アオイ

感情のクローゼット✏︎頭の中をしまう場所 映画の話とエッセイと。

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最近の記事

逃げるとは…

逃げるのは、恥か。 大人になった今よくそれを考える。 逃げ癖がつく事と、逃げることに慣れている事には大きな違いがあると思う。 私の両親は厳しかった。 小学校でいじめられて行きたくないと泣く私を毎朝ベッドから叩き起こし、学校を辞めるか俺が相手の家に乗り込むか頑張って行くか選べと父に叱られた。 小学校は辞めるということはできないと当時はわからず、中学にも行けずこのまま学生が終わるというのはまずいと思ったし、乗り込まれて大ごとになるのも仕返しをされるのも怖かったので泣きながら

    • サンタの砂糖菓子

      幼い頃、何かとイベントがあった。 こども会のクリスマス会、だとか自治会が主催のこども交流会、だとか。 私はいつも行きたい気持ちと行きたくない気持ちが入り混じって、一先ず参加すると親に伝え当日になって行きたくないと泣いて渋る子供だった。 誰が来るかもわからないし、仲良くなれるかもわからないし、一体何が行われるイベントなのかもわからなくて怖くてたまらなかった。 でも、行かなかったら何かとても重大なことを逃すような気もしたし、想像上の私はいつもみんなの中心で人気者だったし、行け

      • 私がハリー・ポッターを好きな理由

        見たことはない読んだことはない、興味がないという人はいてもハリー・ポッターを聞いたこともないという人はいないだろう。 と言っても過言ではないほど有名な作品なので、私より好きな人もいるだろうし、マイナーな趣味でもないと思うが好きなことについて好きなだけ書けるのがネットのいいところ。 まず、私が出会ったのは「ハリー・ポッターって知ってる?」と会話に出るような時期。つまり世に出たばかりの頃だった。 学校に行けば多くのクラスメイトが「ハリー・ポッター」について話していた。 どう

        • エッセイ/美しさと、摂食障害5(ラスト)

          様々な時期を乗り越え今、私はおおよそ標準な体型であると思う。 いじめられていたような太っちょなあの頃の私ほどではないし、 大丈夫?と人から心配されるほどガリガリでペラペラだった私でもない。 まあ、このくらいでもいいかなと以前より思う頻度が増えた。 もう昔ほど精神的にも、美的感覚も追い詰められることは減ったし、受け入れることができてきた。 しかし、この摂食障害の恐ろしさというのは完治するということはないのだろうなと漠然と感じるところだ。 何かのきっかけで私は昔のようになるだ

        逃げるとは…

          エッセイ/美しさと、摂食障害4

          周囲から心配されるほど痩せていき、人生で最も細い、痩せていると言われるようになっていたこの時期。 もう自分でも何が何だかわからなくなっていき、心配されたいという浅はかな気持ちでいたのに結局心配されたところで、素直に自分の心のうちを打ち開けられるわけでもなく食べているのに〜とアピールした。 事実過食だった頃の名残や、元々食べることが好きだったこともあり外食では信じられないような量を食べてのけ、よくそんな細いのにそんなに食べられるねと言われるようになった。 食べた後は、当然下剤

          エッセイ/美しさと、摂食障害4

          エッセイ/美しさと、摂食障害3

          逆に考えると、これだけ骨格がしっかりしているのだから例えば45kgだとして、ほとんど脂肪がないことになる。骨の重みしかないのだ。 多分30キロ台になっても、友人と並んでどちらが大きいかで言えば私に違いなかった。 そんなことを思いながら数年は体型は安定していたものの、職場のストレスと(またもや)交際相手のダメンズが理由で精神的にストレスが溜まるようになっていった。 そこそこストレス耐性があるように見られ、実際にあると言えばあるのだが、なかなか私の悩みが周囲に真剣に受け取ら

          エッセイ/美しさと、摂食障害3

          エッセイ/美しさと、摂食障害2

          さて、思春期の中男子に揶揄われながら部活関係でも対人関係がうまくいかず落ち込んだまま過ごした私にもついに卒業の日がやってきた。 もうおさらばだと小学生の頃にも感じた開放感と共に高校生活が始まる。 しかし、高校に入ると小中よりも露骨に見た目がものをいうようになっていった。 化粧を覚え、髪を染め、当時はギャルが流行っていて細い子は信じられないくらい細く華奢で、可愛らしかった。 彼氏ができた、好きな人がいる、そんな会話が飛び交うようになり私と大して身長の変わらない女子たちがブロ

