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32歳からの海外移住生活 その2

新婚旅行
新婚旅行の行き先はヨーロッパにしました。これまで海外旅行といえば航空券と宿泊先だけを予約し、旅行日程は現地に到着してから自由に決めるというスタイルでしたが、新婚旅行となるとさすがにそういうわけにはいきませんよね。
ということで、きちんとしたツアー旅行を予約しました。

現地に到着すると、ツアー会社と契約している現地の日本人の方がお迎えに来て車でホテルまで送って下さいました。次の目的地に着くとまた別の日本人の方が同じように送迎をして下さるのです。
しかもその方々、年齢的には30−40代。私と同じ働き盛りの年代。若い時に海外へ移り住み、その土地で仕事をされてる姿を見て私は非常に刺激を受けました。海外移住は定年後に、という私の中にあった固定概念が覆されたのです。

新婚旅行から帰国した後の私は、海外生活に想いを馳せる日々を過ごします。仕事の合間や休日には書店へ行き、海外移住や留学に関する書籍を読み漁っておりました。当時はまだスマホも普及しておらず、書籍による情報収集が一般的でしたので。そして海外移住に対する想いは日に日に強まっていきました。

先述の通り、当時働いていた会社への不満はありませんでした。しかし朝から夜まで仕事仕事で、趣味程度に始めその後はまっていった英語学習の時間が取れないことに対する不安な気持ちはありました。
大学合格まで続けた受験勉強はあまり好きではなかったのに、自分のための勉強とはこんなに楽しいものかと。

海外移住への決断
自分のためにもっと時間を使いたい、勉強したいという思いと、近い将来海外に住みたい、働きたいという思いから会社を辞めると決断をしました。自分の中からそういった気持ちが込み上がってきたのは今振り返ると不思議です。今までは定年まで一つの会社で働くという考えしかなかったのに。

決断した以上、上司や同僚への報告は避けて通れません。
その年の年末、会社があまり忙しくない時期でしたので上司に時間を取ってもらい話すことにしました。非常にお世話になっている上司でしたので気が引けましたが、自分の思いを率直に話しました。
上司はある程度の理解を示してくださりましたが、このように言われました。「ただ外国の風にあたっていい気持ちになりたいだけならやめておいた方がいい」
そしてもう一度この年末自分で先々のこともよく考えてから年明けにもう一度気持ちを聞かせてほしいと。
このように言っていただけたのはとてもありがたかったです。年明けに私の気持ちは変わることなく上司も退職を認めて下さいました。

退職〜仕事探し
その2ヶ月後、約7年間勤めた会社を退職しました。
さて次の仕事を見つけなければいけません。海外で。
午前中はNHKラジオ講座を元に英語の勉強に励みました。そしてインターネットで海外の求人を探し続けました。
行き先の国もまだ定まっていません。とりあえず治安の良さそうな国で手当たり次第検索を続けました。
インターネット検索で海外求人を見つけても、それは現地在住者向けのものであることがほとんどなんですね。そういうことも知らず、自分に出来そうな仕事を見つけてはEメールで問い合わせをすることを繰り返していました。
海外で働くにはビザが必要です。ビザに関する情報を集めた結果ビザ取得の困難さからアメリカやオーストラリアは候補から外さざるを得ませんでした。
ちなみにその時私は30歳を超えておりましたので、ワーキングホリデーで海外へ渡ることも出来ません。

面接のためにカナダへ
行き先の国や仕事の選択肢は狭まる一方です。
そんなある日、カナダの雇用主様から返信がありました。面接には来れますか?と。
カナダで食品製造の工場を経営されている日本人の方からのメールでした。やや閉塞感を感じている日々でしたが、このメールを受けて胸が高鳴る思いでした。
いつでも、すぐにでもカナダへ行ける旨をメールで伝えました。
そうするとその方は私のために宿泊先を確保し、丁寧に1週間の予定を組んで下さいました。面談、仕事場の見学、配達同行、食事会などなど。

そして私は人生で初めてのカナダに到着しました。
年配の方で丁重に迎えて下さり、懇切丁寧に仕事を教えて下さいました。
初めてのカナダでしたが、車で市内の主要な場所に連れていただいたりもしました。

滞在3日目、その経営者の方から大切なお話がありました。近い将来に引退するので工場を継いでいただけないか、と。非常にありがたいお話ではありましたが、当時の私にはとても重く感じられました。その夜妻と話し合いましたが、この話は引き受けることは出来ないという結論に至り、翌日その方へ伝えました。
親切にしていただき大変申し訳ない思いで一杯でしたが、その日を最後にこの仕事に就くという選択肢はなくなりました。

新たな可能性を求めて
わざわざカナダまで面接に来たのですが、滞在予定はあと3日も残っております。このまま何もせず日本に帰るわけにはいきません。
ホテルにて色々と調べ、日本人の方が営んでいる留学センターを訪れることにしました。仕事の斡旋などもやっているような記載がありましたので。
そして受付で訪問理由を話しましたところ、オーナーの方にお会いすることが出来ました。

その女性の方は開口一番、「良い時期にカナダへ来られましたね、今カナダは移民を数多く受け入れる政策を行っているので、ビザは比較的取りやすいですよ」と。
その場でいくつかの仕事を紹介して下さり、移民コンサルタントの方と引き合わせてくれました。
カナダ滞在予定は残り2日しかありません。仕事を選んでいる余裕もありませんでした。紹介された日本人経営の飲食店へ面接に行き、なんとか内定をいただけることになりました。
移民コンサルタントの方によりますと、そのお店が日本人労働者を必要としていると訴えることにより、カナダ政府からの労働ビザ取得の可能性が高くなるとのことでした。

帰国直前、バタバタでした。あとはコンサルタントの方にビザ取得の手続きをお願いし一度日本に帰国することになりました。何週間先になるか分からないけれども、ビザが下りたら連絡をいただけるとのことです。

これで良かったのか〜内定辞退へ
1週間のカナダ滞在から日本へ帰って来ました。
帰国直前に慌てて決めてしまった仕事。改めてゆっくりと考え直しました。
料理にそれほど興味もなく、これまで料理の仕事はアルバイトでかじった程度の自分が、ビザのために飲食業で働くことが果たして良いことなのか。。
というのも、内定をいただいたお店は寿司屋さんだったのです。
当時の私は寿司屋=修行を経て一人前になる、という印象を持っていました。皆若い頃から修行して頑張っている世界に私のような30代の人間が軽々しく入って良いわけがないと思っていました。

熟慮の末、私はこの内定を辞退することにしました。
また一からやり直しです。ただカナダに行ったことで可能性はゼロではないことを知りましたので、カナダの求人から自分にあった仕事を選ぼうと決意しました。

この続きはまた。










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