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高橋御山人
2017年7月13日 20:00
薄暗い谷を少しずつ下って行く。夜を明かした場所はやはり水源で、谷を下って行ったら、思った通り谷の中央に沢が現れた。下って行けば行くほど、谷の幅も沢の幅も大きくなって行く。地理的に言って、この沢を下って行けば多摩川に出られる事は間違いなかった。これで、道に迷う事はないだろう。しかし一方で、「登山の際に道に迷ったら、上へ上へと登った方がいい。山頂を目指して行けば、どこかで登山道に出る。下って行くと、
2017年7月4日 21:06
寒くて、目が覚めた。一時間も寝たろうか。既に真っ暗だ。谷底だけあって、本当に暗い。街の明かりなど一つも見えない。真の闇だ。午後七時頃、月が出る。しかし、谷底の空は狭い。午後九時頃には沈んでしまった。再び真の闇となる。寒い。本当に寒い。11月の奥多摩で、標高も千メートル近くある。夜の気温は零下になるかもしれない。しかも、元々電車とバスを使って日帰りで紅葉を見るだけのつもりだったから、大した装備
2017年6月28日 12:47
あっ、と思った時には、急斜面を滑り落ちていた。止まろうと思って足に力を入れても、まるで止まらない。靴のかかとが土煙を上げて滑って行くばかり。直立に近い姿勢なのに、背中のデイパックが地面を擦っている。無理矢理足に力を入れてブレーキを掛けたら、前のめりになって、頭から崖下に落ちてしまいそうだ。むしろ体全体を地面に密着させて、崖から体が離れないよう、自然に滑って行かないと、空中に放り出されてしまって危
2017年6月23日 12:02
今回、1995年の遭難の場所と過程について、ごく簡単に記述しておこうと思う(当時ワープロで記録したはずだが、現在のPC上にデータは移されていなそうだ)。この写真は、武蔵五日市の駅前にある、周辺観光地図を撮影したものである。この地図右下の「払沢の滝」。1995年の11月(確か文化の日だった)、18歳のとき、紅葉狩りのためにここを訪れた。しかし、時期か周囲の樹種の問題で、紅葉は見られなかった。ただ