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1「腎移植への第一歩!」

とうとう腎移植の話が本格的に進み出し、いい加減腎移植のための奮闘記も長くなってきたので、これまでのまとめ記事を作成しました!
進展がある度に更新していこうと思っているので、これまでの記事読むのめんどくさいな〜という人は読んでみてください↓↓↓


 昨日、腎移植予定の病院の精神科に行ってきた。
 そこで問題がなければ本格的に移植を進めていきましょうといわれているので、結構大事な受診である。

 事前に渡された問診票では、今不安なことを書けと言われたので、夫と私の退院時期が少しズレるのでその間夫両親と同居しなければならないことと、ダイエットについて書いた。
 夫両親はとにかく『善意100%!!』みたいな人で、悪気は無いのはわかっているのだが「何事も気の持ちようだからね!良いように考えるんだよ!」と会えば必ず励ましてくれるような人だ。今の私には少し眩しすぎる。
 ダイエットについては、前回の受診で移植外来の先生に「痩せろ」とド直球で言われている。ドナー適合者の基準ギリギリまで太っているので言われるのもやむなしである。脂肪が厚いと内視鏡を入れるのも苦労するし、傷は治りづらいし、浸出液も増える。
 
 問診票を出して待たされている間中、そわそわして落ち着かなかった。腎臓外科と比べて患者の数は少なかったが、人目があるとどうにも緊張してしまう。更には時々近くの扉をバーンと開けて職員が突然現れるものだから、前回のようにX(Twitter)を開く余裕もなかった。夫に隠れるようにして左右に揺れてみたり、付き添ってくれた夫に寄りかかってみたり、こっそり夫をつっついてみたりと奇行を繰り返していたのだが、一度診察室に入るとしゃんとしてしまうのだから不思議である。一種の自己防衛反応というか、脆い人間なのにプライドだけは高いので、人に弱みを見せたくないのだ。弱みをつつかれると、途端に落ち込んでしまうから。

 移植外来からコンサルを受けて受診を担当してくれたのは、実に優しそうな女の先生だった。30年間精神科の医者をやっているという。

「この意見書じゃ、どれだけの量出てるかわからないけど、抗うつ薬らしき抗うつ薬は出ていませんね」

 女医さんがパソコンを見て渋い顔をしたので、慌てて持参したお薬手帳を渡した。

「あ、今のお薬だとちょっとは出ていますね。でも他の薬は抗てんかん薬だったり躁に効く薬だったりよくわからないものが多いです。まあ抗てんかん薬は気持ちの波を鎮める作用もあるんですけど」

 ほぼほぼ全否定だった。
 かかりつけであるメンタルクリニックの主治医の名誉のために否定しておくが、それは主治医のせいではない。
 今年の1月に入院してがっつりとお薬を減らされたこと、それで気持ちが不安定になったけれど早く退院したくて入院先の先生には言えなかったこと、退院してすぐかかりつけのメンタルクリニックで少し薬を増やしてもらったこと、これまで細々と働いていたので落ち込むのが怖くて、薬は減らさないで欲しいと私からお願いしていたこと。
 慌てて全部話した。
 薬の量なんてどれだけ増えたって構わない。治りさえすればいい。離脱症状(薬物依存から抜け出すときの症状)のことなんて良くなってから考えればいい。そう考えていたのだ。

「色々複雑なんですね。でも今、ぷに子さんには気持ちを穏やかにする薬と、気分を上げる薬、両方出ています。これではアクセルとブレーキを両方同時に踏んでいるようなものです」

 わかりやすい例えだった。躁状態もあるのかと聞かれて昔100万円くらい浪費してしまったことがあるけれど今はほとんど落ち着いていると答えたら、じゃあ次に症状が出るまでやめていいですよと言われた。目からウロコが落ちる気分だった。

「うつ病の薬を飲み始めたら太ったという人はたくさんいるのですが、ぷに子さんのお薬は、代謝が下がる薬ばっかりです。これをやめられたら、それだけで数キロは痩せると思います。採血結果はわかりませんが、これらの薬は肝機能にダメージを及ぼしますし、高脂血症のリスクも高いです。更にパーキンソン症状が出て手が震え出したりすることもあります。腎移植のためにも、やめられたらやめた方がいいです」

 メンタルクリニックでは、この間の採血結果で肝機能の数値が少し上がったので薬を調整したばっかりだ。薬を飲み始めてからコレステロール値もずっと高い。
 採血結果は知らないようなのに、全て見透かされているかのようだった。
 一番最初にどーんと20kgくらい太ったとき、ジムに通って毎日二時間くらい泳いでいたのになかなか痩せないのが不思議だったけれど、謎が解けたと後で夫に言われた。

 この先生、すごく薬に対して造詣が深い………!

「先生なら、どの薬を切りますか?」

 思わずそう聞いてしまっていた。

「そうねえ、まずはこれとこれ、あとはこれとこれ、これも切っちゃっていいと思います。あとこれも」

 ほとんど全部だった。メモを取るために慌ててペンを探したが無かったので夫にペンが無いか聞くと、先生がペンを貸してくれた。

「最終的にはセルトラリンと睡眠薬くらいに絞れたら良いですね。それから、抗不安薬は代謝も排泄も早いので体に優しくおすすめです。たくさん薬を飲んでいるので、もちろん減薬には時間をかけてください。移植外来の先生には、ドナーとして特に問題はないけれど高脂血症のリスクがあることなどは伝えておきます」

 そう笑顔で見送られて、感謝の気持ちを込めて何度も頭を下げながら診察室を出た。病院の受診が昼時だったので、帰りに回転寿司屋さんに寄ってお寿司を食べた。移植後しばらく夫は免疫抑制剤を飲まなければならないので一年間くらい生ものは食べられない。それまでたくさんお寿司を食べようねという話をしている。

 帰りの車の中で引越しの話が出た。入院中飼っているハムスターを預かってもらったりしなければならないため、移植外来がある病院は隣県の夫の地元だ。住んでいるアパートの更新時期も近いし、それならもう引越ししてしまった方が早いのである。

 私は基本的に同じ家に住んでいる期間がすごく短い。
 母の再婚や離婚とか、高校の下宿先、看護学校、転職の度に引越しを繰り返してきたので、大体平均して同じ家に住むのは三年前後である。
 その中でも今の家が最長で、六年弱住んだ。
 よく行ったおいしいラーメン屋さんや近所のお菓子屋さん、最後に勤めた生まれて初めてと言っていい優しい職場(薬が突然効かなくなりガス欠で辞めた)、未練はそれくらいだろうか。

 これから移植外来に通いながら禁煙外来に通いながらメンタルクリニックに通いながらダイエットをしながら引越しの準備もしなければならない。
 アパートの更新月は確か6月か7月だ。忙しくなる。
 夫は仕事で忙しいし、慢性腎不全の症状ですごく疲労しやすいので、私も精一杯頑張らなければいけない。
 とりあえず、土曜日のメンタルクリニックで減薬のことと、まだ先だが引越しのため転院を考えていることを伝える。
 そうやってひとつずつ、頑張っていく。

 今日は気持ちが昂っているのか、三時に寝たのに一時間半しか眠れなかった。
 二度寝できる気配もないのでこんな早朝から記事を書いている。

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