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Valse Op.34-2

ワルツ


ショパンの最もサロン風な音楽
父親は息子の音楽家としての出世のために、宮廷をはじめとする上流階級の力を利用することを拒まなかった。
ショパンは幼少のころからサロンに出入りし、14歳でワルシャワ滞在中のロシア皇帝の前で演奏している。

このワルツは消えゆく幸福の思い出の印象
思い出の告白という後悔の打ち明け。

模範演奏
指導映像 後半

musescore

このワルツはショパンのお気に入りでした。
ショパンはあるとき、パリの楽譜店でシュテファン・ヘラーという当時の大ピアニストが、ショパンのワルツの楽譜を買いに来ているのに出会いました。ショパンはそこにいたのですが、ヘラーはショパンがわかりませんでした。ショパンがヘラーにどのワルツが好みかと尋ねると、ヘラーは「全部好きだが、イ短調が気に入っている」と答えました。
ショパンも「私もそれが気に入っている。」と答えました。
それはいわば「もの悲しいワルツ」だとも答えました。

構成

A. 1-16 左手がメロディ 重たい
B.17-36 右手メロディ 悲しげ
C. 37-52 明るい
D. 53-68 光がさす
E. 69-84 Dを暗く
B. 84-104
C.105-120
D.121-136
E.137-152
A.153-168
F.169-188 左手がメロディ 明るい
A.189-204

詳細

1小節

6小節目は歌のような音色にしてほしいのです。
歌うような音色をなくさないで。
ここはもっと歌ってください。
もっと表現豊かに。

このワルツはショパンのワルツのカテゴリーでは、
「魂のための舞曲」とみなされていて、
「小犬のワルツ」のような曲は「身体のための舞曲」なのです。
”悲しい”といういうより、”メランコリック”でなくては。
”メランコリック”の方が悲しい程度が少ないのです。
もっと気楽に弾いてください。
あまり遅すぎないように。
そしてある種の揺れ動き、
あかちゃんのゆりかごをイメージしてください。
もっとこういう揺れる感じを出してください。

7小節


「ティタタタタ」これはようないから
ゆっくりめに弾き始めて、
フレーズの最後は、「ターラララ」
少し速くするといいのです。

ゆっくり弾き始めてあとは速くするのです。
そして後でまた出てくる時は、変えていいのです。
少し間をおいていいのです。
「ミ」までね。そして変えます。
2つの違った弾き方ができます。

  • B

16小節

回想とは、思い出、追想です。
甘美でメランコリックな事です。
少しここは速めに弾いてください。

何かに近づいてつかもうとする。
失われたものを思い出すかのように。
歌って。
ここは、ペダルを使うべきで、
こちらはあまりペダルを使わない。
つまり音色の違いを出して。
ペダルは踏んだままで、
その小節全体、踏んだままです。

この21小節から24小節まで
ですが、ここは窓をイメージして。
窓を開けて、あれほど愛した人と過ごした時を
思い浮かべる。
その人はもういないのですが。
すると窓は再び閉まります。
あの人はもうここにいないから。

25小節


開けて、窓を開けて
窓を閉めて。

  • C

37小節



ここでは優しく撫でる感じです。
いいですか。
易しく撫でているのですよ。
ピアノを撫でて弾いてください。
手でやってみて。

今度はこうして弾いてもいいですよ。
ペダルは少なくして。
音色を変えるためです。

そこからまたもっと長めにして
変化をつけてもいいですよ。
最初は普通に。
今度は。ディケディケダン
拍と同時ですよ。
拍と同時です。
最初の音符は左手も。

いま私が弾いてたのは、ショパンの弟子が発見した未刊行の旋律なのです。
ショパンは生徒が弾いているとき即興で弾いたものでした。
おもしろいですね。
ショパンが自由自在な音楽家だったかがよくわかります。
ショパンが同じ曲を再び弾く時は、
いろいろ即興を加えて変化をつけたものです。
ここでは太陽の光をイメージしてください。
それがあなたの悲しみにぬくもりをもたらすのです。

  • D


53小節目

121小節目

今度はpp。
悲しい現実に戻ります。
ここはかなりppで、もう少しゆっくり弾いて。
とても悲しい。
ここはささやくのです。pp。
あなたは小さい秘密をだれかに打ち明けています。
とても繊細に。悲しいのです。ささやいて。

137小節目
ここはもっと左手を弾いて。
チェロをイメージしてください。

そしてここは同じことだから
今度はここから弾いてください。

同じことが2回でてくるから、
ここから弾いて。

ショパンはこれらの音符に大変こだわりました。
これは「新しいポリフォニー」の
全てを出していると
言っていました。
最初、彼はこう考えていたのです。
それから「ド」と「シ」を加えたのです。
最後の所をここから弾いてください。

  • F

178小節目
 
ここの新しいフレーズからは
こう思い描いて。
「私が失った人がもしまだここにいたら
あの人とたくさんの事を語り、
一緒にいろいろできるのに」
これは最後の回想、
最後の望みです。
もしあの人がここにいたらですが。
もっと歌って。もっと強く。
クレッシェンド。
歌って。左手。
もっと強く弾いて。
太陽の光。
ここは均一に。
黙想。


最後の思い出。
ここで全てはきえて見えなくなる。
消えてなくなる。
<リテヌート>ですから、
少しゆっくりめに弾いてもいいです。

参考 NHK趣味百科 ショパンを弾く


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