大坪五郎

ハードウェアエンジニアから、Stanford University留学、海外勤務を経て…

大坪五郎

ハードウェアエンジニアから、Stanford University留学、海外勤務を経てソフトウェアエンジニア、リサーチャー、事業開発等を担当。現在はサービスデザインとともにデザイン思考・アート思考/ハート思考の研修講師を務める。https://goromi.com/

最近の記事

「デザイナー」に代わる呼び名

「デザイナー」という言葉が乱用されるようになったのは、別に最近のことではない。過去にはこんな記事を紹介したこともある。 をを、これはもう十年前の記事だ。 ここからさらにデザイナーの幅は広がり、サービスデザイナー、ビジネスデザイナー(これはあまり聞かないか)などなどとにかく世の中はデザイナーに満ちている。 問題は、 UXデザイナーとか、UIデザイナーとか作るものがちゃんと存在している間はよかった。ところが「デザイン思考」が普及した結果として「人にデザイン思考のワークショッ

    • Missing piece for ゴール創生

      何を書いているかといえば、ゴール創生に必要な要素である。 最近あれこれやっていてつくづく感じるのが「ストーリー構築能力」というものは人によってものすごい差がある、ということ。 この「ストーリー能力の差」はデザイン思考であればHow might we?を定義できる力とほぼ同値である。 問題は その存在はわかるのだが、それを鍛えるためには何をすればよいのかが今ひとつわかっていない点にある。 単にさまざま分野の経験を積めばいいのだろうか?しかしそうだとすると去年職場見学に

      • 「デザイン思考」はテニスの素振り

        有名な「デザイン思考はクソだ」という講演がある。そこから引用する。 現状認識として私も全く同感。私の理解では「デザイナーのプロセスを公式化したもの」が「デザイン思考」である。さて、その定式化されたプロセスにどれくらい意味があるのか?先日のビザスク講演で、デザイン思考に対して私はこう答えた。 「デザイン思考は..素振りのようなものです。フォームを正しく素振りをすることは確かに役には立つ。しかしそれで試合に勝てるでしょうか?」 テニスの素振りではおそらくフォームを教わる。こ

        • ビザスクで講演しました-質問に対する回答その1

          2024/2/14にビザスクで講演しました。 ありがたいことにたくさんの人に聞いていただけたようです。質問がくるか不安だったのですが、これまたありがたいことに多くの質問をいただけました。 記憶の範囲でいただいた質問と、それに対する回答(一晩立って考え直したもの含む)を書きたいと思います。 インタビューに関する質問 インタビューに関する質問をいくつかいただきました。NTTデータの仕事でデザイン思考の研修をやっておりますが、インタビューに関しては個別で要望もあり独立した研修

        「デザイナー」に代わる呼び名

          2/14ビザスクで講演します

          見出し画像はMicrosoft copilotに「「2/14ビザスクで講演します」という記事の見出し画像を作ってください」と頼んで作ってもらったもの。なんだこれは。 というわけで直前ですが、講演します。 去年も講演しました。なぜ残念な新規事業コンテストができてしまうのか。それを防ぐためにはどうすればいいのか?について語ったなかなかの力作でした。残念ながらアーカイブ動画はないそうです。なので見なかった人は 「そんなに立派な講演じゃなかったぞ」 と文句をつけることができな

          2/14ビザスクで講演します

          デザイナーの4象限:定義編

          このnoteは前回の続きである。読んでいない人はまず前回を読んでね。ちなみに↑はMicrosoft copilotが作成してくれた意味不明な図なので無視してください。 デザイナーと呼ばれる人の仕事へのスタンスはHelperとCreatorがあり、また仕事の性質として-1→0と0→iがあると前回書いた。これを4象限にすると以下のような図になる。 それぞれがどのような役割を果たすかを以下に示す。 Facilitator はい、みなさんで現状のカスタマージャーニーを書きまし

          デザイナーの4象限:定義編

          デザイナーの4象限:前提編

          デザインという言葉は今非常に広い意味で使われている。それとともにデザイナーという言葉の意味も広がり、収集がつかなくなりつつある。 「デザイン思考」と関連して時として揶揄されるのが「付箋デザイナー」という職種。UIデザインも戦略デザインも服のデザインもできないけれど、「デザイン思考」のワークショップをやって付箋をぺたぺたはることはできます!という人たちだ。こうやっても文字にすると冗談のように聞こえるけど、某社にはこの「付箋デザイナー」が山ほど存在する。それどころか「デザイナー

          デザイナーの4象限:前提編

          アイディアを作る方法

          「標準的」なデザイン思考ではアイディア出しについてほとんど何も言っていない。耳にタコができるほど聞かされた 「批判禁止・質より量・他人のアイディアにのっかろう!」 ではゴミの山ができるだけ、というのは多くの人が知っているはず。やれブレイン・ライティングだ、他人が書いたアイディアに繋げていく方法とかやたら数はあるがそれは変形されたゴミ製造機にすぎない。 などと文句を言っているだけでは意味がない。先日面白い記事を見つけた。 この「解決策を作る」前に「ゴール創成」があるのだ

