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週刊小売業界ニュース|2024/3/4週

2024/3/4週(3/2~3/8)にピックアップした小売業界ニュースをお届けします。今週のおさらいにぜひどうぞ!


アメリカ進出を始めた インフルエンサーエージェンシー各社。「グローバルな拡大」競争も激化 | DIGIDAY

ヨーロッパのインフルエンサーマーケティングエージェンシーが、米国進出とマネジメント層の刷新を通じて、グローバル市場での競争力を高めている。また、地元インフルエンサーと連携し、多国籍企業の要望に応える戦略を展開している。

担当者による要約

SNSの台頭とともに2015年以降から
急激な伸びを見せるインフルエンサーマーケティング。

最近のアメリカ市場では90%以上のマーケターが、
インフルエンサーを活用しているとも言われています。

インフルエンサー活用が拡大している背景には、
これからの消費を担うZ世代・ミレニアルズ世代への
エンゲージメント向上があります。

これらの消費者はこれまでの消費者と比較して、
ブランドを人格をもったものとして考える傾向にあります。
そしてブランドコンセプト(人格)が、
自分の価値観と合っているのかで好みを判断するわけです。

コンセプトを写す鏡のようにブランドの人格を見せる手法として
インフルエンサーの活用が盛んになっているという背景です。

さらに最近のトレンドとして、
マイクロインフルエンサー」と呼ばれる、
フォロワーが5千~数万人規模の
インフルエンサーの重要性が高まっています。

いわゆるメガインフルエンサーやセレブと呼ばれるような、
数百万人規模のフォロワーを抱えるインフルエンサーよりも、

小規模で特化したマイクロインフルエンサーの方が、
消費者によってはより身近に感じられ、
またニッチターゲットを抱えていることから
コミュニティ内のエンゲージメントが高い傾向があるためです。

マイクロインフルエンサーを活用する有用性は、
大企業・中小企業を問いません。

例えば電動スクーター企業のBoltは、
事業展開するヨーロッパ・アフリカの18か国にて、
各地域のマイクロインフルエンサー500人以上活用し、
マーケティングを実施しました。

このようなグローバルなマーケティングを行う際、
企業側の最大の課題はインフルエンサーを見つけることです。

WEBマーケティング企業Principleの調査によれば、
39%の企業が「キャンペーンに参加してくれる
インフルエンサーを見つけること」を課題として挙げています。

そのため特集記事のエージェンシー企業ように、
各地域に根差したインフルエンサーを抱えることで、
インフルエンサーマーケティングを実施する企業への
提供価値が飛躍的に高まるというわけです。

<担当者からの一言>
インフルエンサー戦略として、新たなローカルマーケット開拓(地方市場の活性化)が上がっていたことは盲点でした。インターネットはグローバルに強いと思い込んではいけないなと感じます。


「不格好な」チャットボットはECでの購買体験を台無しにする | Retail Dive

WEBアプリケーションサービスを提供するIntellias社の調査によれば、約20%のEC顧客は、チャットボットとのやりとりにより購買を断念した経験がある。また、約66%の顧客はチャットボットの導入に肯定的ではあるが、約70%の顧客はチャットボットとカスタマーセンターのバランスの良い役割分担を望んでいることがわかった。

担当者による要約

働き方改革やDXといった文脈で、
顧客からの問い合わせ対応といった業務の省人化を狙った
チャットボット導入が当たり前に提案される時代になりました。

コンバージョン率の向上など、
複合的な効果が期待できるチャットボットですが、

なかには導入しても問い合わせ件数が減らなかったり、
顧客(閲覧者)にそもそも利用されていなかったり、
といった失敗事例も、残念ながら存在します。

例えば、AIによる学習を組み込めるチャットボットであっても、
中古品ECサイトにおいて1品ものの商品に関する質問に対して、
定型的な回答を超えて顧客が満足する回答をすることは難しいでしょう。

このような個別での調査・対応が必要なケースにおいては、
問い合わせ対応の省人化が見込みづらいうえに、
チャットボットで時間を空費し顧客満足率が低下しかねません。

チャットボットが適した業界・WEBサイトなのか判断する必要があります。

また導入後も、回答内容等の定期的なメンテナンスにより、
回答の精度向上および内容のアップデートが欠かせません。

アメリカでの調査によれば、
チャットボットによるメルマガ等の開封(応答)率は
35~40%とメールでの発信などに比べて高く、
また応答率90%の事例も確認したと報告されています。

適性に活用すればとても効果的なツールであるため、
Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたらゴミしか出てこない)
とならないよう注意したいところです。

<担当者からひと言>
昨今のLLM技術の目覚ましい発達により、チャットボットの導入がより簡単・安価になり、様々な業種・裾野にまで拡がると予想されます。「みんなやっているから」と流されず、自社のWEBサイト・ECサイトに本当に必要か、どのような効果(KPIやカスタマージャーニー)を狙うのかについて、分析的な目線を持つことが求められます。


韓国│ハンドクリーム3万9000ウォン...ロレアルが買収したイソップ、人気上昇に伴い国内販売価格引き上げ

ロレアルが買収した化粧品ブランド「イソップ」が、韓国国内製品価格を4~13%引き上げた。イソップは昨年グローバル市場では二桁成長を記録したが、特に中国や韓国など東アジアで反応が良い。2022年イソップコリアの売上高は、2021年比で約32%も増えた。「カカオトークプレゼント」企画などの影響もあり、イソップハンドクリームが長期間ベストセラーに上がって認知度を高めた。

担当者による要約

ここ数年でよく見かけるようになったイソップ(Aesop)商品。

香水やハンドクリームなどを
愛用されている方も多いのではないでしょうか。
植物由来のヴィーガン仕様やシンプルなパッケージが
現代の消費者の心をつかんでいます。

グローバルに展開しているイソップですが、
売上の1位はなんと日本市場だそうです。
さらに同社の販売戦略として、
急拡大する中国市場へのテコ入れも進めています

(2022年には2店舗をオープンしました)。

また特集記事にもあるように、
韓国でもスキンケア商品が流行しており、
総じてアジア圏で人気が高いブランドと言えます。

しかしご存じの方もいるように
Aesopはオーストラリアの企業。
同社CEO、O’Keeffeは次のように説明しています。

我々は最良のプロダクトを生み出すことに注力することには変わりない。アジアの消費者は、特にスキンケアの領域においてとても鋭敏で繊細な感覚を持っている。(担当者による和訳)

Aesop CEO Michael O’Keeffe: ‘We’re growing at double the global rate of the market’

これを裏付ける一つの意見として、
中国のあるラグジュアリー化粧品セレクトショップ創業者は

18~25歳の消費者はすでにエイジングケア商品を使い始めている。若い彼らにとって大事になのは効果実感だけでなく、パッケージや中身のテクスチャーといったブランド体験だ。

23年の中国美容市場、コロナ前の勢いへ プレステージが急成長

と話しています。

<担当者からの一言>
日本でも若者中心に人気上昇中のイソップが韓国でも同様に人気で、商品販売価格が一斉に上げられました。イソップを買収したロレアルは、イソップの中国と東アジア市場での規模拡大に期待しているようですが、日本での販売価格は今後どうなるのか、気になります。


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