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【店づくり相談室 vol.9】本気で人を想うということ

RAIZOU HP

お店をつくる際には、たくさんの人がさまざまな立場で関わっています。オーナーをはじめ、基本構想や実行計画、商品計画、販売サービス計画に関わるスタッフ、販売スタッフ、そして店舗の設計デザイナー、施工会社等など。では、そのプロジェクトを成功させるために重要なことは何でしょうか。



ビジネスの成功のためには、「方向性と熱意と能力の掛け合わせ」が肝だと考えています。これらは、掛け算なので数値が低くても正の値になりますが、どれかひとつマイナスになっていると解はマイナスになってしまいます。チームが機能するためには、それぞれの役割に応じた責任を果たすこと、そして密に連携していくことです。では、連携に何が大切なのでしょうか。採用や配置、育成など人事的なことはもちろんですが、全員が「本気になる」ということではないでしょうか。では、人はどうすると「本気」になるのか。それは、「同じ景色を見る」ということです。トップがビジョンを示し、具体的に同じ画を想い描く。同じ景色を見ることで、絆が生まれ、理屈を超えた本気度を生み出すことができます。




そして、もう一つ大切なことが「言葉を共有する」ということです。言葉を発しても、その言葉が意味することや言葉の背景にあることが共有できていないと、想いを正確に共有することができません。そのために重要なのがコンセプトをつくり、わかりやすい言葉で共有することです。以前、伊勢丹新宿本店にメンズ館をつくった時、店舗デザインのコンセプトとして「場の目的」「時代軸」「おもてなしの精神」という3つのコンセプトをつくりました。「場の目的」は、住居に玄関や応接間、リビングルーム、寝室などがあるように、店舗にもそれぞれの「場」の目的に現代的な顧客のスケール感を加味し、その役割に応じた環境づくりをすること。そして、売り手(提案する側)がこれでもかというくらい多くの情報を提示するのではなく、本当に伝えるべき情報を絞りターゲットにシンプルに伝えること。「時代軸」というのは、伊勢丹が神田旅籠町から新宿に移転した1933年という時代にスポットを当て、歴史観や当時の文化を環境デザインの中に表現すること。「おもてなしの精神」は、日本人が持つおもてなしの精神性を環境デザインに落とし込むというものです。
物理的にコミュニケーションをとることが難しい時にも、コンセプトを共有しておくと、課題に何かにぶつかった時や意見が対立したときにも、そこに立ち戻ることで大きなぶれをなくし、進むべき方向性を保つことができました。

さらに運営において大切なことは、「成果を出す」ということを共通目標とすることです。そのために、上位職は、時には嫌われても長い目で見る。中長期的に見て良いと思うことをやることが必要です。短期的なチームワークのみを重んじていては、成果につなげることはできません。



今、地域に目を向けると、どこも同じような手法で都市開発や店舗開発が進められ、近代化という名のもとに都市化しています。都市というのは、確かに人の心を高揚させ、自由な気持ちにしてくれる魅力ある空間です。しかし、東京を真似るのではなく、それぞれの地域の歴史や文化を生かした都市づくりを目指さないと長期的な成長は望めないのではないでしょうか。地域との交流が、都市に住む人々に気づきや影響をあたえる一方で、地域も蘇り、それぞれの地域が持つ多様で豊かな文化を活かしていく「バランスのとれた価値観の社会」を築いていくことが大切なのではないかと思います。
ギフト研究所は、都市と自然あふれる個性ある地域をつなぐことによって、都市と地域、若者と年配者、そこに住む人と訪れる人とがお互いに交流し、気づきを得て、お互いのベネフィットを得られるようなコンサルティングを進めています。


人は自己実現と称して、社会的地位や経済的な幸福と満足を得ようと努力しています。しかし、それだけでは真の幸福や満足を得ることができません。なぜなら、人間は、幸せなコミュニティのなかに居なければ、ほんとうに幸せにはなれない存在だからです。自身の満足感だけを追求し続けていても、一方では絶えず欲求不満と不安を覚えることになります。



アメリカの心理学者マズローの説によると、人間の欲求には5段階があり、その最上位にあるのが自己実現の欲求です。アメリカの近代化は、自己実現の追求に駆り立てられるようにして、個人の幸福を最大化する社会づくりを目指して進んだと考えられます。しかし、そのような追求は、「キャッシュ・イズ・キング(現金は王なり)」という考え方や「自由競争」の原理が支配する金融資本主義を採用することにより、結果として格差が蔓延する社会を生み出しました。実は、人間の欲求には5段階ではなく、「自己超越を最上位とする6段階がある」とマズローは唱えたかったのではないかとする説もあります。



自己超越的な個人というのは、純粋に個人的な自己の在り方を超え、他者への奉仕に携わる献身的な人のことです。地球環境や気候変動、少子高齢化、経済格差、人権、食糧危機、エネルギー供給など多くの社会課題が溢れていますが、私たち一人ひとりの心がけと小さな行動の積み重ねが課題の解決につながっていくと信じています。そして、日々の生活を楽しみ、幸福感を感じられる笑顔あふれる暮らしを続けて行けることを願っています。そのために不可欠なのが、「人を想う」ことです。



これをカタチにしたのが「ギフト」というコミュニケーションです。ギフトを贈る人は、もらう人の3倍の幸福感を感じることができるといわれています。贈る相手のことを想うことは、その物理的な時間と精神的な満足感を含めて自己超越的な幸福感を得ることができるのです。どうやら「本気で人を想うこと」がビジネスの成功にも社会課題の解決にもつながりそうです。

ギフト研究所事務局からのお知らせ

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