見出し画像

【精油ブレンドの勉強】ある日の夕食のおかずをイメージして|コリアンダー

ある日の夕食、偶然、おいしいおかずができた。
砂肝とニンニク、たっぷりのパクチーをオリーブオイルで焼いて、塩、コショウで味付けしただけ。そこに、追いパクチー。

パクチーたっぷりの砂肝料理

シンプルに味付けした砂肝にたっぷりのパクチーがアクセントになって、食がどんどん進む。ビールのお供にも、ぴったりな一品。

このときは試さなかったのだけど、ここにレモンを絞っても美味しそうだなぁと思いつつ食した。
この料理を食べているうちに、コリアンダーを使って、アジアンテイストな料理をイメージした精油ブレンドをつくりたいと思ったというお話。

頭の中にある香りのイメージ

ブレンドの主役はコリアンダーシード。
パクチーはコリアンダーの葉・茎の部分なので、コリアンダーシードとは違うけれど、細かいことは置いといて。

そして、コリアンダーと合わせようと咄嗟に思ったのがこちら。

  • ライム

  • レモン

  • シトロネラ

  • レモングラス

柑橘系果皮の精油、レモンとライムのどちらか(または両方)をコリアンダーと組み合わせて料理のイメージの軸とし、シトロネラとレモングラスは、これらに膨らみ・厚み・重層感を与える役割にしたいと考えた。

ここまでは、頭の中だけで考えていたこと。

ここからは、コリアンダーを中心に、これらを組み合わせるとどんな香りになるかを匂いを試しながら確認していく。

コリアンダーの香りと成分

これまで、あまり使ったことがなかったコリアンダー。真剣に匂いを嗅いだことがなかったので、よーくよーく嗅いでみる。繊細かつ華やか。色にたとえるとシャンパンゴールドが思い浮かぶ。妖艶さを感じるあたり、世の本でもよく書かれているとおりローズウッドと似ている。

続いて、成分について調べてみる。私はいつも精油について調べるときに、『アロマ療法大全』という本を参照している。本書には、各精油の作用の分布図が載っていて、成分の傾向を一目でつかめるようになっている。

コリアンダーの解説を見てみると、主成分はリナロールで、そのほかにテルピネン、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、ボルネオン−カンファーが含まれている。

また、匂いが似ていると思ったローズウッドの解説を見てみると、主成分はリナロールで、そのほかにオキサイド類(1,8-シネオール、リナロールオキサイド)やモノテルペン類が含まれている。

分布図を見てみても、両者の分布の仕方がよく似ていて、なるほどと思った。

左:コリアンダー 右:ローズウッド(出典『アロマ療法大全』)

ほかの精油と一緒に香りを確認していく

次に、コリアンダーをほかの精油と組み合わせて匂いを嗅ぎ比べていく。
軸になるのは、【コリアンダー + レモン】と【コリアンダー + ライム】の2種類。これらに、シトロネラとレモングラスを合わせてみる。


A.【コリアンダー + レモン】
レモンはライムよりも甘さのある匂い。そのためか、華やかでフレッシュな香りで気分が上がる。万人受けしそう。こんな香りのシャンプーがあったら使いたいかも。

B.【コリアンダー + ライム】
ライムの弾けるようなフレッシュなシトラスとコリアンダーシードの華やかさが相まって、太陽の下、光り輝く南国の海や青空の絵が思い浮かぶ。冬にはフィットしないかもしれないけど、逆に冬だからこそ、リゾートに出かけているような気分になれる…かも。

さらに、シトロネラとレモングラスをそれぞれに合わせてみる。

C.【コリアンダー + レモン + シトロネラ】
レモンとシトロネラが、不思議となんとなくぶつかり合ってしまう感じがする。全体的にややぎこちない。

D.【コリアンダー + ライム + シトロネラ】
ライムとシトロネラは、南国のイメージが増強される香りになる。ただ、シトロネラのエキゾチックな匂いのせいで、料理のイメージからは遠ざかった印象。

E.【コリアンダー + レモン + レモングラス】
私が持っているフロリハナのレモングラスは、どちらかというとミドルノート寄りに思える。レモンのフレッシュなシトラスから、次第にスパイシーなレモングラスのシトラスがレイヤー状に濃淡を付けながら香ってくる。
いい匂いだけど、こちらも料理のイメージからは遠ざかり、若干ありふれた匂いにも思えた。

F.【コリアンダー + ライム + レモングラス】
シトロネラとの組み合わせと比べると、弾けるようなフレッシュなライムの香りとレモングラスの組み合わせがしっくりせず、ズレを感じる。


まとめ

ここで、元々の趣旨「砂肝とパクチーの料理からのヒント」に立ち戻る。
6種類の組み合わせで匂いを嗅ぎ比べてみた。

結局のところ、趣旨に合っているのは、B.【コリアンダー + ライム】のブレンドだと思った。

そのほかの組み合わせについて、しっくりこなかった点は下記のとおり。

  • A.【コリアンダー + レモン】どちらかというと香粧品向きな香り。

  • D.【コリアンダー + ライム + シトロネラ】シトロネラがエキゾチックすぎて食べ物のイメージとはなじまない。

  • E.【コリアンダー + レモン + レモングラス】どちらかというと香粧品向きな香り。意外とありきたりでおもしろみがない。

  • C.【コリアンダー + レモン + シトロネラ】と、F.【コリアンダー + ライム + レモングラス】この組み合わせは、不協和音が感じられる。

二転三転しながら、いくつかの組み合わせを作ってみたものの、趣旨に一番合うと思ったのはシンプルにコリアンダーとライムだった。Aはいい匂いだけれど、趣旨からは外れると思った。「いい匂い」と「目的・用途・コンセプトに合っている」は、ノットイコールだとあらためて思った。

結論に行き着くまでの過程での気づきとしては、シトロネラのエキゾチックさは意外と主張が強いということと、シトラス系は組み合わせしやすいと思っていたが、一概にそういうわけでもなく、種類が違うと印象が変わるということ。特に、似たような匂いの組み合わせ(CとF)で、ぎくしゃくとした印象になったことがちょっとした発見になった。

Cut and uncut limes and lemons on a dark background by Jacob Lund Photography from Noun Project (CC BY-NC-ND 2.0)


この記事が参加している募集

つくってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?