♯04 本気で好きだったキミへ「好き」と伝えなかった訳
大好きな人への「好き」をなかったことにした経験はないだろうか。隠したり、みなかったことにしたり、気づいていないフリをしたり。
少なくともわたしはあった。昔は特に「好き」をなかったことにするのが、とても得意な奴だった。傷つかないように自分を守るのに必死で。そんなチキンな自分のせいで色んなものを失っていたことに、やっと気がついたのはそれから数年後のことだ。
今日はその時の話をしようと思う。
本気で恋をした
大学時代に、好きになった人がいた。
それまでも何度も恋愛はしてきたが、「本気で好きになれた人」は、今でも余裕で片手におさまる程度。その人は、私にとっては貴重な「本気で好きになれた人」だった。
一緒にご飯を食べたり、夜中まで将来について語り合ったり。彼と一緒にいる時間は最高に楽しかった。このまま時が止まって欲しいと何度も願った。こんなに自分を理解してくれる人が世界に1人でもいることが嬉しかった。
私達は、お互い好き同士だった。
いまでいう"隠れ片想い"という状態だ。お互い好きなのに、お互い「きっと相手は私のこと(僕のこと)好きじゃない」って思っている。確信が持てない。
私達は、お互い好き同士だった。
だけど「好き」という想いを相手へ伝えることはなかった。そして私達は、付き合うことなく終わった。気づいた時には彼との距離は遠くなっていた。
「好き」と伝えなかった理由
当時は、こんなことを思っていた。
「傷つくくらいなら、好きなんて言わない。言えない。拒絶されたら立ち直れないから」と。"好き"と言わない自分を正当化するように、これで良かったんだと何度も自分に言い聞かせた。それで納得していたつもりだった。
だが、それから数年経った時。なんでかわからないがふと当時のことを思い出した。彼のことを。
「いま、何しているんだろう。」
当時は大好きだったけど、時間も経っているしもう未練は残っていない。だけど彼を思い出した瞬間、とてつもない後悔の念に襲われた。
なんで私、彼に自分の想いを伝えなかったんだろう。なんで「好き」って言わなかったんだろう。
当時の自分を思い出して、深く後悔した。
後悔してやっと気がついた
その時、心の中でこんな問いが生まれた。
なかったことにした「好き」は、どこへいくのだろう?
消えて自然消滅のようになくなるのか。ずっと心の中にあり続けるのか。私本体に、あたかも、最初からなかったものとしてみなされるのか。それとも、いつか忘れ去られてしまうのだろうか。
あの時、なかったことにしちゃったけれど、私の中に確かに生まれた「好き」の気持ち。私が表現してあげなかったら、その「好き」はどこへいっちゃうの?
わたしの中の「好き」を表現してあげられるのは、自分しかいないのだという極めて当たり前なことに、当時は全く気づいていなかった。
数年後に、やっとわかった。
そして当時は「傷つきたくない、損したくない」と思って相手へ伝えない選択をしたが、
大好きな人に好きと言って、断られるのと
大好きな人に好きと言わずに、それから何年もずっと後悔し続けるの
本当に傷ついているのはどっち?損しているのはどっち?答えは明確だ。本当に損しているのは「大好きな人へ好きと言わないこと」。相手へ好意を伝えて断られたらその時は落ち込むが、何年も後悔し続けるよりはマシだ。
あの頃のわたしへ伝えたいこと
勇気を出して相手へ自分の想いを伝えるのも、
今回は伝えずにそっと心の奥底に閉まっておくのでも、どっちでも大丈夫。
どちらでも良いから、少なくともその想いを「なかったこと」には、絶対にしないでほしい。あなたがその想いを「なかったこと」にしちゃったら、本当に最初からなかったことになっちゃう気がするんだ。そんなの嫌だ。自分が可哀想すぎるよ。
もしいま、心から大好きな人がいるのなら、お願いだから、あなたのその想いを大切に扱って。その尊い気持ちをどうか大事にして。
数年後、後悔しないためにも。
キミのおかげで
「大切な人に素直になる」
いまこう思えるのは、今日話したように"本気で好きになった彼へ想いを伝えずに後悔した過去"があるからだ。あの一件があったから、大好きな人にも、身近にいてくれる家族や友人にも「自分の想い」を素直に伝えるようになった。"大好きだよ"も、"大切なんだ"も、"いつもありがとう"も。あの頃、彼に言えなかったこと全てを。
思い出すとまだ胸がちょっと締め付けられるような、淡くて苦い青春の思い出。だが、確実に"好き避けのプロ"だったわたしを、ちょっとは素直な人間に成長させてくれた出来事だ。
そう思うと、彼へ感謝の気持ちが湧いてくる。
「あの頃は伝えられなかったんだけど、本気で大好きだったよ。大好きで仕方なかった。なのに自分を守ることに必死で、ちゃんと"好き"って伝えられなかったこと後悔してる。だけど、キミのおかげで今、人に素直になれてる自分がいるよ。出逢ってくれて、ありがとう。」
いつか会った日には、今度はちゃんと伝えるね。
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