          エッセイ/美しさと、摂食障害2

          エッセイ/美しさと、摂食障害1

          私は、摂食障害である。 誰にも打ち明けたことは無いし、一度病院でそう言われたきり通院もしてない。 でも、いつも1人孤独にこの病気と闘ってきたし、普通になりたいと常々思っている。 特に今の若い世代はスマホでの加工が当たり前になり、インスタグラマーという職業があり、人に見られる、細くないといけない、細い=美しいという価値観がないだろうか。 K–POPが流行り、SNSを開けば本当かどうか疑わしいようなスリムな女性が化粧品や洋服を紹介し、電車には高校生に向けた美容整形の広告まである

          エッセイ/美しさと、摂食障害1

          JOKERを観て他人事じゃ無いと思った

          今回は映画にまつわるもののレビューとは違う気がしてこのようなタイトルにします。 少々ネタバレがあるのでご注意ください。 映画JOKERをご存知でしょうか。 よく、観ると鬱になる映画なんていうランキングに名前が出てますね。 何がどう鬱なのか、私にとっての鬱について書き連ねようと思います。 ジョーカーとはDCコミックスに出てくるバットマンの悪役なのですが、このJOKERという映画ではどうして彼が「悪」になってしまったのかが描かれています。 そうです。生まれながらにして悪役なの

          JOKERを観て他人事じゃ無いと思った

          映画:罪の声

          ※本編に触れる内容がございます。 ネタバレでも何でもなく周知の事実ですので記載いたしますが、題材は1984年・1985年に日本で起きたグリコ森永事件となっており塩田武士氏作の小説が原作です。 事件自体は未解決であること、直接的な死者は出ずに終結したことから謎を多く残した事件です。 十分に映画化されていると思いますがこれから観る人はグリコ・森永事件の概要と、原作を読んでから観るとまた深みが出ると思います。 大変よくできていて、あの事件の真実はこうだったのでは?という憶測

          映画:罪の声

          映画:岬の兄妹

          ※本編に触れる内容がございます。 大変考えさせられる作品でした。 自閉症の妹真理子と、脚に障がいのある兄良夫の二人暮らし。 貧困や孤立がこれでもかと描かれていて何度も目を背けたくなるシーンがあります。 行政を頼れば良いだろう。 今のこの日本で食べるものに困るなんて。 そんなレビューを多く見かけましたが、それこそが本作で描かれる社会の構造の残酷さだと感じます。 こんな時は役所の◯◯課に。 困ったらここに電話してね。 知っているかどうかで受けられる保護が違います。 日

          映画:岬の兄妹

          映画:さがす

          ※本編に触れる内容がございます。 想像を超えてきたなあという感想。 上映期間を逃し落ち込んでいたもののアマプラにて配信開始ということで早速鑑賞。 今まで邦画では罪の声をプッシュしてきたけれどこちらもプッシュ作品になる予感。 ポン・ジュノ監督の助監督を務めたことがあるという情報は後から知ったのだけれどああやっぱりなという雰囲気の作品。 娘・楓のさがした父とは誰だったのか。 さがした父は見つかったのか。 前半どうしようもない人間ながらもなんだか憎めずいい人な印象を受ける父

          映画:さがす

          映画:スタンドバイミー

          ※本編に触れる内容がございます。 観ると心がぎゅっとなる映画。 子供たちの独特の世界。 ものの見え方、温度感。 この時期にしか味わえない感情、経験できないことがあると思う。 子どもの頃ってすごく素敵な経験でもその時の目線しか物差しがないから全然特別なことじゃないようなことに感じると思う。 これはどうやってもその特別さにリアルタイムで気付くことってできないと思うけれど、大人になった時に振り返っていくつ特別な思い出があるかって考えた時、それでも意外と大人になってからも思い

          映画:スタンドバイミー

          映画:怪物

          ※本編に触れる内容がございます。 「怪物」が一体何を指したか人によって分かれるのではないでしょうか。 実は一切前情報のないまま鑑賞しました。 ストーリーはfilmarksにあるあらすじを確認したのみ。公式サイト、予告編など確認無し。 ただただポスターのビジュアルにグッと惹かれるものを感じ。 結論としては何も知らずに観て良かったと心から思います。 何ならポスター、あらすじからホラーだったらどうしようもう少し確認すれば良かったと開始してから思ったくらい情報無しでした。 前

          映画:怪物