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発達外来での検査~診断名決定まで

「できるだけ早く発達相談ができる病院にかかるように!」

保健センターでの相談結果を受けて、まず始めに行った事。
それは「病院探し」です。

まずは近隣の小児科数ヶ所に電話をして
「発達障害についての相談をしたいのですが…。」
と聞く事から始めました。
しかし
「いつでも行っていますので、どうぞ。」
というわけにはいかず
「月に1度専門医が来て相談を受けますが、予約をしますか?」
というような対応がほとんど。
それも数ヶ月待ちという状態でした。

「そうか。甘かったなぁ…。でもそんなにたくさん悩んでいる人がいるって事だ。」
と、正直少しホッとしたり
「なんでもう少し早く見て貰えないの!?」
と、イライラしたり…。

そこで、さんざんネット検索をしたあげく
県立の小児医療センターに電話をしてみることに。

電話をして初めて分かったのが
大規模な総合病院では
「原則として、かかりつけ医からの紹介状無しでは診察は行っていない。」
ということ。
「紹介状無しで診察を希望する場合、絶対受け付けないというわけでは無いが、診察料金とは別に手数料がかかるということ。」
でした。

この手数料、選定療養費と言うそう。
当時娘がお世話になった病院では確か5,500円程でした。
現在はまた金額が変わっているようです。
また病院の規模などによっても金額は違うとのことでした。

「かかりつけの病院での発達相談日を待って、紹介状を頂いて…」
なんてやっていたら受診できるのがいつになるか分からない。

そこでとりあえずまた保健センターに相談してみたところ
「面談を受けた言語聴覚士の先生が紹介状を作成してくれるそうです。」
との事。

有り難いことに電話から数日で紹介状は完成し、私達の手元に届きました。
「言語聴覚士は医師では無いから」
と言う理由で、結局医療センターでは選定療養費を払わなければなりませんでしたが、とにかく少しでも早く紹介状を入手できた事はありがたかったです。

そこで再度小児医療センターに電話し、診察予約をとりました。

とは言っても、予約できた診察日は3ヶ月後。
それまではひたすら待っている事しかできず…。
歯痒い日々でした。

後に知ったのですが、電話をしてから3ヶ月後の予約がとれるなど本来あまり無いほどラッキーな事だったそうです。
(たまたま診察のキャンセルが入ったタイミングだったことを後で知りました。)
実際には診察まで半年近く待っている方も少なくないそうです。

待ち時間のことを思うと、悩んだり迷ったりしている暇は無いということですよね。
「少しでも早く動くことが大事!」
この時思い知りました。



小児医療センターでの診察は下記のような流れです。

1.発達外来にて専門医の問診
2.血液検査
3.脳のCTスキャン
4.脳波検査
5.アセスメント外来

2~4に関しては、発達障害というより主に内科的な疾患の有無を確認するための検査との事でした。

そして、4までが終了した時点でもう一度医師の診察があり
「内科的な疾患は見つかりませんでした。始めにお話した通り、娘さんは知的な遅れを伴う自閉症と思われます。」
との説明を受けました。

5に関しては、絶対に必要という訳ではありませんでしたが
「娘の現状を専門家に詳しく分析して頂く事で今後の支援に役立てる事ができる」
との説明を頂き受診を決めました。


アセスメント外来は娘を含めて4人の子供達で行われました。
1つの部屋で子供達は自由に遊びます。
子供それぞれの遊び方や、他者との関わり方などを発達に関する専門スタッフが観察する方法で行われました。
時には声をかけたり、動作の指示をして、それに対する反応も観察すると言うことでした。

親は同じ部屋にいて検査の様子を見守る事ができます。
が、しかし許されているのは「ただそこにいること」のみ。
子供に話し掛けたり、手助けしたりは一切できません。
心の中で応援するだけ、というのが何とも歯痒く、辛く感じましたが
これは検査ですから
「親の手助け無しでありのままを見ていただく」
ということですね。


検査終了後は、検査に関わって下さったスタッフの方達によるカンファレンスが行われるので、結果の説明を受けるまでは半日近く待ちました。
(検査に参加した子供達の親が順番に時間を指定されて呼ばれる仕組みです。我が家は1番最後だったので結構時間がかかりましたが、順番によって待ち時間はもっと短くなると思います。)

少々長い待ち時間でしたが
「指定された時間までは自由にどこで過ごしても構わない」
との事だったので、子供を病院以外の場所でゆったりと休憩させてあげられたのは良かったです。


検査結果は
「お子さんには精神遅滞と自閉症が認められる」
と言うことでした。
娘は当時3歳6ヶ月くらいでした。
しかし知的な発達は1歳に届かない程度とのことでした。

他には
「他者と関わることが非常に困難で、一言話し掛けられるだけでも過剰な緊張状態になる。」

「非常に不器用で自分の手足を適切に使う事ができない。これは肉体的な疾患では無く、脳がうまく機能できていないということ。」

「障害は病気では無いから一生背負っていくもので、治療方法は無い。しかしリハビリを行うことで、その子なりの成長をすることができる。」

おおむねこのような説明でした。


先生との話で非常に驚いたのは
「診断名はつけますか?」
「希望されないようなら今日の検査結果はあくまで、このような傾向が見られるという参考意見で終了となります。」
と言われたことです。

「希望しなければ診断名がつかない…?」
全く意味が分かりません。

「希望によって診断が変わると言うことですか?」
思わずそう聞き返しました。

医師の答えはこうでした。

「診断名が付くと『障害児のレッテルが貼られてしまう』と感じる人がいます。年齢的に考えると、今後発達が追いついたり発達障害の特性が緩和されて行く事が絶対に無いとは言えません。どんな子もこれから成長していくわけですから。」

「現在、発達障害の傾向がある事は受け入れても、発達障害児だと決定される事は受け入れられない親御さんに無理矢理診断名を付ける事はありません。」

あぁ、そういうことか…。
複雑な思いでした。
「我が子の診断名をそのまま受け入れる事」

「傾向が見られるとの検査結果のみで確定診断を望まない事」
どちらも子供の未来を否定するものとは違う。
ならば、どちらが今後の子供の人生にとって良いのだろう?
どちらを選ぶべきなのだろう?と

一瞬迷いました。
が、結局我が家は診断名を付けて頂く事にしました。
正式な診断書と療育センターへの紹介状を作成して貰い、今後のリハビリの流れについて説明を受けました。

これで今後のリハビリへ繋ぐことが出来る。良かった。
全てはこれからでしたが、未来に続く足掛かりができたようでホッとしたことを思い出します。

発達障害に関する検査は1日にまとめて行うことはできません。
次の検査予約をとるだけでも大変でした。
慣れない病院、初めての検査、子供にとっては毎回これ以上無いような恐怖だったと思いますが、良く頑張りました。

診断名が付くまでの時間…。
長かったなあというのが実感でした。
もちろんそれは不満ということではありません。
1人の子供の将来をもしかしたら左右してしまうかも知れない診断について様々な角度から真剣に向かい合い、検討するということ。
それは簡単な事では無いのだという事を実感したのでした


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