          アイディアを作る方法

          「デザイン思考」に関する幾つかの事実

          今日もデザイン思考研修の波に追われよれよれしている日々ですが皆様お元気でしょうか? デザイン思考の研修をおそらく数十回やった。その結果いくつかの事実が明白になった。 デザイン思考研修ででてくる提案の95%(主観評価)は教育的価値を除けばほとんど無価値。最低10回は聞いたことがある案、案にもなっていない案、ユーザが1名も獲得できそうにない案が大半。 デザイン思考で一番難しいのはHow might we?を定義するところ。他にも難しい点はあるがHow might weでは立

          「デザイン思考」に関する幾つかの事実

          「デザイナー」を自称する「議事録係」

          先日ある企業で「デザイナー」と称している人たちの集まりに出た。 そこで「何かが違う」と違和感を覚えた。 「デザイナー」には実に色々な種類がある。「デザイン」という言葉が意味するところも多種多様だからかもしれない。以前勤めた会社でこんなブログを書いたこともあったな。 「デザイン思考」でサービスデザインやってます、という「デザイナー」の90%は「議事録係」である。ワークショップをファシリテートし、自分は何もアイディアを出さず、お客様の言葉を付箋に書いて貼る。それを適度に誘導し

          「デザイナー」を自称する「議事録係」

          なぜデザイン思考は(簡単には)機能しないか

          会社でデザイン思考の研修をたくさんやってきたしこれからもやる予定である。研修と関係ない場面で時々「実は私デザイン思考が大嫌いでして」と発言してしまうのだが、誰も気にしていないのは面白い。というか私の話など誰も聞いていないのだろうな。 さて 研修をやっているといつもHow might we?でひっかかる。問題領域を決める。これは誰でもできる。ペルソナを作る。真面目すぎる人はここで時間を食うが見本があるのでできる。カスタマージャーニーとか、その人がやりたいこと、やりたくないこ

          なぜデザイン思考は(簡単には)機能しないか

          「最悪バーガーの食べ方」という本を出しました

          なぜデザイン思考とかA❤️思考について述べている人間がマインドフルネスについて本を書こうと思ったか。 A❤️思考の要諦の一つは 「❤️に基づいた主張と、それを他人に伝えるためのArmが必要」 というものです。小林秀雄の言葉を引用します。 泣くだけなら私でもできる。しかしそれに溺れず、少し距離をとり人に伝わる形に整える人をアーティストと言う。A❤️思考でも同じフレームを重視します。中心にはその人の思いがなければならない。しかし同時にそれを人に伝えるための客観的な武装がなけれ

          「最悪バーガーの食べ方」という本を出しました

          デザイン思考はイノベーティブなはずなのに

          今朝こんな記事を見つけました。 「デザイン思考」と呼ばれているものには多くのバリエーションがあります。それらに共通するものを私なりに抽出すると ・人間中心 ・まず問題定義、次に解決策立案 ・発散/収束 ・何度も作って作って作り直し の4っつの要素。これらを繰り返すことによりよりよいものを目指す、というのが謳い文句です。 なのに 「デザイン思考」を掲げている人たちの多くが「デザイン思考原理主義」に陥ってしまっている。「デザイン思考原理主義」とは何か?現在のデザイン思考

          デザイン思考はイノベーティブなはずなのに

          Everything Everywhere All at once

          アカデミー賞をたくさん受賞した映画の題名ですが今日書きたいのは映画の話ではありません。 ❤️思考に必要な思考のフレームについてです。 先日ある人のアイディア提案を聞きました。その人は丁寧にガントチャートを作り検討の計画を立案、着実にステップを踏んで検討していました。 まずユーザーニーズを確認する。その上でソリューションの案を作り、その上で実現性、競合の状況を調査、さらにソリューションをブラッシュアップする。 素敵な計画に聞こえますよね? その人が提案したユーザーニーズ

          Everything Everywhere All at once

          ❤️思考研修が個人主体な理由

          昨日非常に興味深い体験をしました。 新規アイディアビジネスコンテストの前段として、応募者全員に❤️思考研修を受けてもらいました。参加者は皆それぞれの問題意識を持ち、意欲も高く最終プレゼンテーションでは一名を除いて説得力のある❤️を語ってくれました。 さて 私は新規ビジネスアイディアコンテストの運営には直接関与していなかったので事情は分かりません。なのですが、アイディアコンテストの応募はなぜかチームで、ということになったようです。❤️思考研修に個人で参加した人達がチームを組

          ❤️思考研修が個人主体な理由

          ハート思考/❤️思考についてビザスクで講演しました

          去る2月14日、ビザスクでハート思考について講演しました。 もともとA❤️アート思考と著書では書いていた内容ですが、今の会社の上司から「長い」と言われ「❤️思考」と短くしました。「アート思考」という言葉を残すことにこだわっていたのですが、確かに短い方がインパクトがあっていいですね。 元々は「アート思考とは何か」について考えたことから始まっています。過去の偉大な製品、サービス-ウォークマン、iPhoneなど-が生まれた際の経緯を調べ、それがアーティストの方法論と共通点がある

          ハート思考/❤️思考についてビザスクで講演しました