器用貧乏、とは?

 器用貧乏。
 この意味を考えたのは、僕が不器用で、先輩が器用という人種の中、先輩とこの1ヶ月、仕事を教わりながら、先輩の仕事ぶりを見てきた上で感じたことがあったのがキッカケ。

 意味を調べてみた。
何事一応はうまくできるために一事徹底できず、かえって大成しないこと。また、そのような人。」
とのこと。

 まあ、思った通りの意味ではある。先輩も、まさにこの言葉に近く、なんでもこなせる器用な人。反対に僕はというと「苦手なことはやらないし、やろうともしない。得意なことや嫌ではないことをサクサクとこなし、早く帰りたいと考え、毎日仕事をしている」そんな感じです。

 今の僕は、まだ入社したてということもあり、先輩の業務を覚えていく段階。見て覚え、聞いて覚え、やって見て覚える。そんな時期。

 先輩のやっていることを、僕もやらせてもらう場面。フォローする場面。多少のズレも許せない。修正してくる。「オレと同じようにやってくれないと困る」そんな意図をバンバンと感じる。

 僕は、「効率」を求めるタイプ。前回よりも早く正確に。やらなくても良いことはそもそもやらない。「慣例こそ疑う」が仕事の流儀。その業務の理由を説明できないことは、やらなくても済むと思っている。転職したばかりの僕としては、慣例も知らないし、先輩の仕事ぶりしか見ていない。先輩が正しい、という前提で覚えている中、「これって、どうして〇〇なんですか?」と質問したことに対して、的確な回答がないと、どうも腹落ちしない。業務はこなすけど、「ならなくてもいいんじゃ?」とか、「もっとこうすれば良いのに……」と、考えてしまう。

 もちろん、まだ入社したてで提案なんて、嫌われる原因。だけど、伝えたい。そのほうが、「全員が良い方向に向かう」という、うぃんうぃんの精神からの提案。
 よく、「初心者の方が、先入観がないので、思わぬ気づきがある」
と言うけど、転職して、本当にそうだと思う。その気づきを、良い方向に向かうためのキッカケにしたい。それが転職組として、会社に貢献できることの一つだと思うんです。

 さて、器用貧乏の話。器用な先輩は、人に任せられないんだと思います。できてしまうので、どうしても自分でやってしまう。僕がフォローした際も、1センチズレていただけで、何も言わず、自分でその1センチを直していたんです。
 この1センチは、直しても直さなくてもどっちでも良いレベルのことでした。それに、数分の時間と労力を掛けていたのを見て、内心、笑ってしまいました。
 おそらくですが、気になるんでしょう。そして、「自分のやり方が正解」という、致命的とも言える先入観が邪魔をして、「良い変化を拒んでいる」とても勿体無い状態に思えます。

 反対に、不器用な僕。仕事を進める上で、自分でやれることは限られています。だからこそ、人の助けが必要になります。
 目的や期限、予算や完成状態などの最小限の情報はもちろんながら伝えます。アウトプットが変わるからです。ですが、道中の口出しはしません。というか、自分では出来ない事だから口出しできません。任せた方がうまくいくと思います。
 そして、自分でできないことをやってもらうことは、「相手への感謝」が生まれます。
 お願いして、やってもらって、感謝できる。気分が良くなる。良い事づくめ。ある意味で、「不器用でよかった」とさえ思えます。

 田舎で一人暮らしとか、自給自足とか、そういった生活なら、器用でなければ難しいかもしれません。
 ですが、僕は一サラリーマン。助けてもらってナンボ。その上で、自分の仕事にまっとうし、出来るだけ早く仕事を覚え、会社に貢献する。会社への貢献とは、「利益を上げること」。いかに集中して、やるべきことを限定していくか、が大事。
 理念に沿った行動をもって、利益を上げていく。その過程で、自分自身が成長していく。成長とは、「器用になること」ではなく、「人との関わりを通じて、できないことができるようになったり、良い考え方にアップデートされいくこと」じゃないかと。

 その過程って、楽しい。
 そう思うんです。

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