夏の終わりに

風の吹く夕刻
深い色に染まる空

降り止まぬ雨 覚束ぬ足元に
擦り合わせようとした 歩幅

流れ行く 川のせせらぎ
どれだけの時間が 流れたの
振り向く事も無いまま この路を行く間に

言葉もまだ 見つからない
雨脚は 尚も早く 雑音の頻る渦中
この胸中のざわめきを隠して 背中を見る
雨は鼓動を打ち 融け合う距離

「貴方に逢いたい」

吹き抜ける風に 髪を綻ばせて 口籠る
触れていたい 揺れた髪飾り 香る唇

風の吹く夕刻 止まぬ雨に 隠れた想い
降り頻る雨音 この手を握って いつまでも
吹き抜ける風に 触れた想い
この頰を紅く染めるから

降り止まぬまま 覚束ぬ足元に
擦り合わせる 大きな歩幅 黄昏の空

「貴方に逢いたくて」

この胸中のざわめき 伝えたくて
背中を見る 触れていたいと
ときめく心を 諌めるように

揺れた髪の 香る雨粒
止まぬ雨 隠れた想い 切なくて
伝えたい 夕刻の雨は それでも
この頰に伝う 涙の痕を消してしまうから

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