エッセイ/美しさと、摂食障害4


周囲から心配されるほど痩せていき、人生で最も細い、痩せていると言われるようになっていたこの時期。
もう自分でも何が何だかわからなくなっていき、心配されたいという浅はかな気持ちでいたのに結局心配されたところで、素直に自分の心のうちを打ち開けられるわけでもなく食べているのに〜とアピールした。
事実過食だった頃の名残や、元々食べることが好きだったこともあり外食では信じられないような量を食べてのけ、よくそんな細いのにそんなに食べられるねと言われるようになった。

食べた後は、当然下剤に縋ったのだけれど。


そんな中、新しく付き合い始めた恋人と同棲の話が持ち上がった。
彼のことは好きだったし、今までの恋人とは違いしっかりした人で、こんなチャンスはないだろうと思った。

しかし、自分の中で誰かと住むことは下剤を飲む生活ができなくなることを意味する。
そんなくだらない理由で私は最愛の恋人との同棲を渋った。

家に同居人がいては、トイレに一日籠るようなことはできないし、食事を一緒に摂ったり共同の時間ができる。
まさか食事中にちょっと失礼と席を外して30分も1時間も戻ってこないわけにはいかないし、汚い話トイレ周りのあれこれが気になって仕方ない。

規則正しく毎晩一緒に食事を摂っていたら当然太るだろうし、そんな恐ろしいことはない。

1人の時間も大切にしたいしと嘘か本当かギリギリのことを嘯き、同棲の話を交わし続けた。

結局熱意に負け、同棲を開始することになるのだが、ここまでのこだわりや体型・下剤への執着が恐ろしく異常であることはご理解いただけたでしょう。

依存症というのは、本当に生活や自分の人生を蝕む。

同棲を始めてからも、下剤はやめられず、考えた結果夜中に効果が現れるよう計算し、彼が寝てから得た「1人の時間」にトイレに腹痛と闘いながら篭り続けた。

そして、一緒に食事を摂るようになり、転職でストレスが軽減されたことから少しずつ一日の摂取カロリーが増えていき当然だが緩やかに体重が増えていった。


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