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【解説】第24話 逃げるにゃ!

まとめ本に収録した各トピックの解説の全文を掲載


第24話はボスとの相性を取り上げたトピックです。第6話の研究室配属の時も取り上げましたが、とても重要なトピックなので改めてもう一度描きました。
 
PIとの相性が良いと研究もスムーズに進む印象があります。私はこれまでに数人のPIの元で働いた経験がありますが、一番相性の良かったPIのラボは一番ポスドクが続かないラボでした。ウマがあうって本当にあるんだなと凄く感じました。そしてこればかりは入ってみないと分かりません。重要なのは「合わない!」と思った時にすぐ動けるかどうかかもしれません。
 
日本には「続けることは美徳である」という文化があります。時としてこれが自身を苦しめることがあります。もちろん続けて良い結果が出るのであれば良いですが、無理に続けることによって研究者キャリア自体が崩壊してしまうのであれば別です。その辺の見極めは難しいです。特に学生の場合、経験が乏しかったり、学位を人質に取られていたり、とポスドクが流動するのとは状況が違います。博士課程(ドクター)に進む際は研究内容だけではなくPI、先輩、卒業生、学会、など総合的な判断が必要かもしれません
 
にゃんこ先生が「そういうのあるよねー」と言っていますがこれは慰めているのではなく「そういうのは普通だから乗り越えるのも実力の内」と考えているという描写です。アカデミアで職を持っている先生達はこういうのを乗り越えた人であるため、ハラスメントでつまずくことに理解がないこともあります。
 
最後に雇用する側の苦悩を描きました。研究者の採用には「研究業績が公平に評価されるべき」と思われていますが実際にはそうではありません。自分の研究室の卒業生を採用するなどコネは多くが存在します。私自身もかつてはそれに否定的でした。しかし完全に業績優先でその人となりを知らない状態で採用した助教の公募で大変な目にあった事例を目の当たりにしました。

採用された助教は研究室で学生とトラブルを多く起こし、数年に渡って学生が入ってこないという状況になりました。それだけではなく、なぜか任期中に1本も論文を出さなかったのです。

知っている人を取るということは、このようなトラブルの回避に繋がるのだと感じました。


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