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「創作」ホームレスと犬

 男は愉快そうにカラカラと笑うと、口の端をニッと広げて、身を乗り出すようにして話し始めた。ウールのコートに染みついた煙の臭いと、長い間風呂に入っていない者が持つ特有のにおいがむっと押し寄せ、口からはツンと酒のにおいが漂って来る。少年は耐えきれずに鼻にしわをよせた。

 「あ?だからよ、こいつはいい犬なんだぜ。なんたって、俺がやるモンならなあんでも食うからよ。でも最近は変にグルメになっちまってな。みんなこいつが可愛いもんでよ、なんでもこいつにやっちまうんだ。がりっがりのてめえが食う前にな!笑っちまうだろ?まちげえねえ、ありゃあニックのやつがパスタを持ってきた時からだ。は!パスタとはな! あのアツアツのミートソースが味を占めちまったのよ。そっからす~っかり舌が肥えちまって、今じゃドッグフードには目も向かねえ。最近にいたっちゃ、ピザしか食わねえんだ、まったく。」

 唾を飛ばしながらひとしきり喚いた男は、グッと酒瓶を逆さにしてあおった。喉を鳴らして酒が胃に落ちていく様子を見て、人の喉仏とは、こんなにも鮮やかに震えるものだろうか、と少年は半ば呆れながらそれを見つめていた。

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