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数多くのデザイン賞で学んだことー7つのTIPSー

こんにちは。グランドデザインの藤原です。今回は国内外の仕事を海外デザイン賞へエントリーしてみた動機や対策をまとめたいと思います。浅はかな僕の経験値からのコメントになりますが、今後、デザイン賞へのエントリーなど考えている方のヒントになれば。興味のある方は一読いただければうれしいです。

日本と世界のデザイン賞の違い

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デザイン賞は世界中で行われています。3大広告賞と言われるカンヌのような大きなものから、パッケージというジャンルを指定しているものまで大小様々です。日本と世界のデザイン賞を見渡すと日本は僕が知っているだけでも20年前と顔ぶれが大きく変わっておらず、内輪の人たちだけで「素晴らしい」とか「新しい」とか褒め合っているのかなという印象があります。評価する内容もグラフィックとかCM、WEBといったカテゴライズされた中で、表現が新しいとか、強いとか、美しいとか、面白いかなどといったような基準。

世界に目を向けると、業界内評価に傾倒している国内賞に対して、世界で行われているデザイン賞は作品のアート性はもちろんだけど、そのデザインによって「どのような結果をもたらしたか」、昨今はこれを重視するデザイン賞が多いと感じます。(というか100%と言っても過言ではない)なので、プロダクトデザインや広告デザインにおいても「デザイン」のほか「コンセプト」や「リザルト」、「文化的背景」といったデザインの側面も重要視されます。つまり、グラフィックとかパッケージとか広告とかメディアに対してデザインを載せただけのものは評価されにくい。「デザインがもたらした結果」を求められているので、社会性だったり、コミュニケーション手法だったりとデザインが点ではなく、もっと広義なものとして捉えられている。

なので、デザインというものの評価基準が厳しいけれど、明確でわかりやすい海外賞へのエントリーに魅力に感じるし、栄冠を得た場合の会社の箔としても大きいんです。応募数は世界中からエントリーがあるので、国内賞とは桁違いで狭き門にはなるのだけど、モチベーションも国内賞とは比べ物になりません。


デザイン賞の対策

note9月4

カンヌライオンズを例に上げます。皆さんご存知の国際映画祭ではありません。映画祭と並行して広告祭もあります。一般認知は低いかもしれませんが業界内評価はとても権威のあるもので、あのライオン像ももちろんもらえます。それでは早速、対策について話を進めていきたいと思います。

デザインエントリーに必要なもの(パッケージデザインの場合)
※カテゴリーによって異なります。

・応募作品(指定期間内に販売または広告されたもの)
・エントリーフィー
・エントリーシート(下記詳細)


【A】Media Information
>メディア等を使って作品が配信されたり広告されたりしているかを聞かれます。

[A-1]公開された、または現在公開されている場所。
>FacebookとかでもOKです。オンラインで発売されている場合、ECサイトなどをを書いても良いかなと思います。

[A-2]公開イベントをしていた場合はどれくらいの人数(規模)だったか。
>プラットホーム上ではどれくらいの方が見たか。どのくらいの方がアクセスしているか。不明な場合はどれくらい売り上げてるのかがわかれば規模を認識できるのかなと思います。

[A-3]それはどのくらいの期間配信されていたか。
>発売または配信期間を書きます。

[A-4]それはどこの国で配信されているか。
>発売または配信された地域を書きます。


[A-5]販売サイトのURLを教えてください。
>該当するURLを書きます。複数回答OK。

TIPS 1
ここのAカテゴリーでは主に作品のインフォメーションになりますので、事実に沿った形での記実で構いません。ただし、小さいプロジェクトよりは大きいプロジェクトの方が見栄えが良くなりますので、[A-2]公開イベントをしていた場合はどれくらいの人数(規模)だったか。これに対してはコーポレートサイトやブランドサイト、facebookやtwitterなどあらゆる公開メディアからの流入数などを足して出来るだけ規模が大きく見えるように装うのがポイントになります。嘘はバレますので、あくまで事実上の範囲で行いましょう。

【B】The Written Explanation
成果物(デザイン)に対する説明を求められます。

[B-1]Background
・Situation
・Brief
・Objectives
・Budget
・Project scale and volume

>制作依頼の背景(課題)を聞かれます。上記項目の中から抜粋し、まとめます。全部に回答しなくてもOK。

TIPS 2
制作依頼の背景(課題)の記述は、実際のものと異なってはいけませんが、下記の[B-2〜4]の判断基準をベースに話をまとめます。判断基準はコンセプト、デザイン、リザルトの3つですので、課題と解決と結果をキレイなストーリーとしてまとめると良いです。

