生きていれば良い日もあるし、そうではない日もある。

今日はとても良い日だった。

私はPOPUPショップが好きだ。特に創作物が好きである。
以前はPOPUPでの”お作法”を知らず、つまり目の前で接客してくださる方が、まさかそのブランドオーナーだということを知らず、失礼な振る舞いをしてしまうようなこともあったが、いくつかのPOPUPと出会うに知るにつれ、その楽しさを知った。

同じブランドのPOPUPに何度か通うことは稀で、どちらかというと一期一会に近い。
今日出会ったブランドとも、次の機会にタイミングあうかはわからない。
だから、気に入ったプロダクトがあれば、パッと買うことにしている。

一見、変わったデザインの服を売っているPOPUPかと思った。確かにそういうものもあるし、私の目を引いた服も個性的なものだった。

少し立ち止まって見ていると、年配の男性に声をかけられた。
お話を伺うと、染色をしておられるという。
私が気に入った服は和服のようなイメージで、そのことを伝えると、元々和服の染色をしていらしたという。このご時世、和服はあまり売れないので、洋服やストール等を染めたり、描いたりしているそうだ。


ろうけつ染めという手法で模様になるよう色を抜き、そこに色を入れる。グラデーションに染めたものもある。
お一人でやっておられるそうで、デザインもお好きなようにされているそうだ。

３枚試着させていただいて、迷ったのち、ポピーの絵が描かれた和服風な１枚を購入した。
その際、オーナーがストールを１枚プレゼントしてくれた。
試着中、そのストールをコーディネートしてくれていたのだが、一緒に買うとそれなりの金額になってしまうため、そちらは諦めようと思っていた。
さすがにそのお値段のものは、一旦遠慮したのだが、ぜひにとおっしゃるので有難く頂戴することにした。

POPUPには出店料がかかるだろうし、出張費や、売り上げの分配費などもあるはずで、いくらお一人でやっていらっしゃるとは言え、ストール１枚分の利益は少なくはないはずだ。
柔らかな白い布に描かれた墨絵のような線に、オーナーの温かい心が入っているな気がして、思わず目が潤んでしまった。
私の手持ちの服にも合うだろう。

次に地元でPOPUPをされる際にはハガキを送っていただけるよう、名前と住所を残したが、私のタイミングが合うかどうかはわからない。
約束はできないけれど、タイミングが合えば、私はまた素敵な染め物を見せていただこうと思う。

もうひとつ良いことがあった。
どうしているかなと気にかけていた人が、元気で過ごしていることを知った。
それだけで私は幸せだ。

今日はとても良い日。