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小学生の親に見てほしい!小1の子がひき算をできない理由

小学生の子がいると、いろんな悩みをもつ方が多いです。

特に、「うちの子は勉強できるのかな?」といった内容で面談の時に相談されることもあります。

最近、小学1年生の子がいる友人から、「うちの子、ひき算ができないんだよ。」という話を受けました。

小学校でひき算の学習は進んでおり、その子は○文にも通っていたそうですが、ひき算の問題になるとつまずいているようです。

私なりに、ひき算でつまずく理由を挙げてみました。

小1の子がひき算でつまずいていたら・・・


① 具体物を操作ができているか(ひき算の意味が理解できているか?)


小学校1年生の子どもたちにとって、ひき算はたし算とは異なる新しい概念になります。 最初に、ひき算の基本的な意味を理解させることは重要です。

具体的なオブジェクトを使って、りんごを何個拾うと残るかの実際に体験させることができます。

少し専門的な話になりますが、ひき算が使われる場面には種類があります。具体的には、求残求補、求差求小といったものがあります。

求残:始めの量から減ったり取り除いた時の残りを求める

例:リンゴが5個あります。3個食べたら残りは何個ですか?

求補:全体の量からある量がわかっていて、もう一方の量を求めるとき
※ほとんどの教科書では、求補が求残として扱われていました。厳密には、求補と求残の違いは、全体からある量が無くなっているか否かというところです。
 (食べたら→無くなる。下記の画像では男の子はいなくなっていない)

求補 7-4=3  新興出版社啓林館 https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sansu/WebHelp/01/page1_10.html


求差:2つの量の違いを求める

求差 6-4=2  新興出版社啓林館 https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sansu/WebHelp/01/page1_10.html


求小:
2つの数量のうち大きい方がわかり、差もわかっているときにもう一方の量を求めること

求小  9-2=7  新興出版社啓林館 https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sansu/WebHelp/01/page1_22.html


② 式を見て答えがわからない、文章題がわからないなどで対策が変わる

ひき算が苦手という子の多くは、文章題を見ても求められていることの意味がわからないことに苦労することがあります。この場合、子供たちが式や問題文を理解する手助けが必要です。

問題文を一行ずつ提示したり、図や絵を用いて問題をわかりやすく説明することが大切です。

しかし、プリント問題の計算として例えば「9ー4=5」がわからない場合は、「数の合成分解」が十分にできていないことや、「ー4」が9から4を取り除くということの理解が不十分なことがあります。

9は1と8,4と5などに分解できることが十分理解できているかどうかはかなり重要です。たし算の前の単元として扱われているのは、数の合成分解がたし算ひき算を学習するうえで重要であることを示しています。

また、プリントの計算につまずく場合は、時間がかかってもいいので具体物を使って「9個のものから4個取り除く」といったことを行い、答えを導くことが重要です。

これを繰り返していくと、頭の中でもできるようになっていきます。そして初めて式だけで答えを導けるようになります。

このステップを飛ばしてしまうと、わからなくて算数嫌いになってしまう可能性があります。また、学年が上がると掛け算や割り算なども出てきますが、

これも具体物でどんな操作が必要なのかを理解しないとつまずきやすいです。


③ 文章題は場面ごとに絵や図を自分で書いて状況を整理してみよう

文章題は子供たちにとって抽象的で難解なことがあります。子供たちの状況をより具体的に理解しやすくするために、日ごろから思考する際に絵や図を描く練習を取り入れましょう。

実は、どんな思考をしているかは絵や図を描かせてみると見える化されていいことが多いです。

困ったら絵や図を描いて考えることは大切です

描いた絵と数字が合っていなかったら計算ミスをします。

文章では「帰ると」とあるので人の絵を消していく必要があるのに、更に人の絵を描いていたら、「帰る」が「減る」につながっていることに気づけていないということがわかります。

こうすることで、子どもがどこにつまずいているのか、その原因がわかるようになるので、それに合わせて対策を考えることができます。

つまずきに合わせてアドバイスします

小学校では丁寧な個別指導を期待できない?

「ひき算ができないなんて、小学校でどんな教え方しているの!」、「授業はどんどん進んでいくから、うちの子はおいて行かれているの?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。

確かに学校によっては30人を超える児童を指導するところもあれば、10人以下のクラスもあります。

小学校では丁寧な個別指導を期待できないと思われるかもしれませんが、決してそんなことはないと思います。

小学校教員は多くの生徒を抱えていますが、個別指導の機会を取り入れています。

個別→ペア→グループで思考
まずは、個人で考える時間を取ります。できる子はどんどん取り組んでいきますので、教師はつまずいていそうな児童のほうへ行き、取り組む内容を説明したりわからないところを助言したりします。

その後、クラス内でのペアワーク、グループワークを取り入れて児童同士が協力し、お互いに学習をサポートできるようにします。教師は見回りながらつまずいている児童に助言します。


保護者が算数の勉強を見るときにやってほしいこと


学校だけでは学習が不十分であることは理解していただきたいです。定着するには家庭で学習することも必要です。

そこで、大切にしてほしいことを記載します。

① 学習環境の整備


家庭での学習環境を整え、静かな場所や学習に集中できるスペースを提供しましょう。また、学用品や教材を整理し、子供が必要なときに必要なものにアクセスできるようにします。

② 家にある物を使って式の意味を一緒に考える

先ほどまでの内容と同じく、算数で式の意味を理解するには具体物の操作も必要です。特に1,2年生はこれをたくさんすることが今後の算数、数学の学習において重要だと私は考えています。

③ 褒めること


教師がほめるも大切ですが、家庭で保護者がたくさんほめてくれる方が大きな効果を持つと思います。

少しでもがんばったこと、できたことを見つけ、子どもの努力や成果を褒めましょう。 ポジティブなフィードバックは子どもの自己信頼を高め、学習に対する意欲を刺激します。

一度手に取って欲しいもの


 特別支援教育の算数に関する書籍

特別支援教育の本で算数を紹介している場合、発達段階に合わせた指導が丁寧に書かれていることが多いです。具体物を操作することを通して式や計算の理解につなげていく必要があります。

プリント学習を離れ、ゲーム感覚で楽しく学習するのは子どもにとっても大人にとっても楽しい時間になりますよ!

的あてゲームで倒れた数と倒れなかった数を求めて「合成分解」、横一列に並べた椅子を使って椅子取りゲームからの「なんばんめ」など、工夫次第でいろんな算数の単元ができることに気づけた本です。

特別支援学校の国語や算数は、プリントや教科書よりも具体物操作やゲーム教材が中心です。私は学習のまとめとしてプリントや文章題を行うこともありますが。



 市販の算数ドリルで家庭学習におすすめなのは・・・?


ちなみに、家庭学習としてドリルを行うのもいいかと思いますが、これは子どもが自分で「やってみたい」と思えるものを買うことをお勧めします。

小学校から高校までの勉強は「やらされている」感が強くなるため、「やってみよう」という気持ちを家庭では一番大事にしてほしいです。

一緒に本屋などで手に取り、コレ!と思ったものを購入するのがいいでしょう。もちろん、最後までできなくても大丈夫です。

最後までやらせようとすると、結局「やらされている」感がでますからね。


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