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デザイナーの4象限:定義編

このnoteは前回の続きである。読んでいない人はまず前回を読んでね。ちなみに↑はMicrosoft copilotが作成してくれた意味不明な図なので無視してください。

デザイナーと呼ばれる人の仕事へのスタンスはHelperとCreatorがあり、また仕事の性質として-1→0と0→iがあると前回書いた。これを4象限にすると以下のような図になる。

デザイナーの4象限

それぞれがどのような役割を果たすかを以下に示す。

Facilitator

はい、みなさんで現状のカスタマージャーニーを書きましょう。次にどこがペインかを共有しましょう。ペインがたくさん出ましたね。じゃあ皆さんの投票でどれに対処するか決めましょう。一人3票ずつですよ!
ペインが決まったらそれを解消する方法のブレストをしましょう!クレイジーなアイディアがいいですよ!みんなアイディア出しを楽しんで!
たくさんアイディアがでましたねぇ。みなさん素晴らしいです。今日のアウトプットはKJ法とかKA法とかを使って綺麗にまとめて後日納品させていただきます。

こうやって書くと「これがデザイナーか?」と思うが、実際にこういう「デザイナー」がたくさん存在している事実は動かしようがない。Helperなので自分ではアイディを出さないし、やっていることは明白なペインの解消だけ。あとで書くがこの役割に魂の安楽を見出す「デザイナー」は結構たくさんいる。

Project Executor

やっていることはFacilitatorとほぼ同様だが、0→iの方向性をまとめなくてはいけないので、少し難易度が上がる。ワークショップの参加者から出てくるアイディアは大抵の場合色々な方向に散らばっているので、それを不満なくなんとなく「私の意見もちゃんと反映された」と参加者に感じさせるような地点に着地させるのが腕の見せ所。

実はこの役割で結構良い成果を出せたことがある。参加者が全てものすごく頭脳明晰、かつ強力的で既存業務に対して問題意識をちゃんと持っている人達だった時だ。彼らと彼女たちに欠けていたのは「皆が一同に介して、自分が持っている問題意識を共有し、話し合う場」だった。私がProject Executorとして行なったワークショップはその場を彼らと彼女に提供したのだった。それゆえお客様の満足度は非常に高かったし、そのあとのプロジェクトの方向性にも影響を与えた。

しかし今確信をもって言えることは、あのお客様だからあの成果が出せたのだ、ということ。

(Usability Expert)

これは適当な命名ではないかもしれないが、-1→0を主体的に提案する役割となるとこの言葉しか思い浮かばない。お客様のサービス、製品に対してユーザビリティテストを実施し、問題点を洗い出し改善の方向性、もしくはアイディアを提案する。必要な役割であるし、このプロセスをちゃんとやれよ、とイラつく製品、サービスはこの世の中に溢れている。

しかし冷徹な事実としてこの分野だけで商売をするのは難しいのも確かである。道路に空いた穴を補修する作業とどこか似ているのかもしれない。必要な作業だし、社会的にも重要なのだがそれで大儲けしている企業があると聞いたことはない。

Value Creator

普段から色々な情報に触れ、それがどのように成り立っているかを考えている。その上で自分がそれに対してどう感じるか。その理由は何なのかを常に自問自答している。
今回のお客様は今の製品が今ひとつ不調で、次期製品をコンセプトに困っている。初めて取り組む分野だが、お客様と会話するのに必要な調査はすでに終えてある。

今のユーザに対するインタビュー、現場観察を行う。そこから何を感じ取るべきか。言葉、行動の裏にあるお客様のインサイトは何か?これはデザイナーによって意見が別れる。しかし意見を戦わせてこそ新しい着想が得られ、理解が深まる。

その上でお客様に何を提案すべきか?既存ユーザのペインはペインとして、そもそも既存ユーザと同じ人たちだけが狙うべきターゲットなんだろうか?他の分野、製品で行われたリフレームに関する知識・考察を今こそ生かすべき。そこから一つの方向性が自分の中で固まる。この方向性には自信がある。

しかしそれだけでは独りよがりの主張。これをお客様に分かってもらうためには何が必要か。デザイナー同士で議論を戦わせ、仮説を支持するデータを集め自分の主張に根拠があることを理解してもらう。それが開く新たな市場は不確かではあるが、どうして自分がそれに可能性を感じるのかお客様に伝えなくては。

プレゼンテーションの後お客様は言った。「これこそ私たちが考えていたものだ」これは素晴らしい。このアイディアをこれからはお客様が「自分のアイディア」として語ってくれるだろう。

上記ストーリーは実際にあった事象に基づいている。だから絵空事でも綺麗事でもない。本当にこういう働きをしているDesignerは存在し、Value Creatorという役割に相応しい報酬を得ている。

すでに若干記述しているが、このように4象限のデザイナーを考えた時それぞれの役割がどのように位置付けられるのか。どのようにそれぞれのデザイナーが「育っていく」のかについては次のnoteで。

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