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『赤いハンカチ』(主演:石原裕次郎 1964年1月3日公開)個人の感想です


『赤いハンカチ』

1964年1月3日お正月公開の映画なんですね。多くの人々がお正月から映画館の前に行列をなしていたのが想像できます。舞台は、横浜、「山下橋ホテル」が何回も出てきます。早速、山下橋を検索してみました。山下公園と港の見える丘公園の間なんですね。こうやって、ある意味昔の風景を見るのも僕にとっては観光です。

さて、この映画ですけど、幸福の黄色いハンカチのようにハッピーエンドでもなく、また、赤いハンカチも出てきません。らしきものと言えば、裕次郎が首に巻いているハンカチ(ストーリーと歌には全く無関係)ですかね。1962年10月に『赤いハンカチ』のシングルが発売され、その後作られた映画で、歌とのストーリーのシンクロはあまり感じられませんけど、人を怨む、社会を怨む、怨むところだけがつながってますかね。映画の中でいつものように歌ってくれるので、それはそれでファンとしては、いいですね。

浅丘ルリ子が出てるので当然裕次郎との恋物語がなけりゃいけないんでしょうけど、今回は「なんでこうなるの」という展開で、ちょっと無理筋の恋愛。

心に残るメッセージというと、裕次郎が過失で浅丘ルリ子のお父さんを撃ち殺すんですけど、その後、4年が過ぎ、浅丘ルリ子に会ったときに裕次郎が「あれは過失だった」と言った裕次郎に対し、浅丘ルリ子は、「そう言えば、あなたは自分を許せるんですね」と返します。人間は自分の正当性を言って自分を納得させるものなんだなと感じるシーンです。浅丘ルリ子の本質を突いた返しにあっぱれです。

一方でしばらくたった別のシーン(浅丘ルリ子が裕次郎を許そうとしているところ)では、裕次郎が自分のことをどう思うかと聞いたときに浅丘ルリ子はもう忘れてください的なことを答えます。そこで裕次郎は「憎まれているうちはまだあなたと繋がりがたあった、許されると繋がりがない」と言います。この言葉は、「なるほど、逆転の発想、ありだな」と思いました。

ある意味、過去に怨みではないけど、お互いまずい関係になったことが誰にでもあると思いますけど、そのことを心に抱えて過ごすこともあり、時として思い出したりもします。いい気持ちはしないものの、心に残り、それをその人とつながっていると解釈すれば、その嫌なことも意味を変えることが出来て、心の中に置いておくことも悪いことではないと消化すればいいかもしてません。

このような怨みをテーマにした映画でけど、最後に、愛が出てきます。「君のためなら死ねる」ってやつですね。僕はむっりですけど、これを見どころと呼ぶかどうかはありますが、悪人にも愛があるということを感じさせてくれます。ここを観るためには、最後までしっかりと観ていただきたいですね。ちなみにこの愛は裕次郎から浅丘ルリ子ではないです。

昭和だなぁってところは、もちろん1964年の山下公園の風景、警察で飲むビン牛乳、トーフ屋のラッパ、もちろんキャバレーで女性が脱ぐシーンも出てきます。裕次郎の映画にしては結構な露出ですので、お見逃しなく。

では、また。


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