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読書キロク|ビブリア古書堂の事件手帖3 〜栞子さんと消えない絆〜

『ビブリア古書堂の事件手帖』第3巻を読了しました。

今から1年ほど前、ちょうど去年のお正月休みに1、2巻を読んで面白いなと思ったのですが、続きを読まずにいました。
先日、偶々図書館で目に入り3巻を借りてみることに。

目立った特技のない私ですが、昔から本を読むことだけは習慣付いています。しかし、読んだら読みっぱなしで、誰かにその感動を共有することもなく、記録に残すこともなく、心の内で消化し気付いたら忘れていってしまうのです。

ノートに感想を綴ることで、記事を読んでくださる方々と気持ちを共有できたらなと思っています。

小説の舞台は北鎌倉でひっそりと佇む古書店「ビブリア古書堂」。その美しき女店主、篠川栞子は、古書に関して並外れた知識を持ちます。

ビブリア古書堂で栞子さんと共に働くのは、五浦大輔。大学を卒業したばかりの、無骨な見習い店員です。彼は体質のせいで、本好きにも関わらず本を読むことができません。本を読めない分、本に対する人一倍の情熱を持つ栞子さんの話を聞くのがとても楽しいのです。

ビブリア古書堂には、様々な本が持ち込まれます。中にはいわくつきの本も。人の手を渡った古い本には、中身だけでなく本そのものにも物語や秘密があります。
栞子さんは、微かな手掛かりと並外れた古書の知識をもとに、持ち込まれた古書に秘められた謎を次々と解き明かしていくのです。


3巻で、ビブリア古書堂は古書会館で開かれる「古書交換会」に参加します。自分の店では売り捌きにくい本を仕入れたとき、交換会で同業者の買い手を募るのです。
栞子さんと五浦さんは、そこでヒトリ書房の店主、井上と顔を合わせます。彼は、ビブリア古書堂の先代の店主、篠川智恵子と不仲であり、その娘栞子さんも毛嫌いしているようでした。

そんな中、井上が古書交換会へ出品した本、ロバート・F・ヤングの『たんぽぽ娘』が何者かによって盗まれてしまいます。そしてその疑いが、何と栞子さんへ向いてしまうのです。あらぬ嫌疑をかけられた栞子さんは、僅かな情報と古書に関する知識を元に、真犯人を探り当てていきます。

『たんぽぽ娘』が登場した話以外にも、以前ビブリア古書堂に夫が売ろうとしていた『論理学入門』を取り戻しに来て以来縁のある、坂口しのぶを取り巻く話や、宮沢賢治『春と修羅』が登場する話も採録されています。『春と修羅』の中で、妹トシを想って書いた詩「永訣の朝」は以前に読んだことがあったので、非常に面白かったです。

読みやすく、スラスラスラ〜っと読めてしまいました。この小説には、作家や本に関する知識がたくさん盛り込まれており、ふんふん、そうなんだ〜知らなかった!と読んでいてとても興味深かったです。
この本に登場した古書たちも、いつか読みたいと思います。

巻か進むにつれて、少しずつ明らかになっていく行方不明の母、篠川智恵子の存在。
そして五浦さんに微かに芽生える恋心 —— 。
続きも楽しみです。

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