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スクイズ

人生はスクイズだろうか
そうだとしたらかなり辛いけど
そうだとしたらしょうがない

あのときスクイズのサインが出た
僕はベンチにも入れず
観客席から観ていた

牽制球が入った
三塁ランナーのミツヒロが
スタートを切る素振りを見せてしまった

スクイズのサインは変わらない
相手のバッテリーは
気づいたのだろう

そのとき
僕は叫べばよかった
「ミツヒロ、走るな!」

僕は叫べなかった
何が邪魔をしたのだろう
殴る蹴るの練習だったせいか

結局
その試合が中学最後の試合になった
坊主頭は続いたけれど

人生はスクイズだろうか
スクイズを失敗して
大人になっていくのだろうか

僕は今
叫べるだろうか
それともただの傍観者だろうか

眠れない夜に思い出した
ノスタルジックな
思い出す後悔

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