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映画『散歩する侵略者』

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『散歩する侵略者』

監督 : 黒沢清
出演 : 松田龍平、長澤まさみ、長谷川博己
原作 : 前川知大

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黒沢清監督作品を初めて鑑賞しました。
映画館で掛かっていた当時は頭に”?”だけを浮かべて観なかった作品でしたが、信頼する映画友達から面白かったと聞いた事をきっかけに鑑賞しました。

終始異物感と画面への求心力が
持続するオールスター作品でした。

言うまでもなく松田龍平さん、長澤まさみさん、長谷川博己さんをはじめとする役者の方々が魅力的で、他の作品では観られない独特の雰囲気や動きが面白かったです。

画面の違和感は映画でしか表現し得ないもので、それがまた良かったです。

概念を奪う宇宙人による侵略の話で、
初めは無知な彼らが道行く人から
“自由”、”の”、”家族”、”自分”、”他人”など
の概念を奪っていきます。

彼らの言うところによると、
知識や言葉としての意味を越えたところに、その言葉が持つ”概念”が存在していると言います。
“家族”とは何なのか、私”の”家、貴方”の”家の”の”とは何なのか、日常的に使う言葉の意味を問い掛けられる事で画面越しに私も想像して考えさせられました。

そして、宇宙人が”概念”を奪うことで
奪われた人からはその”概念”が抜け落ちる。
実際のところどうなるのかは分かりませんが、
概念が抜け落ちるとどうなるのか
一つの推察を観ることで想像させられました。

この部分はある種、漫画『チェンソーマン』とも似ていると感じました。

目が離せないトップスターの奇妙な動きが
見所の一つで、分かりやすい奇妙さとも違う
違和感が創造されていて、黒沢清監督だからこその面白さなのだろうなと思いました。


観賞後、この違和感をどう解釈するべきか
意義ある“?”が浮かぶある意味
新しい感覚にさせてくれる作品でした。

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