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ドサクサ日記 3/27-4/2 2023

27日。
107stでコーラスのレコーディング。107stはアジカンの練習用スタジオとして借りている賃貸物件。時間の制約を受けずに気が済むまで練習できるようにと、『ワールドワールドワールド』の制作時から稼働している。『サーフ〜』の楽曲も、ホワイトボードに曲名を書きながら、いろいろなことをメンバーと話した。息苦しいほど濃密なセッションを重ねた時期もあったけれど、現在の空気はとっても健康的。

28日。
好きな人(いわゆる推し)に会うと、何を話していいのかわからなくなる。この日は長らくファンである元関取の方とたくさん話す機会があったけれど、ほとんど面白いことが言えず、聞きたいことだらけなのに聞きたいことが上手くまとまらずに困った。ファンがゆえに脳内がとっ散らかり、聞きたいことと伝えたい思いが脈絡もなく散乱して、嬉しいけれども申し訳ないような不思議な時間だった。

29日。
右の肩甲骨から肩にかけての痛みが少し軽減されたが、上腕から指先に抜ける鈍い痛みに困惑している。バス停まで走るとき、突然鈍い痛みが腕全体に走って、長い残響音のように残る。この痛みで死ぬとは思わないが、地味に精神を削るような痛みだ。体の表層にあるようなメジャーな筋肉は自分でマッサージすることもできる。しかし、内側の、マニアックな筋肉の不具合はどうすることもできない。

30日。
横浜でレコーディングだったので、家系ラーメンを食べようとしたのだけれど、どの店とも時間が合わずに断念。もはや獣の油を俺の胃腸は受け付けなくなってきている。はっきりと内臓の動きが重くなる。しかし、ラーメン不毛の地と呼んで差し支えなかったかつての静岡から出てきて、なんだこれは!と驚いたのが家系ラーメンだった。食べると、何か魂のようなところに鶏油が染みていく気がする。

31日。
DUMB TYPEのインスタレーションを観に東京駅近くの美術館へ。多くの人が出たり入ったりするなか、じっとりと1時間、坂本さんの音楽に浸りながらインスタレーションを体験した。以前に現代美術館で鑑賞したDUMB TYPEの作品とのつながりはもちろんあるけれど、今回のほうがメッセージ性がくっきりとしているように感じた。感想を坂本さんにLINEで送り、電車で渋谷のスタジオまで向かう。地面を踏み締める足の感覚が、美術館に来るまでとは少し違う。観念的なものだけれど、それこそが意義ある変化だと思う。ラジオ収録のあとはキタニタツヤ君のイベントで素敵な時間を過ごした。終演後は渋谷へ。ASHの面々といつもの店で会食。マークが来れなかったのは残念だけど、とても楽しい夜だった。英語の勉強をサボっていたので、自分の話す英語のぶっ壊れぶりに落胆した。続けないとこうなる。

4月1日。
ソフトタッチのレコーディング。ロングコビッドと花粉症と喘息で、みんなでゴホゴホと咳き込みながらの録音。「微妙です」という曲の「後ろ向きしてた時間を軸を曲げて聞けた君の声」という歌い出しの素晴らしさを佐野君に伝えると、佐野君は羅針盤の歌詞の「くるっと回って未来を指す」を誉めてくれた。お互いに、こういう話は照れるし良くないねと言い合って、へらへらと笑い合った。

2日。
坂本龍一さんの訃報。LINEの既読がつかなかったので、何かがあったことは直感していた。もう会えないかもしれないことも、覚悟していた。が、まったく言葉にならない。あー、でも少し書きたい。LOVE。何度か抱きしめてくれてありがとう。ゆっくりしてね、教授。