会社のYouTubeチャンネルの編集作業をお願いされました。ロケにも行ったりして、仕事でありながら、とても楽しかったです」(田中さん)

「店長、やらない?」。そう誘われたのは、突然のことでした。

「『人生意気に感ず』を任せられる店長を探していたみたいで。ありがたかったですが、飲食で働くことには苦手意識があったので断りました」(田中さん)

何度も誘われ、断り続けていたそうですが、ついに田中さんのほうが根負けします。

「その日は愛媛でYouTube撮影をしていたのですが、夜の打ち上げの席で白井さんをはじめ、その場にいた仲間たちが背中を押してくれて。次第に『失うものなんてない』と思うようになり、お酒の勢いもあって店長になることを決めました」(田中さん)

後から聞いたところによると、白井さんは一緒に遊びたいと思える人と仕事がしたかったそう。白井さんも田中さんと過ごす時間が楽しいと感じていたのかもしれません。そして2021年11月、愛媛から香川に引っ越した田中さんは、晴れて「人生意気に感ず」の新店長に就任。お披露目パーティーは盛大に行われました。

「お肉を鉄板で焼いたのも初めてでした(笑)パーティーに来ていただいた皆さんに温かく見守ってもらいながらスタートできました」(田中さん)

とはいえ、飲食業界未経験。白井さん夫婦に調理や接客を一から教わりながらも、1か月ほどは大変だったと振り返ります。

「そもそも飲食店で働くのはイヤだったので、慣れないことばかりで最初は苦痛でした(笑)けれど、お客さんとの会話に救われていましたね。対面でコミュニケーションをとりながら働くスタイルは自分に合っていたみたいです」(田中さん)

半年ほどでお店を任されるようになると、オペレーションを見直したりSNSマーティングに注力したりしていくうち、来客数は徐々に増加。近隣はもちろん、県外からも多くの人が訪れる人気店に成長しました。

「親子で毎週来てくださるお客さんがいらっしゃるのですが、小さなお子さんが『もう何回も来てるけど、いつもおいしい』と声をかけたりしてくれるのが嬉しくて」(田中さん)

「今は毎日が楽しい」。飲食店はイヤだったと言っていたのが噓のように、田中さんの表情には充実感がみなぎっていました。

日本最大級のNFTプロジェクト「CNP」オーナーとなり、お店が話題に

田中さんが店長に就任してから、あることで「人生意気に感ず」は全国的に有名になりました。それは「NFT」。NFTとは、ブロックチェーン上で発行および取り引きされる「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」のこと。デジタルアート作品などが取り引きされています。

「僕がNFTに興味を持ち始めたのが、ちょうど『CryptoNinja Partners(CNP)』がリリースされる前の時期でした」(田中さん)

今や国内で最大級のNFTプロジェクト「CNP」。その1体を運良く購入できたことで、田中さんはNFTの世界にのめり込んでいきました。

「僕は『CNP』のオーナーですが、コミュニティとしてのNFTに魅力を感じています。オンライン上で交流するのは刺激的ですし、何よりリアルで会えたときの感動は凄まじいです。というのも、日本においてNFTはまだまだ創成期で、人口はそう多くありません」(田中さん)

田中さんは「YouTubeの初期のような状況かもしれない」と表現しますが、少ないからこそ強い仲間意識が醸成され、絆は日に日に深まっているそうです。

「ラッキーだったのは、お店の向かいにあるうどん屋さんもCNPオーナーなんです。NFT人口自体が少ないのにもかかわらず、CNPオーナーのお店が向かい合っているのは奇跡といえます(笑)」(田中さん)

幸運にも恵まれて話題に上ると、田中さんはCNPオーナー向けの特典を発案。無料で大盛りにしたり、オンライン販売で肉を増量したり、クーポンのごとく活用できるようにしています。

「CNPオーナーの人たちが全国からたくさん足を運んでくれています。以前、ここでオフ会も実施しました。いろいろな業界の人たちに会えるのも創成期の今だからこそと噛みしめています」(田中さん)

ちなみに田中さんは、CNP内では「2NENGO(ニネンゴ)」と名乗っています。

人と人とのつながりを大切に「思い出を作れる飲食店」を目指す

田中さんは「思い出を作れる飲食店」を目指したいと語ります。
 
「『ここに来たら楽しい思い出ができる』『また来たい』と思っていただけるお店にしたいです。そのためには、おいしさの追求は当たり前として、人と人とのつながりを大切にしていきます」(田中さん)
 
何事も突き抜けられないことがコンプレックスだったと話す田中さん。しかし、音楽家の菅野よう子さんが言った「器用貧乏も10年続けば金の小手先」という言葉に触れて、自信が湧いたといいます。
 
「いずれ何かの分野で経営者やフリーランスになってみたいという漠然としたビジョンはありますが、夢は特になくて。バンド活動をしたり、写真や映像を勉強したり、飲食店の店長になったり、NFTを始めてみたり、流れでやってきたことが掛け合わさって今の自分があります。これからも日々挑戦です」(田中さん)
 
店名の「人生意気に感ず」とは、「人間は金銭や名誉の為ではなく、自分を理解してくれている人のいさぎよい気持ちを意気に感じて、仕事をするものだ」という意味を持つ故事。常に他人を思いやり、つながった縁を起点にして可能性を切り拓いていく田中さんの生き方が重なって映りました。

・ステーキ&カフェ「人生意気に感ず」
所在地:香川県丸亀市飯野町東二346-3
営業時間:ランチ11:00~14:30、ディナー18:00~21:30、テイクアウト11:00~21:30
定休日:火曜日

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