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クロスモーダル現象

先日、下記の投稿で登場した『タタール人の砂漠』について、もう少し書いておきたいことがあるので追記を残すことにした。

カバーには、雲の合間から月が浮かぶ夜空と、城砦の陰影が描かれている。墨汁を含んだ青色の色合いがローズウォーターの香りと相まって、いやいや、ローズウォーターをたっぷり拭くんだシートマスクを顔に載せる前から、香りが頭の中で感じられるのである。

そう、視覚と嗅覚が連携している。

こういうのを「クロスモーダル現象」ということを、恥ずかしながら、先日読んだギガジンで初めて知った。

「オレンジ色の飲み物からオレンジの風味がする」「温かさから赤色やオレンジ色などの暖色を連想する」といった経験がある人もいるはず。このように複数の知覚が互いに影響を及ぼし合うことはクロスモーダル現象と呼ばれており、新たな研究では「嗅いでいる匂い」が色の知覚に影響を及ぼすことが示されました。

ギガジン「嗅いでいる匂い」が色の知覚にまで影響を及ぼす可能性があると実験で判明

夜、床につくとき、この本のカバーを見ただけで、まだ嗅いでもいない香りを感じ取っている自分がいる。

香りの記憶というのは不思議なもので、実際に嗅いでいるわけでもないのに、匂いが頭の中でちゃんと感じる。

そこに何かの経験がプラスされると、香りと経験の記憶が結びつき、匂いを嗅いだときにかつての経験を思い出したり、その逆に、同じ経験をしたときに頭の中で匂い(のイメージ)を感じたり、といったことが起こる。

『タタール人の砂漠』とローズウォーターの組み合わせは、私にとっては睡眠セットである。

床につく➡本を手に取り、カバーを見る➡ローズウォーターのシートマスクを顔に載せて匂いを嗅ぐ➡読み始めたそばから眠くなる➡寝落ち

ここまでフローが出来上がっているんだから、ろくにページが進まないのも納得である。

これは私の場合の睡眠体験だけど、誰にでもこういうことは起こるのではないだろうか。嗅覚とのクロスモーダル現象をうまく使いつつ、睡眠の質を高めることができると思う。

そういうビジネスはもう世の中にあるだろうが、一人ひとり、パーソナライズされたものができると、すごくいいと思う。



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