[B-2]Describe the creative idea (40% of vote)
・Bland relevance(ブランドとの関係性)
・Target audience(consumer demographic/individuals/organisations)

>クリエイティブアイデアを聞かれます。コンセプトです。判断基準の40%を占めますのでとても大事。

TIPS 3
ターゲット:どこの誰に向けたものか。富裕層向け、学生向け、女性向けなのか。出来るだけ細かい設定で。設定したターゲットに向けてどんなコンセプトを打ち出したのか。海外賞ですので分かりにくい日本語特有の表現は避け、英語で誰にでもわかりやすい表現にすることを心がけてください。


[B-3]Describe the execution (40% of vote)
・Design elements and their integration (デザイン設計の要素)
・ Design touchpoints (デザインのポイント)
・ Materials, style elements, design choices (素材、スタイルの要素、デザイン選択)
・ Design development and process (デザイン設計とプロセス)
・ Choice of campaign elements (キャンペーン要素の選択)
・ Approach (アプローチ)
・Scale(スケール)

>デザインアイデアを聞かれます。上記項目の中から抜粋しまとめます。全部に回答しなくてもOK。こちらも判断基準の40%を占めますのでとても大事です。

TIPS 4
クリエイティブの見た目の解説ですので、制作意図を思う存分述べれば良いです。ただし、制作者にしかわからない細部のニッチなこだわりを得得と述べるよりは、社会性や多様性など今の時代を意識した内容の方が前向きに受け取られます。


[B-4]List the results (20% of vote)
・Value added to brand(ブランドの付加価値について)
・Value for consumer (消費者にとっての価値)
・Reach / cultural impact(文化的影響)
・Sales (売上)
・Achievement against brief (ブリーフに対しての達成)
・Other KPIs(他の※KPI)

>前述のコンセプトとデザインでどのような結果をもたらしたかを聞かれます。判断基準の20%を占めます。こことても大事です。上記項目の中から抜粋しまとめます。全部に回答しなくてもOK。

TIPS 5
ここも社会性があるととても良いと思います。そのデザインによって社会にどのような影響をもたらしたか。その分野でどんなイノベーションが起きたか。どれだけの人を動かしたか。結果として伝えられることは『売り上げが向上した』『ブランド認知が上がった』などももちろん伝える内容ではありますが、それくらいのことで審査員は驚きません。

[B-5]Confidential information for the juryConfidential information.(機密情報)
> 審査の間だけ審査員のみに公開されるものです。ジャッジ用として使われます。

TIPS 6
審査基準としては重要項目ではないです。無記入でも構いません。ですが、どうしても伝えたい内容を書きます。例えばですが、制作費が全くなく限られた予算だったりする場合は、スモールバジェット/ビッグクリエイティブをアピールしたりできます。


ざっと、こんな感じ。膨大ですね。締め切り直前にはとてもじゃないけどやっつけられないです。仕事があるごとにプロセスをまとめておくと便利ですね。弊社サイトのWORKはもうそのような立て付けに変更しました。今回の内容って具体的にどんな感じ?という方は是非サイトを見に来てみてください。内容の一部ではありますが公開しております。https://www.grand-design-tokyo.jp


最後に。

世界何十カ国から数千〜数万点の応募がある海外デザイン賞。この応募に対して全部目を通してる。審査員の方々、一語一句ちゃんと見てるんです。脱帽。この数多ある応募作品の中で光るものを感じさせるように伝えること、審査員の目に止まるもの、これに注力する。目立たないといけません。長すぎたり、まとめきれてなかったりはダメ。端的に、新奇性をもってそのデザインの魅力を伝えられるかが第一次審査を通過するカギです。

TIPS 7
ほとんどのデザイン賞の場合、作品と文書で応募になります。これだけの応募数ですのでぶっちゃけ、目にも止まらない作品もあるんじゃないかと勘繰っちゃいます。そこで、実はサブ資料の添付OKというルールがあるのです。これは作品のポイントをグラフィックボードにまとめたものや、映像で編集したものを提出して良いというルールです。建前は補足資料ですが、突っ込んでいうと審査員の確認作業をスマートにするものです。つまり、これは審査員の目に止まりやすいものですので、この補足資料の映像編集に全力を注いでる制作会社も多いです。

そしてコンセプトやデザイニングなどの第一次審査を通過すれば、あとは見た目のデザイン勝負、第二次審査を経てWINNERSの発表です。

明後日10/23は僕らのデザインもエントリーしている red dot design awarad 2020 の発表があります。https://www.red-dot.org

今後このような活動がどのような影響をもたらすのか、仕事面でもリクルートの面でも楽しみにしたいと思います。

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