#55 縮みゆく人間(1957)
海で放射能と思われる霧を浴びたスコットは自分がどんどん縮んでいくのに気づく。世間からの好奇な目、家庭の不和。孤独になる主人公の見る世界とは?
宇宙大作戦のパイロット版のような哲学的な話にもっていくSFに滅法弱い。状況的にはカフカの変身と似て居場所がなくなる話。
前半は悲劇を丹念に描き社会からも縮んでいく人間ドラマ、後半は誰にも姿や声が届かない状態で地下室に閉じ込められた主人公が生きようとするアドベンチャー。合成に粗があるにしても、演出アイデアが素晴らしく惹き込まれる。他のミニマムものと違う点は元の身体に戻らずどんどん小さくなっていく事。
「なぜ蜘蛛から逃げたのか?
もう悩まずにすんだのに。
絶望感からおさらばできるのに。
なのに蜘蛛から逃げる。
機転を利かせ、悪戦苦闘してこの世に存在してる。
縮み続けてる私は何になるのか?
人間といえるのか?」
結末における主人公の決意が余韻を残した。現実で容赦ない出来事があった時、思い返すだろうな。
トホホな問題といえば日本語があるのは版権が怪しい?会社のDVDしかない事。紹介していいか不安(写真クライテリオン版)。
映画に辿り着くルートはSFファンか、死ぬまでに観たい映画1001本を追ってる人か、ある日どこかで、地球最後の男(アイ・アム・レジェンド)辺りでリチャード・マシスンを知って興味が湧いた人?
原作はさらに完成度高い。
夏への扉並に感動したんだけどな。
マイノリティーへのエールなのにいかんせんマイナー過ぎるのが惜しい。
日本でまともなDVDも配信もなく、このまま消え去るのか?
あと5年経てば問題点も解決?
生存ゼロじゃない事を信じて。
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